エボラウイルス病-コンゴ民主共和国(更新12)

Disease outbreak news:更新 2019年2月28日

エボラウイルス病(EVD)のアウトブレイクは中程度の強度で続いています。 カトワ(Katwa)とビュトンボ(Butembo)は依然として懸念すべき主要な保健区域ですが、同時に、地理的に分散したさまざまな地域で小さな集団が発生し続けています。過去21日間(2019年2月6日から26日)に、カトワ(45)、ビュトンボ(19)、ヴホヴィ(4)、キョンド(Kyondo)(3)、カルングタ(Kalunguta)(2)、オイチャ(Oicha)(1)、ベニ(Beni)(1)、マンディマ(Mandima)(1)、およびルワンパラ(Rwampara)(1)を含む77例の新たな症例が9の保健区域内の33の保健地域から報告されました(図1)。

症例発生率は減少傾向にありますが(図2)、確定例間で報告された地域社会内の高い死亡率、および接触者がサーベイランス下で把握されている新しい症例の相対的な少なさが、この疾患の影響を受けている地域社会におけるさらなる感染伝播の連鎖のリスクを高める可能性があります。 対応チームは、新たな症例を迅速に検出し、それ以降の感染を防ぐために、症例の発生率と接触者の追跡活動が減少しているすべての地域、および活発な症例が存在する地域で高度な警戒を維持する必要があります。 今週、カトワとビュトンボの治療センターへの攻撃を受けて、WHOはパートナーと協力して患者とスタッフの安全を確保しています。これらの紛争は多くのレベルで対応に支障をきたし、また現場でのサーベイランス活動を妨げる可能性があります。

2月26日現在、879人のエボラウイルス病症例1(確定814人および高度疑い65人)が報告されており、そのうち57%(499人)が女性、30%(264人)が18歳未満の子供であった。累計では、19の保健区域にわたる301のうち119保健地域から症例が報告されています。全体で553人の死亡(致死率:63%)が報告されており、2019年2月19日現在、257人の生存者が報告されています。エボラ治療センター(ETCs)から退院した死亡者数および生存者数を修正するために、症例データベースの継続的なクリーニングが行われています。

図1: 2019年2月23日時点のコンゴ民主共和国北ギブ州およびイトゥリ州における保健地域別のエボラウイルス病の確定例と高度疑い例


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図2:2019年2月26日時点までに発症した週ごとのエボラウイルス病の確定例と高度疑い例データ*


出典:コンゴ民主共和国保健省

*ここ数週間のデータは、症例の確定と報告の遅れ、継続中のデータクリーニングの遅れの影響を受けています。この期間中の傾向は慎重に解釈する必要があります。
 

公衆衛生上の取り組み

保健省、世界保健機構(WHO)、およびパートナーによる公衆衛生上の取り組みの詳細情報については、WHOアフリカ地域事務所が発表した最新の状況報告を参照してください。
Ebola situation reports: Democratic Republic of the Congo

WHOによるリスク評価

WHOは、疫学的状況の変化とアウトブレイクの状況を継続的に監視し、対応への支援が進化する状況に適応することを確実にします。世界的なリスクレベルは低いままですが、エボラウイルス病のアウトブレイクが国および地域レベルでもたらす高いリスクを示しています。このエボラウイルス病のアウトブレイクは、ウガンダ、ルワンダ、南スーダンに隣接するコンゴ民主共和国の北東部の州に主に影響を及ぼしています。経済的および個人的な理由から、ならびに治安が悪いために、この疾病の被害を受けている地域、国内の他の地域および近隣諸国の間を広範囲に人々が移動するため、国レベルおよび地域レベルでエボラウイルスが伝播する潜在的なリスクがあります。コンゴ民主共和国は他の感染症(例えばコレラ、ワクチン由来のポリオ、マラリア、麻しん)と長期の人道的危機を同時に経験しています。さらに、北キブ州とイトゥリ州の脆弱な治安状況により、対応活動の実施がさらに制限されることがあります。

国や地域での拡大の危険性が非常に高いので、近隣の州や国々がサーベイランスと準備活動を強化することが重要です。国際保健規則(IHR 2005)緊急委員会は、これらの備えおよびサーベイランス活動を強化しないことは、状況を悪化させ、さらに拡大することにつながると助言しています。 WHOは近隣の国々やパートナーと協力して、保健当局が警戒し、運用面で対応の準備が整っている状態を確かなものにします。

WHOからのアドバイス

国際交通
WHOは現在入手可能な情報に基づき、コンゴ民主共和国への渡航や貿易のいかなる制限をも行わないよう勧告します。現在のところ、エボラウイルスから人々を守るワクチンは認可されていません。したがって、国境を越えた移動や、コンゴ民主共和国を離れる乗客に対するビザ発給の制限の基準としてエボラワクチンの接種証明書を要求することは合理的ではありません。WHOは厳重な監視を継続し、必要であれば今回の出来事に関連した渡航と貿易の措置を検証します。現在のところ、コンゴ民主共和国への、そして同国からの国際輸送を著しく妨げる渡航の措置を実施した国はありません。旅行者は旅行の前に医師の診察を受けるべきであり、そして良い衛生慣習を実践すべきです。

更なる情報は、以下をご参照ください。

Ebola response in Democratic Republic of the Congo risks slowdown
SAGE interim recommendations on vaccination against EVD, 20 February 2019
Statement on the October 2018 meeting of the IHR Emergency Committee on the Ebola virus disease outbreak in the Democratic Republic of the Congo
WHO Interim recommendation Ebola vaccines
WHO recommendations for international travellers related to the Ebola Virus Disease outbreak in the Democratic Republic of the Congo
Ebola virus disease in the Democratic Republic of the Congo - Operational readiness and preparedness in neighbouring countries
Ebola virus disease fact sheet

出典

Ebola virus disease Democratic Republic of the Congo
Disease outbreak news: Update  28 February 2019
https://www.who.int/csr/don/28-february-2019-ebola-drc/en/