2017年11月16日更新 ジフテリアの発生状況-アメリカ大陸

2017年11月15日付で、汎米保健機関(PAHO)より、ジフテリアの発生状況について報告がありました。

アメリカ大陸におけるジフテリアの発生状況の概要

・2017年第1週から第45週に、アメリカ大陸の5か国(ブラジルコロンビアドミニカ共和国ハイチベネズエラ)でジフテリアの疑い患者や確定患者が報告されました。それぞれの国からの報告が示されています。
・2016年には、アメリカ大陸3か国でジフテリア確定患者78人が報告されました。それぞれに、ドミニカ共和国では2人、ハイチでは56人、ベネズエラでは20人でした。

ブラジルでは、2017年第44週までに、ジフテリア疑い患者39人が報告されました。報告は13州に分布しており、このうちの5人が確定診断(検査診断1人、疫学的診断基準による診断1人、臨床的診断基準による患者3人)されました。この確定診断された5人のワクチン接種状況は、次のようになっていました。検査診断された患者は未接種でした。残る患者4人のうち、2人はワクチンを計画どおりに接種しており、2人は接種していませんでした。

確定患者の年齢幅は4歳から51歳まで、男性が3人、女性が2人でした。死に至った確定患者が1人ありました、この患者は以前に検査診断による確認が報告された患者で、ベネズエラからの感染輸入でした。この患者に関連する二次感染の患者はなく、新たな感染の輸入も報告されませんでした。

コロンビアでは、2017年第1週から第43週までに、ジフテリア疑い患者14人が報告されました。これらの患者は、その後、検査診断によって全員が診断棄却されました。

ドミニカ共和国では、2017年第1週から第43週までに、ジフテリア確定患者が3人報告されました。これらの患者は、それぞれに、第12週、第32週、第43週に発生していました。ジフテリアによる死亡者はでていません。

ハイチでは、2017年第1週から第43週までに、ジフテリア感染の可能性の高い患者120人が報告されました。このうち、死亡者7人(致死率14%)を含む51人が検査により確定診断されました。確定患者のうち、ほとんど(82%)が5歳以上で、53%が女性でした。確定患者の26%はワクチンを接種していましたが、33%はワクチンを未接種でした。(残る)41%はワクチンの接種状況が分かっていません。

2017年に確定患者が報告された地方自治体の数は22でした。2016年に患者が報告された地方自治体の数は31でした。確定患者が報告された地方自治体の大半がOuest(西県、39%)とArtibonite(アルティボニット県、33%)からでした。

ベネズエラでは、2017年第42週までに、ジフテリア感染の可能性の高い患者511人が報告されました。これらの患者のうち452人(88.5%)からは検体が採取され、このうち146検体(32.3%)が検査で確定診断(細菌の分離と毒素原性試験(Elek法)による確認69検体、PCR法検査による確認38検体)[原文どおり記載]されました。確定患者は全国17州から報告されました。

感染した患者の年齢層は、多くが5歳から39歳までの層でした。患者の最大数は、5歳から19歳までの層(54.3%)にありました。女性が優勢(51%)を占めました。

国の担当当局によって公表されている報告によれば、2017年1月から9月までに、1歳未満の幼児に対する5価ワクチンの接種率は67.8%に達しており、5歳児の41.9%が免疫増強(ブースター)されていました。破傷風毒素のワクチン接種率は妊娠女性で49.2%、学童児で68.3%でした。

ベネズエラの国民保健省は、国家計画の一環として、ジフテリアに対するワクチン接種を強化しました。この取り組みの中で、ワクチン900万回分が使用されることとなりました。さらに、国と地方レベルの担当当局は、調査・集計活動、患者の精力的な探索と調査の強化、接触者の追跡(への取り組み)を強化しています。

各加盟国へのアドバイス

PAHO / WHOは、それぞれの加盟国に国と地方レベルワクチン接種率を高く維持する取り組みを続けるようアドバイスを送っています。

また、PAHO / WHOは、加盟国に対して、ジフテリア抗毒素の供給を含めて患者と接触者への速やかな対応を始めるために、疑い患者の早期発見に向けた監視体制の強化を勧めています。

出典

PAHO.Epidemiological Update. 15November2017
Diphtheria
http://www.paho.org/hq/index.php?option=com_docman&task=doc_view&Itemid=270&gid=42920&lang=en