2018年01月19日更新 E型肝炎-ナミビア

2018年1月15日に、WHOから情報が公開された情報によりますと、ナミビアでE型肝炎が流行しています。E型肝炎は、衛生環境と密接に関係する病気であり、劣悪な衛生環境では、感染が拡大する懸念があります。

記事の詳細

2017年10月13日を区切りとする週に、感染の発端となった患者が、E型肝炎の自他覚症状を示し、Windhoek(首都ウィントフック)の公立病院へ入院しました。2018年1月8日を区切りとする週まで、首都ウィントフックのあらゆる医療施設に、自他覚症状を伴い、感染の可能性の高い患者と確定患者が合計237人ありました。すべての疑い患者は、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎の検査に対して陰性でした。患者237人のうち41人(の検体)は、さらに検査を進める搬送され、2018年1月8日に、E型肝炎IgMが21件で陽性反応を示しました。2017年11月19日には、死亡者が確認されました。この患者は、26歳女性で、死亡する4日前に赤ちゃんを出産しました。この赤ちゃんの状態は明らかではありません。患者の大半が、Khomas(ホマス)州ウィントフックから発生していました。

公衆衛生上の取り組み

・2017年12月14日に、国、地域および地区での健康(対策)緊急管理会議が立ち上げられ、ウィントフック市の行政府では感染の集団発生が周知されました。
・次の項目を基軸とする領域での主導を強化し、対策の活動を計画するために5つのワーキング・グループ(作業部会)が結成されました。基軸となる領域には、調査活動、検査、患者管理、(活動の)調整と物資の供給、WASH(健康/水と衛生の環境を整備する)活動、衛生環境の維持、社会における地域活動などが含まれます。
・2017年12月20日に、保健省大臣は、WHOと支援組織とともに、この流行について国民に向けた教育を行うためにメディア・ブリーフィング(説明会)を開催しました。
・保健省は、現在、患者管理チームを主導し、全ての疑い患者を治療のために病院に紹介しています。調査活動および検査施設での対策活動をさらに強化するために、データの収集と届出ツール(方法)が各医療施設に配布されています。患者の報告と調査、および患者の一覧表(での整理)が強化されています。
・保健省、社会福祉省とウィントフック市から成る環境保健チームは、現在、流行が起きた接触源を特定するために環境調査を実施しています。
・感染の発生した地域社会ではE型肝炎のリスクへの関心を高めるために全国的なラジオキャンペーンが続けられており、この流行に関して定期的に説明会が行われています。ウィントフック市は、感染の発生した地域の水質を検査し、恒常的に監視を続けています。
・保健省は、患者を確実かつ精力的にに追跡するための地域密着チームを支援するために、感染伝播の強い地域を対象とした調整を行いながら、現地に疫学調査専門家を派遣しています。2017年12月23日から、赤十字ボランティアと地域の保健医療従事者への研修、E型肝炎のリスクの高い地域で啓発活動を行い、地域での活動を実施するために、オリエンテーションが始まりました。
・2017年12月31日には、地域社会の指導者の活動力を強化するために、地域社会への参加運動が行われました。その目的は、この病気の予防対策に向けて指導者の意識を高め、地域における病気の広がりに関与していた行動や習慣を変えるために、文化的に受け入れられる介入(方法)を作成することでした。
・地域社会の指導者や保健医療従事者も、E型肝炎に合致した自他各症状と伴う人が早期に受診するように、その地域社会での教育を行う(べき)ことが示されました。

WHOによるリスクアセスメント

ナミビアでは、日常的にA型、B型、C型肝炎がみられますが、E型肝炎は、ほとんど診断されることがありません。結果として、この国では、研究施設でのE型肝炎を診断する能力が限られています。また、E型肝炎の大多数が、生活環境の悪い首都ウィントフック圏の非公式居住地から報告されています。これらの地域は、過密で、安全な飲料水、上下水道や衛生設備の利用環境が制約されています。さらに、ホリデー・シーズン(長期休暇シーズン)であることが、おそらくは国内での人々の動きを増やします。これらのすべてが、この流行の大きな要因となる可能性をもっています。

加えてに、雨季には、住民は飲み水や家庭で使用する生活水に、雨水や表面水を使用することがよくあります。このことが、E型肝炎への感染のリスクを上昇させます。そのため、上記の要因が、この地域から他の非公式居住地や同じ様な健康保健環境の悪い他の街や地区に拡がり、この病気の患者を拡大させる可能性があります。したがって、全体的なリスクは、国レベルでは高い状態です。地域レベルおよび世界レベルでは、低いと評価されます。

WHOからのアドバイス

WHOは、家庭での浄水技術を含む様々な手段・方法を通じて、安全な水への利用環境と適正な衛生設備環境の向上を促しています。感染の発生した地域の水質は、定期的に監視することが必要です。野外での排便の問題に取り組むために、集落が異なるごとにトイレの数を増やす必要があります。その上で、廃棄物の管理および衛生習慣・全体を向上させる必要があります。

また、実行中の介入については、妊婦の出産前のカウンセリング(医療相談)の確立、このような非公式移住地に住む人々の住居環境の改善、保健医療施設と患者管理の向上への支援などを、リスクのある住民を対象に実施する必要があります。地域および国の中央検査施設の対応能力は、疑い症例を速やかに確認できるように向上させることが必要です。

WHOは、現在入手できる情報に基づき、ナミビアへの旅行や貿易に関して制限することを推奨してはいません。上記の一般的な衛生習慣やその他・予防対策の実施は、その病気を予防するために、十分にしておかなければなりません。

出典

WHO.Disease outbreak news, Emergencies preparedness, response. 15 January 2018
Hepatitis E-Namibia
http://www.who.int/csr/don/15-january-2018-hepatitis-e-namibia/en/