2016年11月25日更新 ジカウイルス感染症の発生状況 (更新41)

2016年11月24日付けでWHOより発表されたジカウイルス感染症(いわゆるジカ熱)の発生状況に関する報告です。ジカウイルス感染症の発生状況は以下のとおりです。

情報更新の要点

  • 先週、新しく蚊の媒介によるジカウイルス感染症が報告された国と地域はありません。
  • 先週、新しくジカウイルス感染症が関係する可能性のある小頭症その他の中枢神経系(central nerve system: CNS) 奇形が報告された国と地域はありません。
  • 先週、新しくジカウイルス感染症と関連するギラン・バレー症候群(GBS: Guillain-Barré syndrome)が報告された国と地域はありません。
  • ジカウイルスおよび神経疾患と新生児奇形に関する第5回緊急委員会が、2016年11月18日に開かれました。事務局長は緊急委員会の助言に基づき、国際的な脅威に対する公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)の終息の声明を発表しました。しかしながら、ジカウイルスおよび関連する合併症は、依然として、取り組むべき公衆衛生上の課題であることに変わりありません。調査・研究はジカウイルス感染症と小頭症との関連を示し、世界規模での対策と研究課題を進めていくために、さらに強固な対応体制が必要であることを示しています。ジカウイルスへの協調した活動および対策は、この病気並びにその合併症の長期的な性質に対し専念して取り組める人的・物的資源を使って活動を継続させるための計画へと方向を拡大させています。これまでの緊急委員会の会議の勧告は、WHOがより長期の計画に活動を移すための移行計画を実施する3か月間は維持されます。(これまでに)確立された体制を基に(立てられた)ジカウイルスの戦略的な対策の計画に基づいて、WHOは、シマカ属の蚊が生息する国と地域で(感染への)備えと対策を強化するために、(患者の)発見、予防、医療および生活の支援、研究の分野で活動する60を超える組織に対し、支援と調整を行っています。

分析

全体として、世界におけるリスク評価は変わっていません。ジカウイルスは、媒介する蚊が生息する地域で、地理的に拡大し続けています。いくつもの国、いくつもの地域で、ジカウイルス感染症の患者が減少する傾向が報告されていますが、警戒体制を強化しておくことが必要です。

発生状況

  • 75の国と地域で、2007年以来(2015年以降、69の国と地域からです)蚊が媒介するジカウイルス感染伝播のエビデンスが報告されています。
    • 2015年以降、58の国と地域で流行発生が報告されました。
    • 7つの国と地域で、2016年に、蚊が媒介するジカの感染の地域感染の可能性やエビデンスが
      あります。
    • 10の国と地域で、2015年以前もしくは2015年に地域で蚊が媒介するジカウイルス感染のエビデンスが報告されています。しかし、これらの国と地域では、2016年には患者が報告されていないか、又は流行が終息しています。
  • 2016年2月以降、12の国でジカウイルスのヒト-ヒト感染のエビデンスが報告されました。
  • 28の国と地域で、ジカウイルス感染症と関係する可能性の高い、または先天性の感染症が示唆される小頭症その他の中枢神経奇形が報告されました。
  • 19の国と地域で、ギラン・バレー症候群(GBS)の発生数の増加、および/またはGBS患者でジカウイルス感染症の検査確認が報告されました。
  • ギニア・ビサウでジカウイルスとチクングニアウイルスに対するIgGが陽性であった小頭症3例に対して実施された血清中和法検査は、まだ結果が待たれています。
  • (WHOの感染対策の)運営状況が更新されています。
    • 11月8日から10日に、WHOの健康危機計画に対し、監視とアドバイスに対する独立委員会から、現在のジカウイルスの流行におけるWHOの活動状況を評価するための委員がコロンビアを訪れました。このコロンビアの訪問は、WHO理事会、汎米保健機関(PAHO)の健康危機対策部局、PAHOのジカウイルス感染症の管理部局、WHOの関係する3つ全てのレベルによって支援されました。
    • PAHO/WHOは、コスタリカ、グアテマラ、ウルグアイなど、まだ、蚊への注意喚起週間を実施する過程にある国に対し、技術支援を続けています。
    • セント・ルシアで、PAHO/WHOおよび支援組織は、次のことを計画しました。
    • ジカウイルス、蚊が媒介する病気の予防、社会内での地域動員活動の支援ツール、リスクの情報伝達に対する、公的な関係部門の会議
    • 信用を形成する組織リーダーに対し、蚊が媒介する感染症予防とその緩和での彼らの役割、社会的な地域活動に関する方向付けの説明会議
    • スリナムで、PAHO/WHOおよび支援組織は、次のことの調整を行いました。
    • 保健省とともに、全ての感染危険地帯でリスクの情報伝達を行うための国家戦略
    • 地域の健康行政、病院の運営者におけるリスクの情報伝達の検討集会、およびさまざまな部門から成る地域の運営者に対する説明会
    • 健康危機と緩和の役割についてのメディアへの方針説明会

出典

WHO.Situation Report, Emergencies. 24 November 2016
Zika virus, Microcephaly and Guillain-Barré syndrome
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/251648/1/zikasitrep24Nov16-eng.pdf?ua=1[PDF形式:965KB]