2017年04月27日更新 チクングニア熱の発生報告(更新2)- パキスタン
2017年4月25日にWHO東地中海地域事務局(EMRO)から、パキスタン・Balochistan(バローチスターン州)でのチクングニア熱の流行状況についての報告が行われました。
WHOはパキスタン・バローチスターン州でチクングニア熱の流行状況を調査しています
WHOとパキスタン国家保健サービス・国家行政・調整省(Ministry of National Health Services, Regulation and Coordination)は、この数週間にチクングニア熱の流行が初めて報告されたパキスタン・バローチスターン州で集中的な戸別調査を行いました。
この調査は、バローチスターン州Gwadarの街で、急性発熱性疾患の患者が突然に増えたことに対応して、実施されました。4月19日までにバローチスターン州で報告されたチクングニア熱の疑い患者数は、1,962人となっています。これまでに、合計で28本の血液検体がチクングニアに対して陽性と判明しました。
パキスタンで初めてのチクングニア患者が、2016年12月に、Sindh(シンド州)カラチ市から報告されました。2016年12月19日から2017年4月14日までに、カラチ市内のさまざまな行政地区から、合計で1,419人チクングニア熱疑い患者が報告されています。これまでに、死亡者は報告されていません。
チクングニア熱は、蚊によって媒介されるウイルス性疾患で、発熱や重度の関節痛を引き起こし、一部の患者では(体力の)消耗を起こします。チクングニア熱は、臨床症状が重なり、媒介する蚊がネッタイシマカで共通するデング熱やジカウイルス感染症と間違えられることがあります。このことは、初期の段階でのチクングニア熱の発見と診断を困難なものにさせます。
また、チクングニア熱は住民にとっては新しい(病気)のため、早期に発見されることなく短期間に多くの患者が発生し、チクングニア熱を含めた感染制御対策の緊急体制を組むことが必要になる恐れがあります。
集中的な戸別調査では、病気を発症した人から疫学データと臨床データを収集しています。この調査では、 検査のために血液検体を採取し、感染伝播の発生に関する仮説を立てます。 現地調査では、Gwadarの街での最初のチクングニア熱患者はカラチから都市の間の旅行で入り込み、その後の患者は現地での感染伝播に基づいていることが分かりました。
適切な時期での現地調査は、チクングニア熱の確認とチクングニア熱が近隣する地区に拡散することを防ぎ、必要となる公衆衛生上の対策の実施をもたらしました。この対策では、蚊刺を防ぎ、蚊の繁殖場所を限定していく方法について、現地の地域住民に意識喚起を促し、情報提供の会議を開くことなどが行われています。
出典
EMRO/WHO.News, Surveillance, forecasting and response. 25 April 2017
WHO investigates outbreak of chikungunya in Balochistan province, Pakistan
http://www.emro.who.int/surveillance-forecasting-response/surveillance-news/who-investigates-outbreak-of-chikungunya-in-balochistan-province-pakistan.html