2018年06月14日更新 ワールドカップに行く前に麻しんや風しんに対する予防接種を受けるよう勧告

WHOアメリカ地域事務局(PAHO / WHO)は、2018年のFIFAワールドカップに行く人々に対して、麻しん(はしか)、流行性耳下腺炎(おたふく風邪)および風しんワクチン(MMRワクチンとして知られている)を含むすべてのワクチンを接種するように勧奨しています。 今年は6月14日から7月15日まで、ロシアでワールドカップ2018が開催されます。

ワールドカップのようなイベントにおける国際旅行の増加と人々の大きな移動は感染症が伝播するリスクを増加させます。また、帰国した人々が麻しんなどの病気を自国に持ち帰る可能性も高くなります。麻しんは伝染性が強く、ワクチン接種を受けていない住民の健康に深刻な影響を与える可能性があります。

「旅行の少なくとも15日前に予防接種を受けることを勧める。ロシアに旅行する人は、特に麻しんや風しんを予防するワクチンについて、ワクチン接種歴が最新のものであることを確認する必要がある。」とPAHOの包括的家族予防接種ユニットの責任者、Cuauhtémoc Ruiz Matusは述べています。

昨年、ヨーロッパでは、麻しんの新たな患者が4倍に増え、22,360人が感染し、36人が死亡しました。 2018年は最初の3ヶ月間に、ヨーロッパで18,000件以上の麻しんが報告されました。フランス、ギリシャ、セルビア、ウクライナは症例数が特に多い国々です。 ロシアは600件以上を報告しています。

世界各地から約100万人がワールドカップを観戦するために旅行する見込みです。ワールドカップに参加する32カ国のうち、今年は28カ国が麻しんの事例を報告しています。

2018年5月19日に発行された最新の麻しんおよび風しん報告(Measles and Rubella Bulletin)によれば、アメリカ大陸では、11カ国で、1,194例の麻しん確定症例が報告されています。アンティグア・バーブーダ1例、アルゼンチン3例、ブラジル173例、カナダ11例、コロンビア25例、エクアドル7例、グアテマラ1例、メキシコ4例、ペルー2例、米国63例、ベネズエラ904例です。

これは2017年の1年間に、アルゼンチン(3例)、カナダ(45例)、米国(120例)、ベネズエラ(727例)の4カ国で報告された合計895件よりも多いです。アメリカ大陸は、2015年に風しんがないこと、2016年に麻しんがないことが宣言されました。これは、2003年から2009年の間に4億5,000万人の小児、青少年及び40歳未満の成人に対して行われた集団ワクチン接種を含む22年間の努力の成果です。しかし、一部の国で報告されている輸入された症例や最近のアウトブレイクにより、これらの成果が危険に曝されています。

「アメリカ大陸で麻しん、風しんおよび先天性風疹症候群の排除を維持するには、少なくとも95%のワクチン接種率と、輸入された症例を検出し、感染の連鎖を破壊するための迅速な対応が必要である。」とRuiz Matusは確信しています。

WHO / PAHOは、2017年5月以降、ワクチン接種率の高いレベルを維持し、サーベイランスを強化し、疑わしい症例に対処するための対策を緊急に実施するよう各国に呼びかけ、警告を出しています。

PAHOは、4月のアメリカ大陸予防接種週間と2018年のワールドカップの枠組みの中で、ワクチンで予防可能な疾患(vaccine-preventable diseases) に対する予防措置が急務であることを強調しています。 予防接種週間の取り組みの一環として、11カ国は、麻しんに対する600万人のワクチン接種により、予防接種プログラムを強化する意向を発表しました。

出典

参考情報

欧州における麻しん発生状況及び予防接種状況(厚生労働省)
欧州麻しん発生状況及び予防接種状況.pdf[PDF形式:663KB]