2016年12月09日更新 10の事実 -マラリア

世界人口のほぼ半数にあたる約32億人がマラリアのリスクに曝されています。2015年には約2億1400万人がマラリア患者となり、推定438,000人がマラリアで死亡しています。 2000年以降、感染予防と蚊の防除対策の強化により、マラリアの致死率は世界で60%低下しました。(しかし)サハラ以南のアフリカでは、世界のマラリアの脅威が、不均一に高い水準となっています。2015年には、マラリア患者の89%、マラリア死亡者の91%がこの地域に住んでいました。

事実1:マラリアは原虫を保有した蚊に刺されることで人々に感染する、原虫による病気です。
マラリアはマラリア原虫(Plasmodium parasites)によって起こる病気で、原虫を保有したハマダラカを媒介蚊として人々に拡がります。人にマラリアを引き起こす原虫は5種類あり、中でも熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)は最も重篤となります。

事実2:世界人口のほぼ半数がマラリアのリスクに曝されています。
約32億人にマラリアのリスクがあります。2015年には約2億1400万人がマラリア患者となり、推定438,000人がマラリアで死亡しました。幼少期の子ども、妊娠女性、マラリアのいない地域に住み免疫力を持たない旅行者は、感染したときには、この病気に対して特に悪化しやすくなります。

事実3:5歳未満の子どもはマラリアに対し高いリスクがあります。
マラリアが頻繁に伝播する地域では、特に、5歳未満の子どもが、感染、症状、死に対して弱い者となります。マラリアによる3分の2以上(70%)の死亡者がこの年齢層から発生しています。2015年には、305,000人のアフリカの子どもが5歳の誕生日の前に死亡しました。

事実4:マラリアの致死率は低下してきています。
マラリアの予防と感染制御への対策が強化され、たくさんの地域でマラリアの脅威が減ってきています。2000年以降、世界でのマラリアの致死率は全年齢で60%、5歳未満の子どもでは65%低下しました。

事実5:マラリアの早期診断と素早い治療で死亡から防ぐことができます。
マラリアの早期診断と早期治療でこの病気を減らし、死亡から防ぐことができます。マラリアの感染伝播の機会を減らすことにも貢献します。診断テストと治療への利用環境は、マラリア対策の要素のひとつであるだけでなく、リスクに曝されている全ての人々の基本的な権利と見なされるべきです。

事実6:アルテミシニンへの耐性の出現は重大な懸念となっています。
WHOが単純マラリア治療の併用薬として勧める薬剤の中核であるアルテミシニンへの耐性原虫が、東南アジア5か国(カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム)で発見されています。しかし、アルテミシニンを軸とする併用薬は、もう一方の併用薬が部分的に有効である場合に、ほとんど全ての環境で有効性を留めています。

事実7:殺虫剤で処理された蚊帳の中での睡眠はマラリアから保護します。
長期間にわたり効果を保持する蚊帳は、蚊刺しから人々を護ります。これらは、マラリアのリスクのあるほとんどの人に対する保護にも使用できます。蚊帳は、その型式や使用状態にも依りますが、2-3年は効果を持続します。2000年から2015年までに、サハラ以南のアフリカでは、殺虫剤で処理された蚊帳の中での睡眠をとる子どもの割合が2%以下からおよそ68%にまで増加しました。

事実8:室内で長く効果を留めるスプレーは、急激にマラリアの伝播を低下させることに最も効果的な方法です。
駆除に焦点を当てた地域で少なくとも室内の80%にスプレーが噴霧されれば、室内で長く効果を留めるスプレーの効果は十分に得られます。殺虫剤を含んだ室内で長く効果を留めるスプレーは、使われる殺虫剤とスプレーされた壁の表面の状態に依りますが、媒介する蚊を殺し、3-6か月は効果を保ちます。さらに長く効果を持続するスプレーが開発されてきています。

事実9:妊娠女性には、特に、マラリアのリスクがあります。
妊娠女性には、重症マラリアの合併症で死ぬことへの高いリスクがあります。マラリアは自然流産、未熟児分娩、死産、妊娠時重症貧血の原因となります。また、防止可能な低出生体重児の約3分の1の原因にもなっています。中等度から高度に感染が伝播する地域に暮らす妊娠女性に対して、WHOは妊娠第1期以降、それぞれに計画された出生前訪問時に断続的に予防投与を行うことを勧めています。

事実10:マラリアは高い脅威のある国では、重大な経済損失を引き起こします。
高い脅威のある環境では、マラリアは、軽んじられた人々や貧しい人々の中に不均一に発生し、貧困への負のスパイラルの中で家族や地域社会を窮地に落とします。そこに暮らすのは、治療への余裕のない人々や、医療サービスの利用環境に制約のある人々です。

出典

WHO.Fact files, Media centre. Updated 23November2016
10facts on Malaria
http://www.who.int/features/factfiles/malaria/en/