中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV) - サウジアラビア

Disease outbreak news   2018年11月1日

2018年9月17日から10月15日まで、国際保健規則(IHR 2005)によるサウジアラビアの国の窓口は、3人の死亡を含む8人の新たなMERS-CoV感染症例を報告しました。報告された8人のうち、3人はダンマーム(Dammam)のある病院からの院内接触例であり、2人はリヤドでの家庭内の接触例でした。これらの感染例の詳細は、別の文書に記載されています(下記のリンクを参照)。

MERS-CoV cases reported between 17 September and 15 October 2018
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2012年から2018年10月15日まで、世界保健機関(WHO)に報告された検査室で確定されたMERS-CoV症例の全世界における合計数は2262人であり、803人の関連死亡者を伴っています。
全世界の数字は、国際保健規則IHR 2005の下で今日までWHOに報告された検査室で確定された症例の総数を反映しています。総死亡者数には、中東呼吸器症候群の影響を受けているWHO加盟国のフォローアップを通して、今日までWHOに知らされている死亡者も含まれます。

WHOのリスク評価

MERS-CoVによる感染は、高い死亡率をもたらす重篤な疾患を引き起こします。ヒトは、直接的または間接的なヒトコブラクダとの接触を通して、MERS-CoVに感染します。 MERS-CoVは、ヒトの間で感染伝播する能力を実証しています。これまでに観察された非持続的なヒトからヒトへの感染は、主に医療施設で発生しています。

追加の事例の通知は、全体的なリスク評価を変更するものではありません。 WHOは、中東からMERS-CoV感染の症例が追加で報告されることを予想しており、動物や動物性食品(例えばラクダとの接触に続いて)またはヒト(例えば医療施設において)に曝露した後に感染を獲得した可能性がある個人によって、引き続き感染例が他の国に輸出されることを予想しています。WHOは疫学的状況を監視し続け、利用可能な最新の情報に基づいてリスクアセスメントを実施しています。

WHOからのアドバイス

WHOは、現在の状況と入手可能な情報に基づき、すべての加盟国に対し、急性呼吸器感染症のサーベイランスを継続し、通常ではないパターンを慎重に検討するよう奨励しています。 MERS-CoVが医療施設に広がる可能性を防ぐためには、感染予防と管理策が不可欠です。他の呼吸器感染と同様に、MERS-CoVの初期症状は非特異的であるため、早期にMERS-CoV患者を特定することは必ずしも可能ではありません。したがって、医療従事者は、診断にかかわらず、常にすべての患者に一貫して標準予防策を適用するべきです。急性呼吸器感染症の症状を有する患者に看護を提供する際には、標準予防措置に飛沫感染対策を追加する必要があります。 MERS-CoV感染のほぼ確実例または確定症例に看護を提供する際には、接触感染予防策および目の保護を追加すべきです。エアロゾルが生じるような手技を実行するときは、空気感染の予防措置を適用すべきです。

MERS-CoVは、糖尿病、腎不全、慢性肺疾患、および免疫不全を有する人々に、より重篤な疾患を引き起こすようです。したがって、これらの人々は、ウィルスが潜在的に伝播していることが知られている農場、市場、または納屋を訪れる際に、動物、特にラクダとの濃厚接触を避けるべきです。 一般的な衛生対策、例えば、動物に触れる前後で規則的に手洗いをする、病気の動物との接触を避けるといった一般的な衛生対策がきっちり守られるべきです。食品衛生習慣は遵守されるべきです。 人々は生のラクダのミルクやラクダの尿を飲むこと、または適切に調理されていない肉を食べることを避けるべきです。

WHOは、入境地点でこの事象に関する特別なスクリーニングを勧告しておらず、現在はいかなる旅行や貿易制限の適用を推奨していません。

出典

Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV)-Saudi Arabia
Disease outbreak news   1 November 2018
http://www.who.int/csr/don/01-november-2018-mers-saudi-arabia/en/