ポリオ-コンゴ民主共和国

Disease outbreak news 2019年1月8日

2018年10月現在、コンゴ民主共和国の上カタンガ(Haut-Katanga)州ムフンガ-サムプエ(Mufunga-Sampwe)地区から2つの症例において、遺伝的に関連した伝播型ワクチン由来ポリオウイルス2型(cVDPV2)の分離株が検出されました。最初の症例は、10月6日に急性弛緩性麻痺(AFP)の発症を経験した11歳の子どもでした。 2番目の症例は、10月7日に発症を経験した29ヶ月の子どもで、最初の症例の接触者であることが分かっています。分離されたウイルスは新たに出現したもので、これまでに検出されたcVDPV2とは無関係です。これは、2017年6月以来、国内で検出されたcVDPV2の4番目のアウトブレイクです。合計で、2017年6月の最初のアウトブレイクの検出以来42人のcVDPV2症例が確認され、そのうち20人が2018年に検出されました。

公衆衛生上の取り組み

2018年2月、政府はcVDPV2を国家公衆衛生上の緊急事態として宣言しました。 2018年7月26日、保健大臣、世界保健機関(WHO)事務局長、アフリカ地域局長、そして州知事が緊急のハイレベル会合を開き、「ポリオ撲滅キンシャサ宣言」に署名しました。州知事は、全国で実施されているアウトブレイク対応の質を緊急に改善するために必要な監視、説明責任、および資源の提供について誓約しました。アウトブレイク対応について残っている実施上の未達成部分が適切な監視と関与で緊急に解消されることが不可欠です。

WHOとパートナーは、一価経口ポリオワクチン2型(mOPV2)の投与を含む、国際的なアウトブレイク対応プロトコルに従って対応しています。ただし、高リスク集団の予防接種不足などの実施上の未達成部分が、これらのプロトコルの完全な実施を妨げ続けています。このように、これまでの対応はアウトブレイクを適切に制圧したり、その拡大を妨げたりしていません。上カタンガからのcVDPV2の4回目のアウトブレイクのうち、最近の発生は、可能性として以前のmOPV2の使用に起因していると言うことができ、効果的に適応し、タイムリーなやり方で必要な是正措置を実施するための対応プログラムの現在の限られた能力に関連するかもしれません。

これらの株のいくつかが地理的に拡大し、新しい株が出現したという証拠により、2018年9月と2018年10月に全国26州中16州において1, 200万人の子どもを対象とする2ラウンドの大規模mOPV2接種キャンペーンが実施されました。サーベイランスおよび予防接種活動は、コンゴ民主共和国および近隣諸国で引き続き強化されています。

ポリオのアウトブレイクへの対応は、コンゴ民主共和国東部の北キブ州に影響を及ぼしている進行中のエボラウイルス病のアウトブレイクと同時に行われています。ポリオのアウトブレイク対応チームは、より広範な人道的緊急ネットワークと緊密に連携して、両方のアウトブレイクが協調的に対処されるようにしています。

WHOによるリスク評価

現在、WHOは、これら4度のアウトブレイクに関連する全国的な公衆衛生リスクが非常に高いと見なしています。国際的な広がり、特に近隣諸国への広がりのリスクは、これらのアウトブレイクが国際的な国境近くで継続しているため、依然として高いままです。このリスクは、コンゴ民主共和国のアウトブレイクの影響を受けている地域と、ウガンダ、中央アフリカ共和国、ザンビア、南スーダン間の知られた人口移動によって拡大されています。

2018年7月現在、報告されたポリオ症例の疫学、分離されたポリオウイルスの遺伝学的分析、国内外でのさらなる拡大のリスク、および国の対応能力を考慮すると、このアウトブレイクはWHO緊急対応フレームワークに基づくグレード2の公衆衛生非常事態として分類されます。

cVDPV2の検出は、ポリオウイルス伝播の危険性およびその結果を最小限にするために、高い定期予防接種率を維持することの重要性を強調しています。これらの事象は、ウイルスの低レベルの伝播によってもたらされる危険性をも浮き彫りにします。さらなる感染拡大を防止し、影響を受けている地域での十分な予防接種を確実にし、将来的に同様のアウトブレイクを防ぐためには、確固としたアウトブレイク対応が必要です。 WHOは、疫学的状況および実施されているアウトブレイク対応措置に対する監視および評価を継続します。

WHOからのアドバイス

すべての国、特に頻繁にポリオの影響を受ける国や地域に旅行するおよびそれらの国や地域と接している国では、新しいウイルスの輸入を迅速に検出し、迅速な対応を促進するために、急性弛緩性麻痺症例のサーベイランスを強化することが重要です。国、領土、および地域でも、いかなる新しいウイルスの導入による影響を最小限に抑えるために、県レベルで一様に高い定期予防接種の接種率を維持する必要があります。

WHOの国際旅行と保健(International Travel and Health)は、ポリオの影響を受けている地域へのすべての旅行者に、ポリオの予防接種を完全に受けさせることを推奨します。流行地に4週間以上滞在する居住者および訪問者は、旅行後4週間から12ヶ月以内に経口ポリオワクチン(OPV)または不活化ポリオワクチン(IPV)の追加投与を受けるべきです。予防接種を受けた個人に予防接種の状況を記録するための適切な文書が提供されるようにするための努力も必要です。

国際保健規則(IHR 2005)に基づいて開催された緊急委員会の助言のとおりに、それが依然として国際的に懸念される公衆衛生緊急事態(PHEIC)である限りは、ポリオウイルスの国際的拡大を制限するための努力は続けなければなりません。ポリオウイルス感染の影響を受けている国は一時的な勧告の対象となります。 PHEICの下で発行された一時的な勧告に従うために、ポリオウイルス伝播の影響を受けた国は、アウトブレイクを国家公衆衛生上の緊急事態として宣言すべきです。

現時点では、WHOは、現在のcVDPV2のアウトブレイクについて入手可能な情報に基づいて、コンゴ民主共和国への旅行および貿易に対する制限を推奨していません。

急性弛緩性麻痺サーベイランスと定期予防接種、ならびに他のワクチン予防可能な疾患の管理に関連する活動を強化するために、コンゴ民主共和国と近隣諸国との間で国境を越えた活動が行われるべきです。近隣の州と地区との間の直接的かつ定期的な協力は、正式な行政上および政治上の表明を待ってすぐに始められるべきです。

出典

Poliomyelitis - Democratic Republic of the Congo
Disease outbreak news   8 January 2019
https://www.who.int/csr/don/08-january-2019-poliovirus-drc/en/