2017年12月14日更新 結核(10の事実)

WHOより世界の結核の発生状況についての述べた記事を掲載しています。

10の事実

世界の人々の約3分の1は結核(TB)菌に感染しています。感染している人のほんの一部だけが結核を発症します。免疫力が低下した人は、結核に発症するリスクがはるかに高くなります。HIVに感染している人は、活動性の結核を発症する可能性が約26~31倍も高くなっています。
2030年に向けた持続可能な発展への目標の1つは、世界で結核の流行を終息させることです。2014年のWHO総会会議で承認されたWHOの"End TB Strategy"「結核終息への戦略」では、2016年に比べて、2030年までに結核での死亡率を90%、結核の感染率を80%減少させることが求められています。
WHOから出された新たなデータでは、世界での結核の脅威は以前に考えられていたよりも高くなっていることが明らかになりました。"End TB Strategy"「結核終息への戦略」の目標が、今後15年以内に達成されるためには、各国が、今まで以上に、結核の予防、発見、治療に対し、速やかに行動する必要があります。

事実1
2016年に、世界で1,040万人が新たに結核患者になったと推定されます。インドを筆頭に、次いで、インドネシア、中国、フィリピン、ナイジェリア、パキスタン、南アフリカ共和国の7か国で、全体の64%を占めています。けれども、結核は治る病気です。そして、予防できる病気です。

事実2
2016年に、HIV患者40万人を含む170万人が結核で死亡しました。結核は、2016年の10大死亡原因のひとつで、HIVやマラリアを上回っています。

事実3
2016年に、100万人の子どもが結核を患い、21万人が結核で死亡しました。子どもの結核は、診断や治療が難しいために、しばしば医療保健の関係者からは低く見積もられています。

事実4
結核は、HIV感染者において最も多い死亡原因です。2016年に、HIV感染者のうちの40万人が結核で死亡しています。また、抗ウイルス治療を受けているHIV感染者で結核に感染していた人の割合は85%でした。(一方)2016年に、抗レトロウイルス療法を受けていて、結核を発症したと推定されるHIV感染者は39%だけでした。

事実5
世界では、結核を発症する人の数は減ってきており、結核での死亡者の数は2000年から2016年までの間に37%低下しました。

事実6
2015年に、結核の脅威の高い30の国で、新たな結核患者87%を占めていました。結核は世界のすべての地域で発生していますが、患者の大半はアジア(61%)とアフリカ(26%)で発生しています。

事実7
2016年に、49万の人々が多剤耐性結核(MDR-TB)を発症したと見られています。患者の一部は、治療の受け方が悪く、さらに困難な多剤耐性結核になっている可能性があります。スーパー多剤耐性結核(XDR-TB)は、治療に使える薬剤がさらに少なくなってしまった結核の形態です。

事実8
世界では、2000年から2016年までの間に5,300万人のいのちが結核の治療で救われました。それでも、診断と治療の重大な溝は残っています。2015年における結核患者での治療成功率は、83%でした。

事実9
2016年に、患者は新たに1,040万人発生したとみられていますが、感染が発見され、本人に知らされたのは630万人に過ぎず、410万人の解離がみられます。2014年から2015年にかけて、世界で結核に感染した人の割合は、1.5%の減少に留まりました。しかし、2020年までに"End TB Strategy"「結核終息への戦略」の最初の試金石に到達するには4-5%に加速させる必要があります。

事実10
結核の治療と予防に向けた低所得国や中所得国での投資は、2017年に必要とされる投資額92億USドルに23億USドル不足するまでに落ち込んでいます。もし、投資基金のレベルが現在から増えることがなければ、この差は2020年までに拡がるものと予想されます。

出典

WHO.Fact files, Media centre.Reviewed October2017
10facts on tuberculosis
http://www.who.int/features/factfiles/tuberculosis/en/