2018年04月03日更新 ポリオの根絶に向けて-アフガニスタン&パキスタン

2018年3月29日付けでWHO東地中海地域・アフガニスタン事務局より公表された記事によりますと、アフガニスタンとパキスタンがポリオの根絶に向けての合同会議が開かれました。

記事の概要

アフガニスタンとパキスタンのポリオ根絶チームは、今週、アブダビに集まり、この地域でのポリオ根絶に必要とされる大詰めの共通戦略について話合いを行いました。

2017年に、野生型ポリオ・ウイルスの感染伝播による患者が記録されたのは、アフガニスタンとパキスタンの2か国だけでした。ほとんどの患者が、両国を南北で挟む地域で発生していました。アフガニスタンで患者14人が、パキスタンで8人が報告されました。2018年には、全ての患者がアフガニスタンから報告されました。

会議の冒頭で、アフガニスタン緊急事態管理センターを指揮するMaiwand Ahmadzai博士は、この歴史的な機会が手の届くところにあることの重要性を強調しました。「私たちは、ポリオ根絶の中で極めて重要な交差点にいます。2018年3月になって、ポリオの感染伝播を阻止できているはずでしたが、依然として、患者が報告されています。」

彼は、接種を受けていない小さな局地的な集団にさえ、(感染の)リスクがあることを(参加者に)思い起こさせました。「最近(発生した)Kandahar(アフガニスタン南部、カンダハール)の患者は、明らかに、その例です」。

パキスタン国家緊急対策室を指揮するRana Muhammad Safdar博士は、両国が直面する課題の多くが共有されるべきものであり、国境を越えて行き来し、対処すべき全ての人々への備えと対策が重要であることを(参加者に)思い起こさせました。そして、次のように指摘しました。「故郷への帰還が予想される人々には(感染)リスクがあり、私たちには、この課題にどのように対処すべきかについて、共同で計画を立てる必要があります」

WHO東部地中海地域事務局・ポリオ・プログラムを指揮するChris Maher氏は、国境を越えて行き来し、ウイルスを持ち運ぶ人々を特定し、(行動を)理解することが重要であることを力説し、その証拠が、いわゆる南北回廊で感染伝播が活発であるアフガニスタンとパキスタンの国境に沿った2つの地点にあることを指摘しました。「私たちは、2つの大きな感染経路が今なお活発であることを知っています。私たちは、ウイルスを運ぶ人がこの回廊に沿って、広い範囲で移動していることを知っています。」

この会議の焦点は、アフガニスタンとパキスタンとの感染伝播の南北回廊に共同で取り組む計画を進めることについて、支援していくことにあります。計画には、幼少期の子どもたちの免疫力を早急に向上させ、この地域でのポリオへの感染を阻止するために、予防接種への取り組みを(他の取り組みに)合わせて行うことや、適正な疾病監視体制を確保すること、国境でのワクチン接種計画を立てること、往来する人々を見極め、(感染リスク)情報を伝え、ワクチンを接種する最善の方法を決定することなどがあります。

出典

EMRO/WHO.News, Afghanistan. 29 March, 2018
Afghanistan and Pakistan meet to coordinate last push for polio eradication
http://www.emro.who.int/afg/afghanistan-news/afghanistan-and-pakistan-meet-to-coordinate-last-push-for-polio-eradication.html