エボラウイルス病-コンゴ民主共和国(更新14)
Disease outbreak news:更新 2019年3月14日
エボラウイルス病(EVD)のアウトブレイクに対する公衆衛生上の取り組みは前進を続けています。過去21日間(2019年2月20日~3月12日)、今回のアウトブレイク期間中に影響を受けた20の保健区域のうち10からは新たな症例は発見されませんでした(図1)。2019年1月および今回のアウトブレイク期間以前と比べても、過去5週間に認められた新症例数は減少していました(図2)。
現在のところ、最大の懸念は、隣接しているカトワ(Katwa)とビュトンボ(Butembo)の都市部にあり、最近の症例の約3/4に寄与し続けています。北キブ(Kivu)州およびイトゥリ(Ituri)州の他の地域におけるクラスターは、カトワとビュトンボにおける感染伝播の連鎖と関連しており、今までのところ相対的に少数の症例で、限られた地域の伝播に封じ込められています。これまでに影響を受けた125の保健地域のうち32エリアから、過去21日間で合計74人の確定例が報告されています(表1)。ルベロ(Lubero)保健区域における最近の流行拡大や、新症例が長期間なかったビエナ(Biena)保健区域への再導入によって強調されるように、さらなる感染伝播の連鎖と拡大のリスクは依然として高いままです。
武装グループによる治安悪化という進行中の課題があるにも関わらず、対応チームはアウトブレイクの影響を受けた全ての地域で十分に対応できる状態であり、またコミュニティが対応を受け入れたという点において改善しています。例えばカトワとビュテンボでは過去21日間の間に、エボラウイルス病に罹患していたと疑われる、死亡した家族がいる256世帯のうち88%が、安全で尊厳のある埋葬を実施するための対応チームからのサポートを受け入れました。90%以上の人々が予防接種を受けることに適格とされている、新たな74の包囲接種(vaccination rings/リングワクチン接種)が開始され、そのうち90%がフォローアップの再診に参加しました。合計で5974人の人々(2159人の医療従事者及び最前線の労働者を含む)が同意し、この期間に予防接種を受けました。全体で87,632人の人々がこれまでに予防接種を受けています。予防接種チームは介入を受け入れなかった家族がいる12のリングと、包囲摂取を検討している別の2つのリングの経過観察を継続しています。7つの野外検査室が十分に対応できる状態であり、これまでの週と同じ試験速度を維持しています。この1週間の間に、新たな疑い例、コミュニティ内死亡者、そして過去に確定された症例から得られた1213検体が48時間以内に検査されました。地元のボランティアによって作られた啓蒙活動チームもこの1週間で6000世帯と面会し、その地域の人にエボラの知識を築き、病気の人をエボラ治療センター(ETCs)もしくはその他の医療機関に適切に紹介しました。エボラ対応におけるコミュニティの人々の信頼と当事者意識を築くための協力を得る方法を模索するべく、ここ2週間の間に、コミュニティにおける対話企画がカトワとヴホヴィ (Vuhovi)の複数の村で実施されました。
症例の発見と調査、そして接触者の追跡活動を強化した努力も実を結んでいます。過去21日のうちに報告された74人の確定例の中で、83%(62人)は疫学的に激しい感染伝播の連鎖に関連していました。発症した時点で接触者として登録されている(47人)、もしくは過去に他の症例または暴露し得る医療施設に関連がある人たち(15人)です。残りの症例との関連についても調査が進んでいます。
課題として、影響を受けたコミュニティやエボラ治療センターに対する武装グループによる追加攻撃や、コミュニティが持つ不信感、そして様々な理由による、人々をエボラ治療センターで治療させることへの遅延が続いていることが挙げられます。保健省(The Ministry of Health)、WHOとパートナーは、対応へのコミュニティの信頼と参加を築くために積極的な取り組みを継続しています。同時に、患者と対応チームを保護するための安全保障対策の強化にも、積極的な取り組みを継続しています。ビュトンボのエボラ治療センターは2度の攻撃の後に建て直され、再度患者を治療しており、Katwa Transit Centerは稼働できる状態です。
アウトブレイクの開始から2019年3月12日までに、927人のエボラウイルス病症例※1(確定862人と高度疑い65人)が報告されており、そのうち57%(525人)が女性、30%(280人)は18歳未満の子供でした。累計では、症例は北キブ州とイトゥリ州の20の保健区域にわたる319エリアの保健地域のうち、125エリアから報告されています(表1)。全体で584人の死亡(致死率:63%)が報告されており、308人の患者がエボラ治療センターから退院しています。
図1:2019年3月10日時点のコンゴ民主共和国北キブ州およびイトゥリ州における保健地域別のエボラウイルス病の確定例と高度疑い例
画像の拡大
表1:2019年3月12日時点のコンゴ民主共和国、北キブ州およびイトゥリ州の保健区域別のエボラウイルス病の確定例と高度疑い例、そして影響を受けた保健地域の数
図2:2019年3月12日時点までに発症した週ごとのエボラウイルス病の確定例と高度疑い例のデータ*
*ここ数週間のデータは症例の確定と報告の遅れ、継続中のデータクリーニングの遅れの影響を受けています。
現在のところ、最大の懸念は、隣接しているカトワ(Katwa)とビュトンボ(Butembo)の都市部にあり、最近の症例の約3/4に寄与し続けています。北キブ(Kivu)州およびイトゥリ(Ituri)州の他の地域におけるクラスターは、カトワとビュトンボにおける感染伝播の連鎖と関連しており、今までのところ相対的に少数の症例で、限られた地域の伝播に封じ込められています。これまでに影響を受けた125の保健地域のうち32エリアから、過去21日間で合計74人の確定例が報告されています(表1)。ルベロ(Lubero)保健区域における最近の流行拡大や、新症例が長期間なかったビエナ(Biena)保健区域への再導入によって強調されるように、さらなる感染伝播の連鎖と拡大のリスクは依然として高いままです。
武装グループによる治安悪化という進行中の課題があるにも関わらず、対応チームはアウトブレイクの影響を受けた全ての地域で十分に対応できる状態であり、またコミュニティが対応を受け入れたという点において改善しています。例えばカトワとビュテンボでは過去21日間の間に、エボラウイルス病に罹患していたと疑われる、死亡した家族がいる256世帯のうち88%が、安全で尊厳のある埋葬を実施するための対応チームからのサポートを受け入れました。90%以上の人々が予防接種を受けることに適格とされている、新たな74の包囲接種(vaccination rings/リングワクチン接種)が開始され、そのうち90%がフォローアップの再診に参加しました。合計で5974人の人々(2159人の医療従事者及び最前線の労働者を含む)が同意し、この期間に予防接種を受けました。全体で87,632人の人々がこれまでに予防接種を受けています。予防接種チームは介入を受け入れなかった家族がいる12のリングと、包囲摂取を検討している別の2つのリングの経過観察を継続しています。7つの野外検査室が十分に対応できる状態であり、これまでの週と同じ試験速度を維持しています。この1週間の間に、新たな疑い例、コミュニティ内死亡者、そして過去に確定された症例から得られた1213検体が48時間以内に検査されました。地元のボランティアによって作られた啓蒙活動チームもこの1週間で6000世帯と面会し、その地域の人にエボラの知識を築き、病気の人をエボラ治療センター(ETCs)もしくはその他の医療機関に適切に紹介しました。エボラ対応におけるコミュニティの人々の信頼と当事者意識を築くための協力を得る方法を模索するべく、ここ2週間の間に、コミュニティにおける対話企画がカトワとヴホヴィ (Vuhovi)の複数の村で実施されました。
症例の発見と調査、そして接触者の追跡活動を強化した努力も実を結んでいます。過去21日のうちに報告された74人の確定例の中で、83%(62人)は疫学的に激しい感染伝播の連鎖に関連していました。発症した時点で接触者として登録されている(47人)、もしくは過去に他の症例または暴露し得る医療施設に関連がある人たち(15人)です。残りの症例との関連についても調査が進んでいます。
課題として、影響を受けたコミュニティやエボラ治療センターに対する武装グループによる追加攻撃や、コミュニティが持つ不信感、そして様々な理由による、人々をエボラ治療センターで治療させることへの遅延が続いていることが挙げられます。保健省(The Ministry of Health)、WHOとパートナーは、対応へのコミュニティの信頼と参加を築くために積極的な取り組みを継続しています。同時に、患者と対応チームを保護するための安全保障対策の強化にも、積極的な取り組みを継続しています。ビュトンボのエボラ治療センターは2度の攻撃の後に建て直され、再度患者を治療しており、Katwa Transit Centerは稼働できる状態です。
アウトブレイクの開始から2019年3月12日までに、927人のエボラウイルス病症例※1(確定862人と高度疑い65人)が報告されており、そのうち57%(525人)が女性、30%(280人)は18歳未満の子供でした。累計では、症例は北キブ州とイトゥリ州の20の保健区域にわたる319エリアの保健地域のうち、125エリアから報告されています(表1)。全体で584人の死亡(致死率:63%)が報告されており、308人の患者がエボラ治療センターから退院しています。
図1:2019年3月10日時点のコンゴ民主共和国北キブ州およびイトゥリ州における保健地域別のエボラウイルス病の確定例と高度疑い例
画像の拡大
表1:2019年3月12日時点のコンゴ民主共和国、北キブ州およびイトゥリ州の保健区域別のエボラウイルス病の確定例と高度疑い例、そして影響を受けた保健地域の数
図2:2019年3月12日時点までに発症した週ごとのエボラウイルス病の確定例と高度疑い例のデータ*
*ここ数週間のデータは症例の確定と報告の遅れ、継続中のデータクリーニングの遅れの影響を受けています。
公衆衛生上の取り組み
保健省、WHOとパートナーによる公衆衛生上の取り組みの活動に関する詳細情報については、WHOアフリカ地域事務局によって公表された最新の状況報告書を参照してください。
Ebola situation reports: Democratic Republic of the Congo
Ebola situation reports: Democratic Republic of the Congo
WHOによるリスク評価
WHOは、時々刻々と変化する状況に対策支援が適応できるよう、疫学的状況の変化とアウトブレイクの状況を継続的に監視します。2019年3月6日の最新の評価では、世界的なリスクレベルは低いままですが、国内および地域のリスクレベルは非常に高い状態が続いています。今回のアウトブレイクは前回の評価に似た疫学的プロファイルが続いています。カトワとビュテンボにあるエボラ治療センターへの攻撃は、直接的にエボラへの取り組みを狙った初の大規模で組織的な攻撃の象徴であり、桁違いの不信感をコミュニティにもたらす出来事となり、また武装集団間での十字砲火に巻き込まれる危機となりました。さらに、政治的緊張や不安定な治安のために悪化した、コミュニティの反発や不信が持続した結果、影響を受けた地域の症例の調査と対策活動に、繰り返される一時的な中断と遅延が生じ、全体の介入の効果が減少しました。これらの事象は症例発生が減少する傾向の中で起こります。また同時に、確定例の中から報告されたコミュニティ内死亡者の高い割合、エボラ治療センターにおける発見と分離の持続的な遅延、高度疑い例のタイムリーな報告と対応についての課題、影響を受けたコミュニティでのさらなる感染伝播の連鎖の可能性の集団的増加、コンゴ民主共和国内から近隣諸国までの地理的な拡大により増加したリスクがある場合に起こります。治安がより悪化する期間には人々の移動が増加するリスクが見込まれました。
WHOからのアドバイス
国際交通
WHOは現在入手可能な情報に基づき、コンゴ民主共和国への渡航や貿易に対していかなる制限も行わないよう勧告します。現在のところ、エボラウイルスから人々を守るワクチンは認可されていません。したがって、国境を越えた移動や、コンゴ民主共和国を離れる乗客に対してビザ発給の制限の基準として、エボラワクチンの接種証明書を要求することは合理的ではありません。WHOは厳重な監視を継続し、必要であれば今回の事象に関連した渡航と貿易の措置を検証します。渡航者は渡航前に医師の診察を受けるべきであり、良い衛生慣習を実践すべきです。
さらなる情報は以下をご参照ください。
• Press briefing on Ebola, WHO Director-General Dr Tedros
• WHO Director-General reiterates commitment to Ebola response despite another attack
• WHO expresses concern over damage to Ebola treatment facilities in DRC
• Ebola response in Democratic Republic of the Congo risks slowdown
• SAGE interim recommendations on vaccination against EVD, 20 February 2019
• Statement on the October 2018 meeting of the IHR Emergency Committee on the Ebola virus disease outbreak in the Democratic Republic of the Congo
• WHO Interim recommendation Ebola vaccines
• WHO recommendations for international travellers related to the Ebola Virus Disease outbreak in the Democratic Republic of the Congo
• Ebola virus disease in the Democratic Republic of the Congo – Operational readiness and preparedness in neighbouring countries
• Ebola virus disease fact sheet
________________________________________
(註1)進行中の再分類、遡及調査、および検査結果の入手可能性により、症例数が変更されることがあります。
WHOは現在入手可能な情報に基づき、コンゴ民主共和国への渡航や貿易に対していかなる制限も行わないよう勧告します。現在のところ、エボラウイルスから人々を守るワクチンは認可されていません。したがって、国境を越えた移動や、コンゴ民主共和国を離れる乗客に対してビザ発給の制限の基準として、エボラワクチンの接種証明書を要求することは合理的ではありません。WHOは厳重な監視を継続し、必要であれば今回の事象に関連した渡航と貿易の措置を検証します。渡航者は渡航前に医師の診察を受けるべきであり、良い衛生慣習を実践すべきです。
さらなる情報は以下をご参照ください。
• Press briefing on Ebola, WHO Director-General Dr Tedros
• WHO Director-General reiterates commitment to Ebola response despite another attack
• WHO expresses concern over damage to Ebola treatment facilities in DRC
• Ebola response in Democratic Republic of the Congo risks slowdown
• SAGE interim recommendations on vaccination against EVD, 20 February 2019
• Statement on the October 2018 meeting of the IHR Emergency Committee on the Ebola virus disease outbreak in the Democratic Republic of the Congo
• WHO Interim recommendation Ebola vaccines
• WHO recommendations for international travellers related to the Ebola Virus Disease outbreak in the Democratic Republic of the Congo
• Ebola virus disease in the Democratic Republic of the Congo – Operational readiness and preparedness in neighbouring countries
• Ebola virus disease fact sheet
________________________________________
(註1)進行中の再分類、遡及調査、および検査結果の入手可能性により、症例数が変更されることがあります。
翻訳
出典
Ebola virus disease- Democratic Republic of the Congo
Disease outbreak news: Update 14 March 2019
https://www.who.int/csr/don/14-march-2019-ebola-drc/en/
Disease outbreak news: Update 14 March 2019
https://www.who.int/csr/don/14-march-2019-ebola-drc/en/