2018年02月23日更新 腸チフス Q&A-WHO

旅行中の胃腸障害は、旅の楽しみを半減させてしまいます。このようなトラブルも、原因の回避の方法を知っているのと知っていないのでは、遭遇する確率が大きく変わってきます。腸チフスに関するQ&Aが、WHOより出されています。腸チフスは、症状が消えてからも、チフス菌の運び屋となっていることのある厄介な病気で、旅行中にも注意すべき感染症のひとつです。

腸チフスって何?

腸チフスは、チフス菌(Salmonella Typhi)を原因とし、生命を脅かす感染症です。

通常、細菌を含んだ食べ物や水を介して拡がります。

症状には、遷延する発熱、疲労感、頭痛、嘔気、腹痛、便秘、下痢などがあります。患者の一部には、発疹も現れます。重症の患者になると、重篤な合併症を起こし、死に至ることさえもあります。

腸チフスは、さまざまな種類の抗生物質への耐性が増え、治療が複雑になってきていますが、抗生物質で治療できます。

症状がなくなったとしても、人々は依然として腸チフスの運び屋となっていることがあります。糞便を介して他の人に伝播させることがあるからです。

推定で1,110万から2,000万人がチフスに罹り、毎年128,000~161,000人がチフスで死亡しています。貧困な地域の住民や子どもを含む感染に弱い人々は、最もリスクが高くなっています。

腸チフスから、どうやって身を護ればいいですか?

腸チフスは、衛生環境が悪く、安全な飲み水が不足している場所では一般的です。安全な水と適切な衛生設備の利用環境、衛生への教育、食品の取り扱い業者の間での衛生維持、腸チフス・ワクチンの接種などは、すべて腸チフスの予防に大きな効果のある方法です。

長年、チフスを予防するためにワクチンが使われてきました。
・2歳以上者を対象に精製された抗原を基剤とする注射剤ワクチン
・5歳以上者を対象にカプセル製剤にされた経口弱毒化・生ワクチン

これらのワクチンは、長期にわたる免疫能を維持できず、2歳未満の子どもには承認されていません。

WHOは、2017年12月に、初めての結合型・腸チフス・ワクチンを事前認定しました。この新しいワクチンは、これまでのワクチンよりも長期に免疫能を維持し、必要な投与量も少なく、生後6か月の小児にも投与することができます。

このワクチンは、腸チフスの脅威が最も大きい国々に優先順位が付けられます。これは、腸チフス治療における頻繁な抗生物質の使用を減らすことに役立ち、抗生物質に耐性のチフス菌(Salmonella Typhi)の増加を遅らせられるからです。

出典

WHO. Online Q&A. January 2018
Typhoid fever
http://www.who.int/features/qa/typhoid-fever/en/