ラッサ熱-ナイジェリア

Disease outbreak news   2019年2月14日

2019年1月1日から2月10日までの間に、72人の死亡を伴う327人のラッサ熱症例(324人の確定例と3人の疑い例)(致死率=22%)が20の州と連邦首都地区から報告されました。症例の大部分はエド(Edo)州(108人)、オンド州(Ondo)(103人)から報告されています。12人の症例が7つの州の医療従事者の中から報告されました。内訳は、エド(4人)、オンド(3人)、エボニ(Ebonyi)(1人)、エヌグ(Enugu)(1人)、リバーズ(Rivers)(1人)、バウチ(Bauchi)(1人)、そしてベヌエ(Benue)(1人)の各州で、エヌグ州においては1人の死亡が含まれています。

ナイジェリア全域で報告される確定症例数は依然として高い状態が続いています。2019年第6週(2019年2月10日に終了する週)、10人の死亡を含む37人の新たな確定例(致死率=27%)がナイジェリア全域の9つの州から報告されました。症例の大多数はオンド(12人)とエド(10人)の各州から報告されました。2019年第6週に報告された確定症例数は、68人の確定例が報告された第5週と比較して、わずかに減少しました。(図1)

2019年1月以降の3,746人の接触者のうち、1,045人が21日間の経過観察を終え、一方2,658人が依然として経過観察の途中です。60人の接触者が症状を示し、うち39人が検査陽性でした。

91人のラッサ熱患者は現在同国全域にある治療施設に入院しています。患者は標準支持療法を受けています。

図1:2019年1月1日から2月10日までの発症週ごとのナイジェリアにおけるラッサ熱の確定例と疑い例数

出典:ナイジェリア疾病予防センター(NCDC)

公衆衛生上の取り組み

• 2019年1月22日に、ナイジェリア疾病予防センター(NCDC)は今回のアウトブレイクに関する緊急事態宣言を出しました。
• 多部門ワンヘルス国家緊急対応チーム(Multi-sectoral One Health national rapid response teams)が、フィールド調査と対策活動を支援するためにオンド、エド、エボニ、プラトー(Plateau)、そしてバウチの各州に配置されました。
• 警報を通じた情報共有・提供とNCDCからの報道発表を受けて、全ての州で強化されたサーベイランスが進行しています。
• ラッサ熱症例の治療は、同国全域にある指定された治療施設で行われています。
• リスクコミュニケーションと地域社会の関与の活動が各州で継続されています。国民の意識は、2019年1月16日から17日にかけて開催されたラッサ熱に関する国際会議により向上しました。

WHOのリスク評価

ラッサ熱は、ねずみ等のげっ歯類の尿または糞便に汚染された食品や家庭用品への接触を介して人に伝播するウイルス性出血熱です。ヒト-ヒト感染と研究室での感染も起こる可能性があります。全体の致死率は1%です。重篤な状態の入院患者においては15%です。現在のところ、承認されているワクチンはありません。輸液と対症療法による早期の支持療法は生存率を向上させます。

ラッサ熱は12月から6月にかけて流行する風土病としてナイジェリアでは知られていますが、現在の新規確定例と死亡例の増加は厳重に監視し、適切に対処するべきです。ナイジェリアに起因している可能性のある症例が隣国のベナンとトーゴで過去数年間に報告されているので、近隣諸国はそれに応じて適切に監視されるべきです。

これまでに12人の医療従事者における確定例が報告されていますが、複数の医療施設で不十分な感染予防と管理(IPC)が行われたり、IPC対策継続に従事する一部の医療従事者の油断があったとの報告などから院内感染が強く疑われています。

WHOからのアドバイス

ラッサ熱の予防は、齧歯類の家屋への侵入を阻止するために、衛生状態の向上と地域社会の関与によって達成されます。医療現場では、院内感染を予防するために、患者のケアを行う際、スタッフが一貫して標準的な感染予防と管理を実施する必要があります。WHOはラッサ熱の発生地域にあるすべての国々に対し、症例の早期発見と治療を強化して症例の致死率を下げ、国境を越えた連携を強化する必要性について引き続き助言します。
WHOは現在入手可能な情報に基づき、ナイジェリアへのいかなる渡航もしくは貿易の制限を推奨しません。

ラッサ熱についての更なる情報は、下記リンクをご参照ください。
WHO fact sheet on Lassa fever(2017)(英文)
ラッサ熱(WHOファクトシート2017)(和文)
https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/2017/07190917.html

出典

Yellow fever – Brazil
Disease outbreak news   14 February 2019
https://www.who.int/csr/don/14-february-2019-lassa-fever-nigeria/en/

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