黄熱-エチオピア

WEEKLY BULLETIN ON OUTBREAKS AND OTHER EMERGENCIES
Week44:2018年10月27日-11月2日 WHOアフリカ地域事務局

事象の説明

黄熱のアウトブレイクがエチオピア南西部に位置する南部諸民族州(SNNP)ワライタ(Wolaita) 県で確認されています。

2018年10月29日にダカールのパスツール研究所(Institut Pasteur Dakar)が発表したテスト結果は21検体のうち5検体がプラーク減少中和試験(PRNT)を用いて黄熱に陽性でした。予備試験結果(2018年10月26日ダカールのパスツール研究所)は、5つの検体が血清学的に黄熱病免疫グロブリンM(IgM)陽性であり、2検体はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)において陽性でした。

この事象は、最初に南部諸民族州の地域保健局によって報告されました。
2018年10月3日、死亡7例を含む黄熱が疑われる16例がワライタ県オファ・ワレダ(郡に相当)で発生しました。 インデックス(発端)症例は2018年8月21日に病気を発症し、地域病院で2018年8月28日に他の全身症状に加えて、黄疸と鼻出血が出現しました。最初の症例患者16人のうち、11人は鼻出血、7人は黄疸、それらの内5人は死亡しました。症例患者のうち、黄熱ワクチン接種を受けた者はいませんでした。また旅行歴もありませんでした。初期患者から集められた9つの血液検体のうち1つは、エチオピア公衆衛生研究所のPCRにより黄熱に対して陽性でした。

2018年8月21日から2018年10月26日の間に、黄熱症例疑い35人は南部諸民族州ワライタ県の2つの郡で報告されています。確定されたすべての症例は、38-40週でオファ郡からです。保健施設における6人とコミュニティにおける4人を含む10人の死亡が報告されました(致死率28.6%)。男性と女性は等しく影響を受け(性比1:1)、影響を受けた者の年齢は7歳から70歳の範囲です。 42週目以降から新たな症例は報告されていません。

公共衛生上の取り組み

・国際調整グループ(ICG)は、2つの県(ガモ・ゴファ(Gamo Gofa)とワライタ)の9つの郡の134万人を対象とした、集団予防接種キャンペーンに対して国際的な緊急ワクチンの備蓄からの黄熱ワクチン145万回分を承認しました。キャンペーンに関するマイクロプランニングや一般市民に対する啓発を含む他の活動は進行中です。
・2018年10月中旬、オファ郡で即時反応型ワクチン接種キャンペーンが実施され、対象者数は31,365人で、99.2%をカバーしました。
・連邦保健省と地方保健省による合同迅速対応チームがWHOと他のパートナーの支援を受けて、影響を受けている地域に展開されています。
・積極的な症例検索や事例調査を含む強化されたサーベイランスは、ワライタのすべての郡で進行中です。
・ゲスバ(Gesuba)保健センターで症例マネジメントが実施され、進行中です。
ワライタ県のオファ、ワライタ・ズリヤ(Wolaita Zuriya)、Humbo郡で昆虫学的調査を行い、取り組み対策に知見を用いました。
・殺虫剤処理された蚊帳および屋内残留噴霧の配布を含む、影響を受けた地域でのベクター制御対策が強化されました。
・地元のラジオ放送を利用して、意識啓発活動や予防活動の推進が行われています。

発生状況の説明

国の南西部にあるエチオピアの南部諸民族州地域では、黄熱のアウトブレイクが確認されています。このアウトブレイクは、エチオピア人には最近の曝露がなく、大規模な予防接種がないため、彼らが黄熱に高度に感受性があることから懸念されています。地理的に黄熱ベルトの中に横たわっているエチオピアでは1960年代まで頻繁にアウトブレイクを経験していました。それ以後143人の確定症例を出した南部諸民族州地域での黄熱が再流行した2013年まで、アウトブレイクはありませんでした。
黄熱を排除するためのグローバルな戦略(EYE)は、エチオピアを最優先国と位置付け、2020年に向けて黄熱ワクチン接種の定期予防接種化を予定しています。

影響を受ける地域は田舎であり、人口密度は低いですが、地域内の紛争による人口や家畜の移動は、さらなる拡散のリスクを構成します。影響を受ける地域では、保健医療のインフラと医療を求める行動が最適ではないことが、多分比較的高い死亡率をもたらしています。観察されたリスク要因は、家屋周辺の媒介動物であるネッタイシマカ(Aedes mosquitos)とその繁殖場所の存在、ならびに家屋および農地がジャングル地帯に近接していることにあります。

ワクチン接種は、農村地域の黄熱の予防および管理のための主要な手段です。 オファ郡で直ちに対応するワクチン接種キャンペーンが実施されました。
計画された大規模ワクチン接種キャンペーンは、遅滞なく開始する必要があります。

出典

AFRO/WHO.Outbreaks and other emergencies updates.2 November 2018
Outbreaks and Emergencies Bulletin.P3.Week44:27 October-November 2018

http://apps.who.int/iris/bitstream/handle/10665/275741/OEW44-271002112018.pdf