2018年05月02日更新 インフルエンザの流行への注意喚起-アメリカ大陸

2018年4月30日付で、南半球がインフルエンザの流行期に入ることにより、汎米保健機構(PAHO)はインフルエンザに注意するように呼びかけています。

アメリカ大陸におけるインフルエンザの発生状況の概要

汎米保健機構/世界保健機関(PAHO / WHO)は、南半球がインフルエンザの流行期に入ることを念頭に、加盟国に対して、適正な臨床現場の管理、医療支援サービスの中での厳格な感染予防対策の遵守、 抗ウイルス薬の適切な供給などに確実に備えるように要請しています。また、PAHO / WHOは、季節性インフルエンザ・ワクチンの接種活動を増強して、重篤なインフルエンザ患者やインフルエンザによる死亡者を防ぐように加盟国に要請しています。

以下に、アメリカ大陸地域(アルファベット順に記載)におけるインフルエンザの発生状況の要約を示します。インフルエンザとその他の呼吸器系ウイルスへの感染の発生状況に関する詳細な情報は、PAHOから毎週発信されており、閲覧することができます。

アンデス地域(the Andean sub-region)では、インフルエンザA(H1N1)pdm09が優勢となっており、エクアドルでは、2018年初頭から早くもインフルエンザが激しく流行していました。エクアドルにおける今年の入院件数は、前年と比べて増加しました。ペルーでは、2018年最初の3週間、流行するインフルエンザ・ウイルスのうち、インフルエンザA(H1N1)pdm09、インフルエンザA(H3N2)、インフルエンザBが混在していました。ボリビアでは、Santa Cruz県で入院件数が2017年に匹敵し、最近、インフルエンザの増加がみられています。

カリブ海地域(the Caribbean sub-region)では、2018年初めに、ドミニカ共和国、フランス領ギアナ、ジャマイカで、インフルエンザ患者が報告されました。インフルエンザA(H1N1)pdm09とインフルエンザBが優勢でした。ジャマイカにおける入院件数は、前年に匹敵していました。この地域下にある他の国や地域からは、病院ベースでの調査活動でPAHO / WHOへの報告はありませんでした。

中米地域(the Central American sub-region)では、コスタリカとグアテマラで、インフルエンザの患者が2018年初頭の数か月に報告されました。コスタリカでは、2017年の終わりに始まったインフルエンザの流行が、2018年始めにも続いていました。(しかし)第4週以降は弱まる傾向にありました。ここではインフルエンザA(H3N2)が優勢でした。グアテマラでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09とA(H3N2)の両ウイルスが入り交じり、2018年第9週以降、インフルエンザ陽性率が増加していました。入院件数によって計測されたインフルエンザの流行度は、これらの2か国で前年に匹敵していました。

北米地域(the North American sub-region)では、カナダとアメリカ合衆国、両国で、2017-2018年のインフルエンザ・シーズンが早くから始まり、活動が急速に高まりました。 この2か国では、インフルエンザA(H3N2)が優勢で、インフルエンザBも早くから流行し、この年の流行は、入院数と死亡数で計測すると厳しい状況でした。アメリカ合衆国では、流行が深刻であった2014-15年の入院率を上回っていました。メキシコでは、流行期が早くから始まりました。しかし、入院件数での計測では、これまでの流行期と比べると深刻ではなく、通常の流行期にみられる動向よりもより早くに活動が弱まりました。

南米最南端コーノ・スール地域(the Southern Cone sub-region)では、2018年第1四半期のインフルエンザ活動は弱く、その中では、主にインフルエンザBおよびインフルエンザA(H3N2)が検出されていました。2018年第14週まで、この状況で留まっています。

各加盟国への要請事項

PAHO / WHOは、調査活動、臨床現場での患者の管理、医療支援サービスにおける感染予防対策の実施、北半球でみられるようなインフルエンザ流行期の予防対策に対する国民への注意情報の呼びかけなど、要請事項を繰り返し示しています。また、南半球のいくつかの国では、生産の遅れやその後の流通を原因とする(ワクチン)組成の変化の影響を受けたインフルエンザ・ワクチンの供給に直面する可能性があります。

インフルエンザ・ワクチンの接種は、この感染症に関連する合併症を予防できることから、PAHO / WHOは、病態の重篤化や死亡を避けるために、加盟国には、ワクチンの接種を続けることを要請しています。

出典