2016年12月08日更新 鳥インフルエンザA(H5N6)の発生状況 (更新7)

2016年12月7日付けで公表されたWHOの情報によりますと、中国の国家衛生・計画出産委員会(NHFPC)は鳥インフルエンザA(H5N6)の感染者2人を検査確認したことをWHOに報告しました。

症例の詳細情報

  1. 1.2016年11月21日に、鳥インフルエンザA(H5N6)ウイルスに感染した患者として、湖南省Wugang(武岡)市に住む47歳の女性が報告されました。彼女は2016年11月18日に発症し、重篤であったため、同日、病院に入院しました。11月20日に、患者は鳥インフルエンザA(H5N6)ウイルスへの感染と確認され、臨床所見と疫学情報でも、それが裏付けられました。疫学調査が続けられています。
  2. 2.2016年12月1日に、鳥インフルエンザA(H5N6)ウイルスに感染した患者として、Guangxi Province(広西チワン族自治区)に住む30歳の女性が報告されました。彼女は2016年11月8日に発症し、重篤となり、11月18日に感染判明と同時に病院に入院しました。彼女は発症前に死んだ家禽と接触する機会がありました。濃厚接触者127人の健康監視が行われていますが、感染判明の時点で、症状が現れた濃厚接触者はおりません。疫学調査が続けられています。

中国政府の対応

中国政府は、以下のようなサーベイランスと感染対策を行っています。

  • 患者から検体を採取し、検査室での確認を行うこと
  • 患者に集約的に対処すること。これには、患者の疫学調査の実施、濃厚接触者の追跡と管理、濃厚接触者の健康監視も含まれます。
  • 原因不明の肺炎や定期的なインフルエンザの監視体制を強化すること。インフルエンザ/鳥インフルエンザ・ウイルスの病原調査活動を強化すること。

WHOによるリスク評価

WHOは、世界インフルエンザ・サーベイランス及び対応システム(GISRS)を通して、鳥インフルエンザA(H5N6)ウイルスおよびその他の人獣共通感染症の発生への監視を注意深く続けています。これまでのところ、鳥インフルエンザA(H5N6)ウイルスに対する公衆衛生上の全体的なリスクに変更はありません。鳥インフルエンザA(H5N6)ウイルスが人に重度の感染を引き起こしますが、これまでに連続的に人から人へ感染伝播したことはなく、感染は散発的のようです。しかし、ウイルスがGISRS研究所で受け取られ、特性が分析されたときには、報告された患者を感染させたウイルス株に関する特定のリスクが評価される予定です。

国際的に疾患が拡大するリスクは、現時点では低いと考えられています。WHOは、引き続き疫学上の発生状況を監視し、最新の情報に基づきリスク評価を実施していきます。

WHOからのアドバイス

WHOは、鳥インフルエンザの発生が確認されている国への渡航者に対し、可能な限り、養鶏場への立ち入り、生きた家禽類をさばく市場での動物との接触、家禽を解体する場所への立ち入り、家禽や動物の排泄物で汚染されているとみられるあらゆる物体との接触を避けるよう助言しています。また、渡航者は石鹸と水で手をよく洗い、食品の安全と衛生習慣を維持すべきです。

WHOは、この事象に関連して、特別な入国スクリーニングおよび渡航や貿易の制限を行うことを推奨していません。いままでどおり、鳥インフルエンザが懸念される地域の渡航中や帰国した直後に、渡航者が重症の急性呼吸器症状を発症した場合には、必ず鳥インフルエンザへの感染を鑑別診断として考える必要があります。

WHOは、国際保健規則(2005)に基づいて患者の感染報告を確実に実行するために、重症急性呼吸器感染症(SARI)やインフルエンザ様疾患(ILI)のサーベイランスを含むインフルエンザのサーベイランスの強化を続け、通常と異なる傾向がみられた患者については慎重に検討を重ねることを各国に促しています。さらに、国民の健康のための準備活動を続けていくことを求めています。


中国に滞在される方は、今後も情報に注意していただくとともに、手洗いや咳エチケットをこころがけてください。また、鳥に直接触ったり、病気の鳥や死んだ鳥に近寄ったりしないようにしてください。入国の際に、発熱、咳、喉の痛みなどの症状がある場合には、検疫所にご相談ください。

出典

WHO.Disease Outbreak News, Emergencies preparedness, response. 7 December 2016
Human infection with avian influenza A(H5N6) virus - China.
http://www.who.int/csr/don/07-december-2016-ah5n6-china/en/