2017年07月24日更新 コレラの発生状況- ケニア(更新)

2017年7月21日に公表された世界保健機関(WHO)の情報によりますと、2017年初めより、ケニアではコレラ患者が急増しています。

また、ケニアでのコレラ流行については、外務省からも注意が呼びかけられています。詳しくは参考情報にある外務省のサイトもご覧ください。

コレラの発生状況

2017年初めより、ケニアではコレラ患者が急増しています。2017年に、最初にコレラの流行が報告されたのは、Tana River(タナ川)郡からでした。この流行は、2016年10月10日に始まり、2017年4月までに感染が制御されました。

コレラ流行の第二の波は、2017年4月2日にGarissa郡で始まりました。この流行は、この後、Nairobi、Murang'a、Vihiga、Mombasa、Turkana、Kericho、Nakuru、Kiambu、Narokの9郡から報告されました。この流行は、一般の住民と難民キャンプで報告されています。Garissa郡では、Dadaab難民キャンプを中心に流行が発生しており、Hagadera、Dagahaleh、IFO2の(難民)キャンプでは死亡者が報告されています。Turkana郡では、コレラがKakumaとKalobeyeiの難民キャンプでも感染が発生しています。

一般住民で報告された流行に加えて、Nairobi郡では2つの感染源でコレラの集団発生がありました。1つ目は、2017年6月22日にナイロビのホテルで、会議に出席した者の間で発生しました。この発生に関連して、合計146人の患者が、ナイロビのさまざまな病院で治療を受けました。2つ目は、2017年7月10日から12日までKICC Tsavo Ballで開催されたChina Trade Fairで集団発生がありました。合計で患者136人が報告され、1人が死亡しました。

現在、Garissa郡とNairobi郡では流行が続いている状態です。2017年1月1日以降、 2017年7月17日までに、死亡者14人(致命率1.2%)を含めて、疑い患者1,216人が報告されています。2017年7月16日までの週には、死亡者はいませんが、患者38人が報告されました。

中央検査施設では、総計で患者124人がコレラ菌に陽性でした。2017年6月25日までの週に、ナイロビ国立公衆衛生研究所での細菌培養でも、検体25本のうち18本がコレラ菌小川型に陽性反応を示しました。

現在の流行の主な原因には、感染伝播を起こしやすく、この病気が拡大している(地域での)人口密集の高さや、大規模な集会(カレンで開催された結婚パーティー、国際会議が開催されているホテル内)、安全な飲み水の利用環境の不足、適切な衛生環境、国内や近隣諸国での大規模な人口の移動などがあります。

2014年12月以降、ケニアでは連続的にコレラの大規模な流行を経験しており、累計で17,597人の患者が報告されています(2015年に10,568人、2016年に6,448人)。

公衆衛生上の取り組み

政府は、流行への対策の調整を図るために国家緊急委員会を立ち上げました。2017年1月以降、WHOと支援組織は、感染を制御するために、国に技術支援を行っています。さらに、この流行が拡大することを避けるために、感染に備えた介入に重点を置いた対応計画が作成されています。この国のWHO事務所は、この流行への速やかな対応を支援するために、アフリカの角と呼ばれる地域でのエルニーニョ現象後の管理体制に向けてナイロビに派遣された事務所スタッフと専門家で再編成されることになっています。また、WHOは、疾病調査と感染対策への協力を図るために、最も感染へのリスクのある5つの郡を支援しています。支援組織は、国連児童基金(UNICEF)による現地での一次医療および社会活動員への支援など、引き続き対策への取り組みの支援に関わっています

WHOのリスク評価

コレラは、急性腸内感染症で、糞便で汚染された水または食品に付着したコレラ菌を取り込むことで引き起こされます。主に、安全な飲み水、良好な衛生設備への利用環境が不十分であることと関連しています。コレラは、常に潜在的に深刻な感染をおこすものとみなされており、高い割合で感染と死亡を引き起こす可能性があります。コレラは、ウイルスとの接触頻度、(コレラ菌との)接触がある住民の規模および生活状況に影響され、急速に広がる可能性をもっています。

ケニアでは、毎年、コレラの流行が報告されており、5~7年ごとに大きな流行のサイクルが発生しています。

現在、コレラ流行のリスクは、国レベルおよび地域レベルで高く、世界レベルでは中程度であるとみられています。この流行は、アフリカの角と呼ばれる地域の一部での干ばつ、紛争、政情不安などの状況を受けて発生しています。また、この流行は、人口密度の高い首都ナイロビと国内と周辺諸国で大規模な人口移動が起きている2つの難民キャンプ(Kakuma とDadaab)がある地域で発生しています。これまでのケニアでの大規模な流行は、同様の状況で発生しており、感染の発生地内や他の地域に伝播するリスクが高くなっています。政府は、感染対策への対応能力が限られ、安全な飲み水の利用環境が悪いことを認識しています。(今はまだ)この流行を押さえ込み、拡大を防ぐために、早目に備えて対策を実施するチャンスがあります。

現在(発生している)大規模な集会に関連する集団感染は、レストランやホテルに、食品の安全性への新たなリスクと、衛生検査が必要であることを示しています。

WHOからの勧告事項

WHOは、コレラ流行の早期発見と対策、ならびに協力体制と多岐にわたる領域からの対策強化のために、各郡と医療施設が準備を向上させることを勧めています。また、家庭、レストラン、ホテル、難民キャンプ、医療施設における衛生習慣を向上させ、食品の安全保障への介入を強化する必要があります。

WHOは、現在の流行に関して入手できる情報に基づく限り、ケニアへの旅行および貿易に関して如何なる制限を行うことも推奨していません。

出典

AFRO/WHO.Disease Outbreak News, Emergencies preparedness, response,21 July 2017
Cholera - Kenya
http://www.who.int/csr/don/21-july-2017-cholera-kenya/en/

参考

外務省海外安全ホームページ:ケニアにおけるコレラの流行
http://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcspotinfo_2017C158.html