黄熱 - コンゴ共和国

Disease outbreak news, 201897, WHO

概況説明

201875日、コンゴ共和国のビッソンゴ(Bissongo)に住む20歳の男性が、前日に発症した熱のためポワント・ノワール(Pointe-Noire)市のロアンジリ(Loandjili)地区にあるビッソンゴ保健所を訪れました。79日、黄疸や持続的な発熱の発症により、彼は同じ医療施設に戻りました。患者は、黄熱ワクチンの接種歴、出血症状の病歴も有していませんでした。患者は発症の2週間前にNgoyoおよびTchiamba Nzassi地区に旅行していました。Tchiamba Nzassiはアンゴラ・カビンダ州との国境沿いに位置するポワント・ノワールの農村です。

 

彼は認可された医療施設に入院し、抗マラリア薬や抗生物質治療を受けました。黄熱病も鑑別診断として疑われていたため、710日に血液検体が集められ、コンゴ民主共和国のキンシャサにある国立生物医学研究所(INRB)に送って検査しました。726日、この検体は血清学的検査で黄熱に対して陽性との結果が出ました。730日に国立生物医学研究所は、確認のためにセネガルのダカール・パスツール研究所(Institut Pasteur de Dakar)に検体を送付しました。821日、この検体は高力価での血清中和検査で黄熱に対して陽性でした。

 

黄熱の確定後、影響を受けた地域で調査が行われました。ポワントノワールにある16の保健所の登録簿による過去にさかのぼった検索では、2018年において、黄熱に対する臨床例の定義に合致する追加の疑い例が69件見つかりました。疑わしい症例の56件がすでに国家監視システムに登録されました。感染が疑われる2人がアンゴラに滞在していたと報告されました。これらの症例のうち43例から検体を採取し、国立生物医学研究所に送付しました。すべての検体が黄熱に対して陰性でした。影響を受けた地域の昆虫学的調査では、ヒト - ヒト感染の可能性および迅速な増幅の可能性を示す都市型黄熱伝播の原因となる高濃度の蚊ベクター(ネッタイシマカ)の存在が明らかにされています。疑わしい症例の家の周りに蚊の幼虫生息地が見つかっており、この状況は雨期の到来とともに悪化する可能性があります。

公衆衛生上の対応

保健人口省(Ministry of Health and PopulationMoHP)は、2018822日にポワントノワールで黄熱のアウトブレイクを宣言し、国家発生委員会が速やかに活動しました。WHOは国際保健規則(IHR 2005)に沿って2018823日に通知を受けました。

 

WHOは約100万人の人口を有するポワントノワール地域を対象とした大規模な予防とワクチン接種キャンペーンのための緊急対応計画と、国際協調グループ(International Coordinating Group:ICG)への黄熱ワクチン供給の要求準備において、コンゴ共和国を支援しています。また、産油国のコンゴ共和国はGavi(The Vaccine Alliance)の支援対象となっていないため、WHOが資金・物資の調達活動についても支援しています。

 

WHOは、確認された症例患者の居住・勤務地周辺200メートルの地域で、成虫の蚊と幼虫の標的媒介昆虫の制御活動を実施する保健人口省(MoHP)を支援しています。また、WHOは昼間の蚊帳の使用を推奨するとともに、入境地点におけるサーベイランス、ケースマネジメント、一般市民の意識啓発を強化するための技術支援を提供しています。

 

WHOのリスクアセスメント

人口密度の高い都市部のポワントノワール(人口120万人)で黄熱の症例が確認され、影響を受けた地域では予防接種が十分に行われていない可能性があるため、コンゴ国内、特に首都ブラザビル(Brazzaville)に広がる潜在的なリスクがあり、全国的な公衆衛生上のリスクは高くなっています。影響を受けた地域の昆虫学的調査では、黄熱の都市型伝播の原因となるネッタイシマカの高密度が明らかになり、迅速な増幅の可能性が示されました。近づいている雨期は、このリスクを潜在的に増加させる可能性があります。したがって、利用可能な情報に基づいて活発的な都市型伝播の兆候はないが、都市流行のリスクを緊急に軽減する必要があります。

 

地域レベルでのリスクは、アウトブレイクの範囲と動態に関する情報が不足しているために、また、特にアンゴラのカビンダとガボンとの間の国境を越えた動きのために、中程度であると考えられます。ポワントノワールは国際空港と他の大都市とのリンクを持つ港湾都市であり、石油産業の拠点です。アンゴラとコンゴ民主共和国は、最近、大規模な予防と黄熱の予防接種キャンペーンをそれぞれ実施しました。しかし、コンゴ民主共和国の人口免疫レベルは、ポワントノワールに隣接する地域など、2016年のキャンペーンの対象外の地域では低いままです。ポワントノワールの黄熱のアウトブレイクに関連する他の黄熱の症例は現段階では、コンゴ共和国国外において報告されていません。

 

地球規模でのリスクは低いと考えられます。リスクを注意深く監視し、定期的に再評価する必要があります。

 

WHOの推奨事項

黄熱ワクチン接種は、黄熱の予防および制御のための主要な手段です。都市中心部では、標的とされた媒介昆虫の制御手段もまた、伝播を遮断するのに役立ちます。WHOとパートナーは、現在のアウトブレイクを抑制するためのこれらの介入を実施するために引き続き地方自治体を支援しています。

 

WHOは、黄熱ウイルス感染の証拠があるため、コンゴ共和国に向かう9カ月以上のすべての国際旅行者に対して、黄熱の予防接種を推奨しています。コンゴ共和国では、9カ月以上のすべての旅行者に黄熱ワクチン接種証明書が必要です。黄熱の予防接種は安全で、非常に効果的で、生涯にわたる保護を提供します。IHR2005)によれば、黄熱に対するワクチン接種の国際証明書は、ワクチン接種された人の生涯に渡り有効です。黄熱ワクチンの追加投与は、入国の条件として国際的な旅行者に要求されることはありません。

 

WHOは、加盟国に対し、ワクチン接種を含むリスクと予防措置について旅行者に十分な情報を提供し続けるために必要なすべての措置を取ることを奨励します。また、旅行者には、黄熱の症状や徴候を認識し、これらの症状が現われた際には医師の助言をすばやく求めるよう指示する必要があります。ウイルス血症(Viraemic)の帰国旅行者は、有能な媒介昆虫が存在する地域では黄熱伝播の地方の循環を確立するリスクを負う可能性があります。

 

WHOは、現在利用可能な情報に基づいて、このアウトブレイクに関連してコンゴ共和国への旅行または貿易に関するいかなる制限を適用することに反対しています。

出典

Yellow fever - Republic of the Congo”

Disease outbreak news, 7 September 2018, WHO

http://www.who.int/csr/don/7-september-2018-yellow-fever-congo/en/