エボラウイルス病 - コンゴ民主共和国(更新6)

12月4日現在、北キブ州とイトゥリ州で、271人の死亡を含む458人のエボラウイルス病症例が報告されています。
このアウトブレイクにおける女性と子供への感染が懸念されています。
これまでに、性別が報告された症例(450)のうち62%(280)を女性が、年齢が報告された症例(447)のうち24%(106)を15歳未満の子供が、それぞれ占めています。
1歳未満の乳児27人のうち21人(78%)が死亡しました。
 

疾病アウトブレイクニュース:更新 2018年12月6日

コンゴ民主共和国の北東部におけるエボラウイルス病の発生に取り組むことは、引き続き多面的な課題となっています。 世界保健機関(WHO)は依然として、実績のある公衆衛生対策(接触者追跡、地域社会の関与)、手元にある新しいツール(ワクチンおよび治療薬)を活用することにより、アウトブレイクを封じ込められ、終わらせると確信しています。
報告期間中(2018年11月28日-12月4日)、新たに35人の症例が北キヴ州とイトゥリ州の9つの保健区域から報告されました。
ベニ(Beni)(8人)、コマンダ(Komanda)(8人)、カトワ(Katwa)(8人)、ヴホヴィ(Vuhovi)(3人)、カルングタ(Kalunguta)(2人)、ビュトンボ(Butembo)(2人)、マバラコ(Mabalako)(2人)、マセレカ(Masereka)(1人)、およびムトワンガ(Mutwanga)(1人)です。 コマンダとマバラコの保健区域の最近の症例は、長期間新しい症例の検出がなかった後(潜伏期が2回を超える)で起きたことによって、ウイルスの再導入のリスクとサーベイランスを強化する必要性を強調することになりました。コマンダの症例は、ベニの母親とその子どもの感染に由来しています。コマンダの危険な状態が取り組み活動を困難にはしましたが、接触者追跡やワクチン接種を含む制圧対策は、症例の検出直後に開始されました。
不十分な感染予防と管理の実践を行っている公的および私的保健センターは引き続きアウトブレイク拡大の主要な原因となっています。報告期間中、医療従事者には2つの新しい感染が報告され、さらに少なくとも別の1つの新しい症例が、普段の受診の間に感染した医療従事者からエボラウイルス病を獲得した可能性が高いです。現在までに合わせて44人の保健医療従事者(41人の看護師と3人の医師)が感染しており、うち59%(26人)が女性でした。
報告期間中、ベニ(12人)およびビュトンボ(9人)のエボラ治療センター(ETC)から21人の追加生存者が退院し、地域社会に再統合されました。合計142人の患者がこれまでに回復しています。
12月4日現在、北キブ州の11の保健区域とイトゥリ州の3つの保健区域で、271人の死亡を含む458人のエボラウイルス病症例(確定した410人とほぼ確実な48人)が報告されています(図1)。アウトブレイクの疫学的曲線(図2)は、2つの異なる段階を示します。第1段階はマンギナを中心とし、1ヶ月以内に大部分が制圧されました。第2の波は、多くの地域に分散しており、1日に約5人の新症例を伴って2ヶ月以上続いています。最近の症例については検出と報告の遅延が予想されることから、週ごとの症例発生率の全体的な傾向は慎重に解釈されなければなりません。
コンゴ民主共和国の他の州や近隣諸国へのアウトブレイクの危険性は非常に高いままです。この1週間で、コンゴ民主共和国内のいくつかの州、南スーダン、ウガンダから警報が報告されました。 エボラウイルス病はこれまでのすべての警報において除外されています。

図1:2018年12月4日時点でのコンゴ民主共和国北キブ州とイトゥリ州の保健区域におけるエボラウイルス病確定例とほぼ確実例


図2:2018年12月4日時点までに発症した週ごとのエボラウイルス確定症例とほぼ確実例のデータ


*ここ数週間のデータは、症例の確定と報告、継続中のデータクリーニングにおける遅延の影響下にあります。この期間中の傾向は慎重に解釈する必要があります。

女性と子供のエボラウイルス病

このアウトブレイクにおける女性と子供への偏った感染が懸念されています(図3)。現在までに、性別が報告された症例全体の62%(280/450)を女性が占めていました。女性の症例のうち、83%(230/277)が15歳以上でした。これらの女性のうち、少なくとも18人が妊娠しており、さらに7人が授乳中であったか、または感染時とほぼ同時に分娩していました。 1歳未満の乳児のうち27人が感染しており、70%(19人)が男児で、21人の死亡例(年齢別死亡率78%)がありました。 1ヵ月未満の乳児は9人いました。 15歳未満の子供は24%(106/447)の症例を占めました。
女性と子供に見られるこの偏った病気の負担に寄与する要因は、おそらく多数あります。これらには、公式および非公式の保健施設内での曝露、伝統的な埋葬慣行への関与、家族グループ内での伝達(子どもを育てる母親間の伝達を含む)、健康を求める行動の相違、疾病の影響を受けている地域における基礎となる集団構造への進行中の紛争の影響が含まれます。入手可能な情報がある症例の間で、症例から報告される一般的に特定されるリスク要因は、既知の症例との接触(224/320, 70%)、葬儀への出席(121/299, 40%)、エボラウイルス病を発症する前に保健施設を訪問/入院(46/139, 33%)が含まれます。男性の症例の31%(37/118)とは対照的に、女性の46%(84/181)が葬儀に出席したと報告していることは注目に値します。マラリアの症例の同時増加と保健施設における不十分な感染予防・管理が合わさって、小児のエボラウイルス病感染率の上昇に寄与している可能性が高いのです。最近の12月2日のベニにおける4日間のマラリア対策キャンペーンの結論は、マラリアのさらなる死亡を防止し、この潜在的な感染源に対処するために保健センターの負担を軽減することを目的としていました。
保健省とWHOは、女性(妊娠中または授乳中の女性を含む)および幼児に見られるリスクの増加に対処し、これらのグループの感染を防止および管理する手段をさらに強化するために、ユニセフや他のパートナーとともに積極的に取り組んでいます。

図3:2018年12月4日のデータ、年齢および性別によるエボラウイルス病の確定例とほぼ確実例


*ここ数週間のデータは、症例の確定と報告、継続中のデータクリーニングにおける遅延の影響下にあります。この期間中の傾向は慎重に解釈する必要があります。

公衆衛生上の取り組み

保健省は、WHOおよびパートナーの支援を得て、対応策を強化し続けています。サーベイランス、接触者の追跡、検査室の能力、感染予防と管理、患者の臨床管理、予防接種、リスクコミュニケーションと地域社会の関与、心理社会的支援、安全で尊厳のある埋葬(SDB)、近隣の州や国における国境を越えたサーベイランスと準備活動を調整することが優先事項です。医療施設、特に妊産婦診療所における感染予防と管理の実践は、さらに強化される必要があります。厳格な手指衛生は不可欠です。
WHOとパートナーによる公衆衛生上の取り組みに関する詳細情報については、WHOアフリカ地域事務所が発行した最新の状況報告書を参照してください。
エボラ状況報告:コンゴ民主共和国

WHOのリスク評価

このエボラウイルス病のアウトブレイクは、ウガンダ、ルワンダ、南スーダンに接するコンゴ民主共和国の北東部の地域に影響が及んでいます。国家レベルおよび地域レベルでエボラウイルス病を伝達する潜在的なリスク要因には、アウトブレイクが影響している地域、コンゴ民主共和国の他の地域と近隣の国々との間の人の往来、国内難民が含まれます。同国は、他の流行(例えば、コレラ、ワクチン由来のポリオ、マラリア)、および長期の人道的危機を同時に経験しています。さらに、北キブ州とイトゥリ州の治安状況は、時には取り組み活動の実施を制限しています。このアウトブレイクに対するWHOのリスク評価は、現在、国レベルおよび地域レベルで非常に高くなっていますが、世界的なリスクレベルは低いままです。 WHOは、現在利用可能な情報に基づいて、コンゴ民主共和国へのいかなる旅行および貿易の制限に反対する助言を継続しています。
国や地域の広がりのリスクは非常に高いので、周辺の州や国がサーベイランスと準備活動を強化することが重要です。国際保健規則(IHR 2005)の緊急委員会は、これらの準備と監視活動を強化しないと、状況は悪化し、さらに拡大する可能性があると助言しています。 WHOは、近隣諸国やパートナーと引き続き協力し、保健当局が警戒しており、対応する準備が整っていることを確実にしています。

WHOのアドバイス

国際交通:現在利用可能な情報に基づいて、WHOはコンゴ民主共和国への旅行および貿易のいかなる制限を行わないよう助言しています。現在、エボラウイルスから人々を守るためのワクチンは認可されていません。したがって、エボラワクチン接種証明書の要件は、国境を越えた移動やコンゴ民主共和国を離れる乗客のためのビザの発給を制限するための合理的な基盤ではありません。 WHOは引き続き、この事象に関連して旅行および貿易措置を厳密に監視し、もし必要であれば検証します。現在、コンゴ民主共和国との間の国際往来を著しく妨げる旅行措置を実施した国はありません。旅行者は旅行前に医師の助言を受け、良好な衛生健康法を実践すべきです。

出典

Ebola virus disease – Democratic Republic of the Congo
Disease outbreak news: Update   6 December 2018
https://www.who.int/csr/don/06-December-2018-ebola-drc/en/