2017年05月29日更新 ジカウイルス感染症の発生状況について (更新6)

2017年5月25日付けでPAHOより発表されたジカウイルス感染症(いわゆるジカ熱)の発生状況に関する報告です。

ジカウイルス感染症の発生状況は以下のとおりです。

発生状況の概要

これまでのところ、アメリカ大陸の48の国と地域で、蚊の媒介によるジカウイルス感染症への国内感染が確認されました。一方、性交渉によるジカウイルス感染症患者が5か国から報告されました。2016年第44週以降、蚊の媒介によるジカウイルス感染症の国内感染は確認されていません。

北アメリカ
アメリカ合衆国フロリダ州保健局からは、現在、どの地域からもジカウイルスの感染伝播の確認はなく、現地で感染した患者の報告もないことが、報告されています。テキサス州保健局には、2017年になって現地での伝播による患者は報告されていません。

一方、メキシコでは、2016年第40週以降も、引き続き、確定患者が報告されています。前回、疫学情報が更新されてからは、新たな州でジカウイルスが現地で感染伝播していることは確認されていません。

中央アメリカ(中米)
ベリースを除き、中米で報告される患者は減少の傾向が続いています。ベリースでは、2016年第49週から2017年第7週まで、ジカウイルスの疑い患者と確定患者の増加がみられました。確定患者の大半は、Corozal (コロザル州) からのものです。

中米地域では、2017年第10週から第14週までの間に、毎週平均して71人の疑い患者や確定患者が報告されています。

カリブ海諸国
タークス・カイコス諸島では、2017年第4週から第8週までの間、疑い患者の増加傾向がみられました。この地域におけるその他の国と地域では、報告される患者数の減少傾向が続き、2017年第10週から第14週までの間に、毎週平均で330人が報告されました。

南アメリカ(南米)
2017年第1週以降、アルゼンチン、ボリビア、ブラジル、エクアドル、ペルーで患者の報告数が増加していることで、南米では疑い患者と確定患者の増加傾向がみられます。この地域では、2017年第10週から第14週までに、毎週平均で1,246人が報告されました。

アルゼンチンでは、2017年第1週から第16週までに、疑い患者と確定患者の増加がみられました。この増加傾向は、Formosa(フォルモサ)、Salta(サルタ)、Chaco(チャコ)の3州で感染が集団発生していることに関係しています。これらに続く2つの州では、直近に確認された患者は2017年第16週に発症していました。

ブラジルでは、2017年第1週から第9週にかけて、報告される患者数が僅かに増加していました。その後、全国で同じ時期にみられたチクングニア熱と同様に、第15週までは(患者数が)減少していました。
エクアドルでは、2017年第5週以降、第16週をピークとする疑い患者と確定患者に増加の傾向がありました。2017年初めからの17週間に確認された患者の約65%(448人)は、Guayas(グアヤス県)からのものでした。

ペルーでは、Loreto(ロレート県)で感染の発生が続いていることによって(患者が)増加しています。2017年第10週以降、第14週をピークとして、Ica(イカ県)Chinchaでの感染発生による影響でも疑い患者と確定患者の増加傾向がみられました。

ジカウイルス感染症に関連する先天性症候群

2015年10月以降、アメリカ大陸の26の国と地域で、ジカウイルス感染症との関連することが確認された先天性症候群が報告されてきました。前回の疫学情報の更新以降は、ジカウイルス感染症に関連する先天症候群患者が初めて確認された国も地域もありません。この4週間(2017年第18週から21週まで)に、ブラジル、コロンビア、ドミニカ共和国、エクアドル、ホンジュラス、パナマ、プエルトリコおよびアメリカ合衆国で、ジカウイルス感染症に関連する先天性症候群の患者数が更新されました。

ギラン・バレー症候群(GBS)およびその他の神経障害

前回の疫学情報の更新以降、ジカウイルス感染症と関連するギラン・バレー症候群が初めて確認された国も地域もありません。

出典

PAHO/WHO.Epidemiological Alerts and Updates. 25 May 2017
Zika - Epidemiological Update
http://www.paho.org/hq/index.php?option=com_docman&task=doc_view&Itemid=270&gid=40222&lang=en