2017年12月15日更新 ジフテリアの発生 - バングラデシュ

2017年12月13日にWHOから公表された情報によりますと、バングラデシュのCox's Bazarでは800人を超えるジフテリア患者が発生しています。

記事の詳細情報

2017年11月3日から12月12日にかけて、ロヒンギャからCox's Bazarに移動してきた難民の間で、ジフテリア疑い患者804人(死亡者15人を含む)が報告されました。感染の発端となる疑い患者は、Cox's Bazarで活動する国境なき医師団(MSF)によって、11月10日に報告されました。

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疑い患者のうち、73%が15歳未満で、60%が女性でした(患者の1%は性別が報告されていません)。ジフテリアでの死亡が疑われた15人のうち、14人が15歳未満の子どもでした。これまでのところ、地域住民でのジフテリアの発生は報告されていません。

公衆衛生上の取り組み

2017年8月以降、隣国ミャンマーから646,000人を超える住民が、密集した(難民)キャンプや一時避難所に集まってきました。そこは、安全な飲み水に乏しく、衛生環境も、医療サービスも充実していません。バングラデシュ家庭健康・福祉省が中心となって、多省庁によるジフテリア対策委員会を立ち上げ、この避難民への医療と公衆衛生へのサービスを提供してきています。WHOは、バングラデシュで必要となる健康医療サービスを支えるために、緊急事態の対策緊急基金(CFE)から300万USドルを拠出しました。

WHOは、健康医療の担当当局が7歳から15歳の子どもに破傷風-ジフテリア・ワクチン(Td)の接種を、6週から6歳までの子どもには4価(ジフテリア、破傷風、インフルエンザ菌b型、B型肝炎)と肺炎球菌の縫合型ワクチン(PCV)の接種を実施することに、共同で取り組んでいます。対策を支援するために鍵となる医薬品や必要物品のリストがWHOと支援組織によって作成されています。インドの血清研究施設は、この対策で使用される4価ワクチン30万回分を提供しました。

WHOによるリスクアセスメント

現在、Cox's Bazarで発生している感染は、急速に拡大しています。これまでのところ、すべての疑い患者がロヒンギャからの難民の中から発生しています。彼らは、生活の難しい密集した環境にある一時避難所で生活しています。ジフテリアの集団発生は難民全体でのワクチンの接種率が低いことを示していますが、ロヒンギャからの難民でのジフテリアを含むワクチンの接種率を推定することは難しい状況です。バングラデシュにおいて入手できているワクチン接種のデータでは、ジフテリアを含むワクチンの接種率は高いことになっています。しかしながら、ワクチンを打ち損じた現地の住民の存在は否定できません。WHOは、リスクのレベルが、国内では中程度、この地域と世界では低いと考えています。

WHOからのアドバイス

ジフテリア疑い患者の速やかな臨床管理は、ジフテリア抗毒素、適切な抗生物質、感染の予防と制御への対策の実施で構成されるWHOガイドラインと合致しており、WHOは、これを推奨しています。幼児、ジフテリア患者との濃厚な接触者、医療従事者など、リスクの高い集団には、ワクチンの優先接種を基本とすることが必要です。連動した感染対策と地域社会での取り組みへの参加が、さらなる感染のリスクを軽減し、集団発生を抑制することにつながります。

出典

WHO.Disease outbreak news, Emergencies preparedness, response. 13December2017
Diphtheria- Cox's Bazar in Bangladesh
http://www.who.int/csr/don/13-december-2017-diphtheria-bangladesh/en/