2016年12月16日更新 ジカウイルス感染症の発生状況 (更新44)

2016年12月15日付けでWHOより発表されたジカウイルス感染症(いわゆるジカ熱)の発生状況に関する報告です。ジカウイルス感染症の発生状況は以下のとおりです。

情報更新の要点

  • 先週、新しく蚊の媒介によるジカウイルス感染症が報告された国と地域はありません。
  • 先週、新しくジカウイルス感染症が関係する可能性のある小頭症その他の中枢神経系(central nerve system: CNS) 奇形が報告された国と地域はありません。
  • 先週、新しくジカウイルス感染症と関連するギラン・バレー症候群(GBS: Guillain-Barré syndrome)が報告された国と地域はありません。
  • アンゴラからフランスに戻ってきた旅行者が、ジカウイルスへの感染に一致する臨床症状と血清学上の徴候を示しました。しかし、以前に黄熱ワクチンを接種していたり、この他のフラビウイルスに対する血清反応が陽性であったりすると、交差反応を起こす可能性があるために、ジカウイルスへの感染の診断結果を妨げてしまいます。アンゴラでジカウイルスの感染伝播が起きてきているかを判断するために、さらなる調査が続けられています。

分析

全体として、世界におけるリスク評価は変わっていません。ジカウイルスは、媒介する蚊が生息する地域で、地理的に拡大し続けています。いくつもの国、いくつもの地域で、ジカウイルス感染症の患者が減少する傾向が報告されていますが、警戒体制を強化しておくことが必要です。

発生状況

  • 75の国と地域で、2007年以来(2015年以降、69の国と地域からです)蚊が媒介するジカウイルス感染伝播のエビデンスが報告されています。
    • 2015年以降、58の国と地域で流行発生が報告されました。
    • 7つの国と地域で、2016年に、蚊が媒介するジカの感染の地域感染の可能性やエビデンスがあります。
    • 10の国と地域で、2015年以前もしくは2015年に地域で蚊が媒介するジカウイルス感染のエビデンスが報告されています。しかし、これらの国と地域では、2016年には患者が報告されていないか、又は流行が終息しています。
  • 2016年2月以降、13の国でジカウイルスのヒト-ヒト感染のエビデンスが報告されました。
  • 29の国と地域で、ジカウイルス感染症と関係する可能性の高い、または先天性の感染症が示唆される小頭症その他の中枢神経奇形が報告されました。
  • 20の国と地域で、ギラン・バレー症候群(GBS)の発生数の増加、および/またはGBS患者でジカウイルス感染症の検査確認が報告されました。

出典

WHO.Situation Report, Emergencies. 15December2016
Zika virus, Microcephaly and Guillain-Barré syndrome
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/252533/1/zikasitrep15Dec2016-eng.pdf?ua=1[PDF形式:165KB]