エボラウイルス病 - コンゴ民主共和国北キブ州(更新)

Disease outbreak news(WHO) 2018年8月17日

 2018年8月1日、コンゴ民主共和国保健省(Ministry of Health)は北キブ州マバラコ(Mabalako)保健地帯のマンジーナ(Mangina)でエボラウイルス病の新たなアウトブレイクを宣言しました。確認された症例はベニ(Beni)とイトゥリ(Ituri)州のマンディマ(Mandima)保健地帯の間からずっと報告されています。しかし、現在までに確認されたすべての曝露と感染事象は、アウトブレイクの震源地であるマンジーナにつながっています。北キブ州とイトゥリ州は、国内で最も人口の多い州の一つであり、ウガンダやルワンダとの国境を共有し、100万人以上の国内避難民と周辺国への難民の移住をもたらした紛争や治安悪化を経験しています。
 
 2018年8月15日現在、44人の死者を含む78人のエボラウイルス病の患者(51人が確定、27人がほぼ確実)が報告されています。8月9日に疾病アウトブレイク・ニュース(Disease outbreak news)に発表されて以来、34人の新規確定患者が報告されています。イトゥリ州(マンディマ保健地帯)から7人、北キブ州から27人(ベニで1人、マバラコ保健区で26人)。確定された78人またはほぼ確実な症例は、北キブ州の5つの保健地帯とイトゥリ州の1つの保健地帯に居住しています。 報告された症例の大部分(39人が確定、21人がほぼ確実)がマバラコ保健地帯(図1)のマンジーナからが報告されています。 8月15日現在、エボラウイルス病を確定または除外するために、現在24人の疑いのある症例が検査中です。
 
 保健医療従事者のうち8人の新規確定例が報告され、感染した医療従事者の総数は10人(確定例9人、ほぼ確実の死亡例1人)となりました。これらの医療従事者は、エボラ治療センターではなく、診療所で曝露されている可能性が高く、その多くはアウトブレイクの宣言前に感染している可能性があります。WHOとパートナーは、医療従事者とその他の最前線の作業員の間でエボラの意識を高め、感染予防と管理対策を強化するために取り組んでいます。
 
 コンゴ民主共和国保健省、WHO、およびパートナーは、引き続き他の州および近隣諸国のすべての警戒すべき事例を体系的に監視し、迅速に調査しています。最後の疾病アウトブレイク・ニュースが発行されて以来、ウガンダ、ルワンダ、中央アフリカ共和国だけでなく、コンゴ民主共和国のいくつかの州で警戒すべき事例が調査されました。全例でエボラウイルス病は排除されました。
 
詳細については、以下を参照してください。
http://www.who.int/ebola/situation-reports/drc-2018/en/
 
図1.コンゴ民主共和国、北キブ州とイトゥリ州の保健地帯における確定例とほぼ確実なエボラウイルス病症例、2018年8月15日

公衆衛生上の取り組み

 コンゴ民主共和国保健省は、WHOとパートナーの支援を得て、北キブ州とイトゥリ州で直ちに取り組みを開始しました。優先事項には、近隣州と近隣諸国におけるサーベイランス、接触者の追跡、検査能力、感染予防と管理、臨床管理、ワクチン接種、リスクコミュニケーションとコミュニティの関与、安全で威厳を保った埋葬、対応調整、国境を越えた監視、準備活動の確立と強化が含まれます。
・アウトブレイクの震源地への2日間の訪問の間に、WHO事務局長、WHOアフリカ地域事務局長、緊急事態への備えと取り組み専任のWHO次長、保健大臣とともに、エボラワクチン接種活動の開始を視察し、緊急事態管制センター(Emergency Operation Center)を訪問し、これから先の課題について議論するためにパートナーとスタッフに会って、対応策とニーズを評価しました。
・その後、WHO事務局長とWHOアフリカ地域事務局長がウガンダを訪問し、WHOウガンダ事務所の代表者からエボラウイルス病の準備状況について報告を受けました。WHO事務局長とWHOアフリカ地域事務局長は、その後、ウガンダ首相、外務大臣、保健大臣、およびプライマリヘルスケア国務大臣と会い、エボラウイルス病の準備とWHOの支援について議論しました。
・コンゴ民主共和国保健省は、ベニのメインセンターとマンジーナのフィールド・コーディネーション・センターとともに取り組みを調整するために、マルチパートナ―突発事象管理システム(Multi-partner incident management system)と緊急事態管制センターを起動しました。WHOWHOの国レベル事務所、アフリカ地域事務所および本部の人員との突発事象管理チームを設置し、アウトブレイクへの包括的で効果的な対応を確実にするために緊密に協力しています。
88日に、コンゴ民主共和国保健省は、WHOおよびパートナーの支援を得て、高リスク集団のためにエボラ・リングワクチン接種(包囲接種)の活動を開始しました。最初の日には、医療従事者や他の最前線の現場作業員にワクチンが接種されました。 815日現在、最近確定された13人の周囲に合計5つのリングが定義されました。これらの最初のリングの中で、500人以上の接触者とその接触者がこれまでrVSV-ZEBOVエボラワクチンの接種に同意し、接種を受けました。チームは、ウイルスの感染を止めるために、すべての予防接種を受ける資格のある接触者を特定し、予防接種をすることを継続しています。
・コンゴ民主共和国保健省およびWHOは、影響を受けている地域とその周辺地域のサーベイランスを引き続き強化しています。815日現在、北キブ州とイトゥリ州には120人以上の医療従事者を含む約1600人の接触者が登録されており、毎日フォローアップされています。
815日現在、WHO100人以上の技術者と物流管理の専門家を配置し、取り組みを支援しています。地球規模感染症に対する警報と対応ネットワーク(GOARN)のパートナー機関は、コンゴ民主共和国と国境を接する国々の影響を受けていない州で、取り組みと継続的な即応体制整備と準備活動を引き続き支援しています。即応体制整備と準備活動の詳細については、814日に発行された疾病アウトブレイク・ニュースを参照してください。
83日にベニで開設されたモバイル検査室に加えて、疑わしい症例のタイムリーな診断を容易にするため、ベニ、ゴマ、マンジーナの病院施設でエキスパート・エボラ(Xpert® Ebola)による現地での検査が確立されました。
・国際医療行為同盟(Alliance for International Medical Action)と国境なき医師団はベニとマンジーナにそれぞれ60ベッドのエボラ治療センターを設置しました。パートナーは、コンゴ民主共和国保健省および国立生物医学研究所(INRB)と協力して、未登録の実験的介入の監視下緊急使用(monitored emergency use of unregistered and experimental intervention )プロトコルの下に治療を提供するエボラ治療センターを準備しています。 WHOは、現場で技術的専門知識のサポートを提供しており、データ安全管理委員会の設置を支援しています。
・ユニセフの支援を受けて、コンゴ民主共和国保健省チームは、90人の職員に対して心理社会的なトレーニングを行い、患者および他の影響を受けた人々に心理社会的ケアを提供しています。
・知識、態度、実践(KAP)調査は、地域のエボラウイルス病に対する意識のレベルを評価するためにベニとマバラコ保健地帯で実施されました。調査の結果は、リスクコミュニケーション、社会動員、地域密着戦略を改善するために使用されます。
811日と12日に、低温流通体系の機材、隔離ユニットと車両を供給する飛行機2機がベニに到着しました。

 

WHOのリスク評価

 この最新のエボラウイルス病のアウトブレイクは、ウガンダと国境を接しているコンゴ民主共和国の北東部の州に影響を及ぼしています。国レベルおよび地域レベルでエボラウイルス病を伝達する潜在的なリスク要因には、影響を受けた地域とその他の国と周辺諸国との間の交通機関のつながり、国内避難民、コンゴの難民の近隣諸国への流出などが含まれます。同国は同時にいくつかの感染症の流行と長期的な人道危機を経験しています。さらに、北キブ州とイトゥリ州の治安状況は、取り組み活動の実施を妨げる可能性があります。この背景に基づいて、公衆衛生上のリスクは全国的および地域的レベルで高く、全世界的に低いと評価されました。

WHOからのアドバイス

 戦略諮問委員会(SAGE)のエボラワクチン作業部会と戦略的諮問委員会メンバーは、疫学的状況と異なるエボラワクチン候補と異なる介入の影響に関して利用可能なエビデンスを検討しました。リングワクチン接種が依然として好ましい戦略ですが(20174月の戦略的諮問委員会報告書に記載されているように、検査で確定されたエボラ症例の周囲のリングワクチン接種が実現不可能な場合、例外的な選択肢として地理的標的アプローチが提案されました。さらに候補となるワクチンが認可される前にエボラウイルス病のアウトブレイクが発生した場合、rVSV-ZEBOVエボラワクチンはインフォームドコンセントと臨床試験実施基準(Good Clinical Practice)に準拠した拡大参加Expanded Access)の枠組みのもとで速やかに導入されることを推奨すること、アウトブレイクがザイール以外のエボラウイルス型によって引き起こされるなら、推定上のウイルス型を標的とする他の候補ワクチンの使用を考慮すべきであることが暫定的に推奨されました。

詳細については、以下を参照してください。

http://www.who.int/immunization/policy/sage/Interim_recommendation_Ebola_vaccines.pdf?ua=1&ua=1


 調査がこのアウトブレイクの全範囲を確定するために続いていて、国および地域での拡大のリスクが高いままであるため、近隣の州および国にとって監視および準備活動を強化することが重要です。WHOは近隣諸国やパートナーと引き続き協力して、保健当局が警戒し、取り組みに対する準備が整っていることを確実なものにします。

 WHOは、現在利用可能な情報に基づいて、コンゴ民主共和国への旅行および貿易の制限に反対であると助言します。WHOは引き続き厳密に監視し、この事象に関連した旅行および貿易措置を必要に応じて検証します。

 

出典

Ebola virus disease -Democratic Republic of the Congo
Disease outbreak news 17 August 2018
http://www.who.int/csr/don/17-august-2018-ebola-drc/en/