エボラウイルス病 - コンゴ民主共和国(更新11)

Disease outbreak news:更新 2019年2月14日

過去1週間で報告された症例がわずかに少なかったにもかかわらず(図1)、現在の疫学的指標はエボラウイルス病(EVD)のアウトブレイクが中程度の強度で続いていることを強調しています。 カトワ(Katwa)とビュトンボ(Butembo)は依然として懸念すべき主要な保健区域ですが、同時に、地理的に分散したさまざまな地域で小さなクラスターが発生し続けています。過去21日間(2019年1月23日から2019年2月12日まで)に、カトワ(59)、ビュトンボ(12)、ベニ(Beni)(7)、キョンド(Kyondo)(4)、オイチャ(Oicha)(4)、ヴホヴィ(Vuhovi)(3)、ビエナ(Biena)(2)、カルングタ(Kalunguta)(2)、コマンダ(Komanda)(1)、マングレジーパ(Manguredjipa)(1)、マバラコ(Mabalako)(1)、マセレカ(Masereka)(1)、およびムトワンガ(Mutwanga)(1)1を含む97例の新しい症例が13の保健区域から報告されました(図2)。コマンダ(Komanda)保健区域で報告された症例は、ウイルスに暴露され、その後ブニア(Bunia)とコマンダ両方に旅行したカトワの居住者でした。この症例は、イトゥリ(Ituri)州で最後に報告された症例の1か月後に発生していて、以前にこの疾患が流行した地域への再導入の高いリスク、および新しい地域への拡大の可能性を強調しています。

2月12日現在、823人のエボラウイルス病症例2(確定762人および高度疑い61人)が報告されており、そのうち517人が死亡しました(症例全体における致死率:63%)。累計では、18の保健区域にわたる287の保健地域のうち118の地域から症例が報告されており、そのうち過去21日間に37の保健地域が症例を報告しています。これまでに、283人がエボラ治療センター(ETCs)から退院し、専用の監視および支援プログラムに登録しています。新たに1人の医療従事者の感染がカトワで報告されました。今日までに、合計68人の医療従事者が感染しています。

この1週間の主な課題は、特にカトワを中心とした地域社会の不信に関連し、疑わしい事例を報告すること、治療のため早期にエボラ治療センターを受診すること、地域社会を基盤とした予防と対応の取り組みに参加することに対して、地域社会のメンバーがより積極的になるように促すことの難しさにあります。しかし、これらの長期にわたる課題に直面して、対応戦略はエボラウイルス病の拡大を抑えるのに効果的であることが実証されています。メンバーとの関わりを強化することによって地域社会の信頼を高めることは、対応チームにとって依然として最優先事項です。

2月13日、保健省(MoH)は戦略的対応計画3(SRP 3)を開始しました。この計画では、今後6ヶ月間(2019年2月から7月まで)の保健省、WHO、およびすべての実施パートナーの対応戦略、目的、および予算要件を示しています。 SRP 3では、実際の運用に関するレビューからの推奨事項を考慮し、SRP 2の範囲で学んだ教訓を生かした一連の新しい戦略的方向性に基づいています。活動は、北キブ(North Kivu)州およびイトゥリ州におけるエボラウイルス病の伝播を阻止し、他の州や近隣諸国への拡大を予防することを目的として展開されます。

WHOは、SRP 3に概説されている戦略を通じて、このアウトブレイクが成功裏に終結されることを依然として確信しています。保健省、WHO、およびパートナーは、計画で定められた目標を達成するために1億4800万円を要すると訴えています。 WHOとパートナーは、このアウトブレイクを阻止するために必要な資金を提供する国際社会の継続的な支援に期待しています。

図1: 2019年2月12日時点までに発症した週ごとのエボラウイルス病の確定例と高度疑い例データ(n = 822)



図2:2019年1月22日から2月11日の間にコンゴ民主共和国北ギブ州およびイトゥリ州における居住地別のエボラウイルス病の確定例と高度疑い例(n = 101)*




*入手可能な最新の詳細な症例毎の疫学情報リスト(2019年2月11日時点のデータ)に基づいてマップし、この日付以降に報告されたケース、および村または保健地域の詳細情報が遅延したもしくは欠落しているケースを除外します。保健区域による症例の分類は、報告された居住地とは異なる場合があります。

公衆衛生上の取り組み

保健省、WHO、およびパートナーによる公衆衛生上の取り組みの詳細情報については、WHOアフリカ地域事務所が発表した最新の状況報告を参照してください。
Ebola situation reports: Democratic Republic of the Congo

WHOによるリスク評価

WHOは、疫学的状況の変化とアウトブレイクの状況を継続的に監視し、対応への支援が進化する状況に適応することを確実にします。 2019年2月7日に行われた最新のレビューでは、世界的なリスクレベルは低いままですが、エボラウイルス病のアウトブレイクが国および地域レベルでもたらす高いリスクを示しています。このエボラウイルス病のアウトブレイクは、ウガンダ、ルワンダ、南スーダンに隣接するコンゴ民主共和国の北東部の州に主に影響を及ぼしています。経済的および個人的な理由から、ならびに治安が悪いために、この疾病の被害を受けている地域、国内の他の地域および近隣諸国の間を広範囲に人々が移動するため、国レベルおよび地域レベルでエボラウイルスが伝播する潜在的なリスクがあります。コンゴ民主共和国は他の感染症(例えばコレラ、ワクチン由来のポリオ、マラリア)と長期の人道的危機を同時に経験しています。さらに、北キブ州とイトゥリ州の脆弱な治安状況により、対応活動の実施がさらに制限されることがあります。
国や地域での拡大の危険性が非常に高いので、近隣の州や国々がサーベイランスと準備活動を強化することが重要です。国際保健規則(IHR 2005)緊急委員会は、これらの備えおよびサーベイランス活動を強化しないことは、状況を悪化させ、さらに拡大することにつながると助言しています。 WHOは近隣の国々やパートナーと協力して、保健当局が警戒し、運用面で対応の準備が整っている状態を確かなものにします。

WHOからのアドバイス

国際交通
WHOは現在入手可能な情報に基づき、コンゴ民主共和国への渡航や貿易のいかなる制限をも行わないよう勧告します。現在のところ、エボラウイルスから人々を守るワクチンは認可されていません。したがって、国境を越えた移動や、コンゴ民主共和国を離れる乗客に対するビザ発給の制限の基準としてエボラワクチンの接種証明書を要求することは合理的ではありません。WHOは厳重な監視を継続し、必要であれば今回の出来事に関連した渡航と貿易の措置を検証します。現在のところ、コンゴ民主共和国への、そして同国からの国際輸送を著しく妨げる渡航の措置を実施した国はありません。旅行者は旅行の前に医師の診察を受けるべきであり、そして良い衛生慣習を実践すべきです。

更なる情報は、以下をご参照ください。

South Sudan vaccinates health workers against Ebola
Ebola - Following a Full Simulation Exercise, a Joint Monitoring Mission is deployed in Rwanda
Summary report for the SAGE meeting of October 2018
Statement on the October 2018 meeting of the IHR Emergency Committee on the Ebola virus disease outbreak in the Democratic Republic of the Congo
WHO Interim recommendation Ebola vaccines
WHO recommendations for international travellers related to the Ebola Virus Disease outbreak in the Democratic Republic of the Congo
Ebola virus disease in the Democratic Republic of the Congo -Operational readiness and preparedness in neighbouring countries
Ebola virus disease fact sheet

1 2018年11月および12月に死亡し、症例の遡及的な再分類の後1月21日から2月10日の間に報告されたKatwa(7)およびKomanda(5)からの新たな可能性のある症例を除く。
2ここ数週間のデータは、症例の確認と報告、および継続的なデータのクリーニングが遅れることがあります - この期間の傾向は慎重に解釈する必要があります。

出典

Ebola virus disease Democratic Republic of the Congo
Disease outbreak news: Update  14 February 2019
https://www.who.int/csr/don/14-february-2019-ebola-drc/en/