エボラウイルス病-コンゴ民主共和国(更新24)
Disease outbreak news:更新 2019年5月30日
今週(5月22日から28日まで)はエボラウイルス病(EVD)確定例の減少が報告されています。前週は127人が新規確定例として報告されましたが、この過去7日間では合計73人の新規確定例が報告されています。この報告については、現地の複雑な作業環境と不安定な治安情勢に鑑みて慎重に解釈するべきです。アウトブレイクの中心であるカトワ(Katwa)では、今週の報告症例数は減少しており、マバラコ(Mabalako)、カルングタ(Kalunguta)、マンディマ(Mandima)といった他の保健区域でも症例報告の減少が認められました。活発な伝播は、これまで影響を受けている22の保健区域のうち14において報告されました。また、報告全数に対する院内感染の割合の減少、コミュニティ内死亡者の割合の減少、症例検出時点での接触者登録の割合の増加などの好ましい結果も初めて報告されました。これらの指標の週による変動は過去にも報告があり、政情不安が続く地域において、全ての新規症例を把握するサーベイランスシステム能力については不確実さが残っています。介入作業は依然として定期的に治安の問題によって妨げられており、国家および地域レベルでの拡散のリスクは極めて高いままです。
過去21日間の新たな確定例の24%(73/309人)がマバラコ(Mabalako)から報告されました。この期間に、12のマバラコの保健地域のうち9から新たな確定例が報告されました。2019年5月8日から28日までの21日間で、現在までに影響を受けた180の保健地域の46%に相当する、14保健区域内の83保健地域から新症例が報告されました(表1と図2)。この期間に合計309人の確定例が報告されましたが、大部分がマバラコ(24%, n=73)、ビュトンボ(Butembo)(21%, n=64)、カトワ(14%, n=42)、ベニ(Beni)(11%, n=34)、カルングタ(10%, n=31)、ミュジャンエーネ(Musienene)(7%, n=23)、マンディマ(6%, n=20)の保健区域からのものでした。
2019年5月28日現在、1851人の確定例と94人の高度疑い例を含む、総計1945人のエボラウイルス病症例が報告されています。全体で1302例の死亡が報告され(全体の致死率は67%)、そのうち1208人は確定例でした。年齢と性別が知られている1945人の確定例と高度疑い例のうち、58%(1122人)が女性で、29%(572人)が18歳未満の小児でした。医療従事者の罹患者数は108人(全症例の6%)まで増えました。
アウトブレイクの影響を受けた地域、コンゴ民主共和国のその他の州、近隣諸国における全ての警報について、監視と調査が継続されています。これまでのところ、エボラウイルス病はアウトブレイクの影響を受けた地域外からの全ての警報例において否定されています。6月3日に、ウガンダのナムゴンゴ(Namugongo)へカトリックと英国国教会の犠牲者の死亡を追悼するための巡礼が計画されており、感染拡大を防止するため、巡礼周辺の準備活動が進められています。
過去21日間の新たな確定例の24%(73/309人)がマバラコ(Mabalako)から報告されました。この期間に、12のマバラコの保健地域のうち9から新たな確定例が報告されました。2019年5月8日から28日までの21日間で、現在までに影響を受けた180の保健地域の46%に相当する、14保健区域内の83保健地域から新症例が報告されました(表1と図2)。この期間に合計309人の確定例が報告されましたが、大部分がマバラコ(24%, n=73)、ビュトンボ(Butembo)(21%, n=64)、カトワ(14%, n=42)、ベニ(Beni)(11%, n=34)、カルングタ(10%, n=31)、ミュジャンエーネ(Musienene)(7%, n=23)、マンディマ(6%, n=20)の保健区域からのものでした。
2019年5月28日現在、1851人の確定例と94人の高度疑い例を含む、総計1945人のエボラウイルス病症例が報告されています。全体で1302例の死亡が報告され(全体の致死率は67%)、そのうち1208人は確定例でした。年齢と性別が知られている1945人の確定例と高度疑い例のうち、58%(1122人)が女性で、29%(572人)が18歳未満の小児でした。医療従事者の罹患者数は108人(全症例の6%)まで増えました。
アウトブレイクの影響を受けた地域、コンゴ民主共和国のその他の州、近隣諸国における全ての警報について、監視と調査が継続されています。これまでのところ、エボラウイルス病はアウトブレイクの影響を受けた地域外からの全ての警報例において否定されています。6月3日に、ウガンダのナムゴンゴ(Namugongo)へカトリックと英国国教会の犠牲者の死亡を追悼するための巡礼が計画されており、感染拡大を防止するため、巡礼周辺の準備活動が進められています。
5歳未満のエボラウイルス病症例
アウトブレイク地域におけるギャップを明らかにし、エビデンスに基づく対応の改善を進めるため、WHOは徹底的な疫学的分析を定期的に行っています。5歳未満の年齢の小児におけるエボラウイルス病症例の詳細分析から、注目すべき傾向が示されました。5月28日時点で、5歳未満の小児はエボラウイルス病症例報告の15%(300/1949人)、1歳未満の小児は6%(118/1949人)を占めています。300人の5歳未満の小児症例のうち、19人が高度疑い例でした(19/94人、全高度疑い例の20%)。
報告資料によれば、5歳未満の小児は5歳以上の小児より早く医療機関に連れていかれますが(それぞれ発症から2.4日と3.2日)、これらの症例のほとんどはエボラ治療センター(ETCs)には紹介されず、代わりに地域の医療機関を複数受診することが示されています。これらの症例は、5歳以上の平均1.2に対し、5歳未満が平均1.5の医療機関を受診していました。これらの観察から、一般的に保護者は子供に対して医療機関での治療を求める意思はあるものの、おそらくは自宅から遠くに離れることや家族のサポートが得られないことの不安から、子供をエボラ治療センターに連れていくのを渋ることが示唆されます。この年齢群に焦点をあてた、エボラ治療センターに対する不安や誤解を減らし、アクセスを妨げる障害を除くためのさらなる努力が必要とされています。5歳未満の小児を含む、適切な隔離がされていない可能性がある全ての症例は、医療従事者、保護者、そしてコミュニティのメンバーにとって無視できない伝播のリスクとなる可能性があります。
接触者追跡に関しては、5歳以上のエボラウイルス病症例の41%に対して、5歳未満の症例の28%が接触者として登録されています。5歳未満のエボラウイルス病症例は接触者としての登録はそれほど多くはありませんが、サーベイランスの下にある5歳未満と5歳以上の症例の割合は、同程度です(それぞれ18%と20%)。これらの低い数値の理由は現時点では明らかでなく、さらなる調査が進められています。
5月28日時点で、5歳未満の小児におけるエボラウイルス病症例の全体の致死率は77%で、5歳以上の57%より著しく高い値です。これらの数値は2014年の西アフリカにおけるエボラウイルス病のアウトブレイクで観察された数値と一致します※1。この脆弱人口で致死率がより高くなる理由には、多くの説明が可能です:エボラ治療センターへの紹介割合の低さ、一般的なこの年齢集団のベースラインの死亡率の高さ、接触者として登録されていない症例への予防接種ができないことなど。コミュニティ内死亡(例えばエボラ治療センターやトランジットセンター(TCs)の外で起こったエボラウイルス病によるあらゆる死亡)は5歳未満の小児におけるエボラウイルス病による死亡の76%、5歳以上では65%を占めます。5歳未満の小児におけるコミュニティ内死亡のうち、54%は医療機関で死亡しています。
想定されていたように、エボラ治療センターでの治療を求めた症例の致死率(5歳以上で50%、5歳未満で39%)は、そうでない場合(それぞれ86%と68%)に対して、5歳未満でも5歳以上でも明らかに低くなっています。2群間の致死率の相対差はエボラ治療センターへの入院によって減少します。この事実は、アウトブレイクの影響を受けた全ての人たち、特に小児の保護者に対して、子供たちが生き残る最良の機会を与えるべく、できるだけ早くエボラ治療センターでの治療を求めることを促すよう、コミュニティとともに取り組む努力を続けて強化する必要性を再度強調しています。全体の傾向から、エボラ治療センターで治療を受けた小児は致死率が低くなり、保護者は医療機関で子供の治療を求める意志があることが期待されるので、5歳未満の小児の接触者リスト作成を改善し、保護者に子供をエボラ治療センターに連れていくことを促すことを大いに強調する必要があることが示唆されています。上述の数値やそれらの結果的な関連性は、人口統計学的な情報の多くが限定的であるため、慎重に解釈されなければならず、また進行中のエボラウイルス病のアウトブレイクの流動性の影響下にあることも強調されなければなりません。
地域の保健施設が疑い例をエボラ治療センター・トランジットセンターに紹介することを促す努力が続けられていますが、これらの活動はさらに強化できます。乳児を含む全てのエボラウイルス病確定例・疑い例の小児は、エボラ治療に特化した対症療法のプロトコールに則って、エボラ治療室(ETUs)で治療を受けます。エボラ治療センターでは、この年齢群に臨床的サポートを行うため、小児科の設備と薬剤、訓練を受けた専門家たちが利用可能です。すべての確定例の小児は、インフォームドコンセントを得た後、速やかに調査的治療のプログラムに登録されます。小児はエボラ治療センターにいる間、栄養学的治療と心理学者による心理社会的支援を受け、生存者である医療従事者から24時間毎日治療を受けるため孤立しません。全ての年齢群と同様に、乳児と小児はエボラの生存者のために特化したケアプログラムを通じたサポートが提供されます。加えて、エボラウイルス病生存者の妊婦は、生存者プログラムの中で厳密に経過が観察され、産科と小児科の専門性をもった多分野チームによる分娩のために、エボラ治療センターへ戻ります。
これらの知見から、UNICEFとWHOは、特に保護者と小児に対して、エボラウイルス病患者の栄養学的、心理社会的支援に関連した支援活動でパートナーたちと連携しています。これには保護者から隔離された小児や孤児における乳児の食事に関する情報提供が含まれています。UNICEFはエボラウイルス病の生存者と連携し、乳児と小児の栄養摂取(IYCF)についてのカウンセリング支援グループを創設しました。さらに彼らは、2歳未満の栄養失調の小児のスクリーニングと、その小児を助けるために栄養診療部への紹介を支援しています。心理社会的支援と物資援助は、母親から隔離された小児のための託児所が設立されたアウトブレイクの起きた地域において実施され、心理社会的支援はエボラウイルス病の影響を受けた人とその接触者を伴う形で、患者家族に対して提供されています。
※1 Ebola Virus Disease among Children in West Africa
図1:2019年5月28日時点の保健区域別エボラウイルス病症例の発症週ごとの確定例および高度疑い例のデータ*
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* ここ数週間のデータは、ケースの確認と報告、および継続的なデータのクリーニングが遅れることがあります。その他の保健区域には、アリムボンゴ(Alimbongo)、ビエナ(Biena)、ブニア(Bunia)、カルングタ(Kalunguta)、カイナ(Kayna)、コマンダ(Komanda)、キョンド(Kyondo)、ルベロ(Lubero)、マングルジパ(Mangurujipa)、マセレカ(Masereka)、ムトワンガ(Mutwanga)、ニャンクンデ(Nyankunde)、オイチャ(Oicha)、ルワンパラ(Rwampara)、およびチョミア(Tchomia)が含まれます。
図2:2019年5月28日時点でのコンゴ民主共和国北キブ州およびイトゥリ州の保健地域別のエボラウイルス病の確定例と高度疑い例
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表1:2019年5月28日時点のコンゴ民主共和国北キブ州およびイトゥリ州における保健区域別のエボラウイルス病の確定例と高度疑い例、および影響を受けた保健地域の数**
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**過去21日間に発生した症例と地域の合計は、最初の症例警報の日付に基づいており、確定日および保健省による毎日の報告とは異なる場合があります。
報告資料によれば、5歳未満の小児は5歳以上の小児より早く医療機関に連れていかれますが(それぞれ発症から2.4日と3.2日)、これらの症例のほとんどはエボラ治療センター(ETCs)には紹介されず、代わりに地域の医療機関を複数受診することが示されています。これらの症例は、5歳以上の平均1.2に対し、5歳未満が平均1.5の医療機関を受診していました。これらの観察から、一般的に保護者は子供に対して医療機関での治療を求める意思はあるものの、おそらくは自宅から遠くに離れることや家族のサポートが得られないことの不安から、子供をエボラ治療センターに連れていくのを渋ることが示唆されます。この年齢群に焦点をあてた、エボラ治療センターに対する不安や誤解を減らし、アクセスを妨げる障害を除くためのさらなる努力が必要とされています。5歳未満の小児を含む、適切な隔離がされていない可能性がある全ての症例は、医療従事者、保護者、そしてコミュニティのメンバーにとって無視できない伝播のリスクとなる可能性があります。
接触者追跡に関しては、5歳以上のエボラウイルス病症例の41%に対して、5歳未満の症例の28%が接触者として登録されています。5歳未満のエボラウイルス病症例は接触者としての登録はそれほど多くはありませんが、サーベイランスの下にある5歳未満と5歳以上の症例の割合は、同程度です(それぞれ18%と20%)。これらの低い数値の理由は現時点では明らかでなく、さらなる調査が進められています。
5月28日時点で、5歳未満の小児におけるエボラウイルス病症例の全体の致死率は77%で、5歳以上の57%より著しく高い値です。これらの数値は2014年の西アフリカにおけるエボラウイルス病のアウトブレイクで観察された数値と一致します※1。この脆弱人口で致死率がより高くなる理由には、多くの説明が可能です:エボラ治療センターへの紹介割合の低さ、一般的なこの年齢集団のベースラインの死亡率の高さ、接触者として登録されていない症例への予防接種ができないことなど。コミュニティ内死亡(例えばエボラ治療センターやトランジットセンター(TCs)の外で起こったエボラウイルス病によるあらゆる死亡)は5歳未満の小児におけるエボラウイルス病による死亡の76%、5歳以上では65%を占めます。5歳未満の小児におけるコミュニティ内死亡のうち、54%は医療機関で死亡しています。
想定されていたように、エボラ治療センターでの治療を求めた症例の致死率(5歳以上で50%、5歳未満で39%)は、そうでない場合(それぞれ86%と68%)に対して、5歳未満でも5歳以上でも明らかに低くなっています。2群間の致死率の相対差はエボラ治療センターへの入院によって減少します。この事実は、アウトブレイクの影響を受けた全ての人たち、特に小児の保護者に対して、子供たちが生き残る最良の機会を与えるべく、できるだけ早くエボラ治療センターでの治療を求めることを促すよう、コミュニティとともに取り組む努力を続けて強化する必要性を再度強調しています。全体の傾向から、エボラ治療センターで治療を受けた小児は致死率が低くなり、保護者は医療機関で子供の治療を求める意志があることが期待されるので、5歳未満の小児の接触者リスト作成を改善し、保護者に子供をエボラ治療センターに連れていくことを促すことを大いに強調する必要があることが示唆されています。上述の数値やそれらの結果的な関連性は、人口統計学的な情報の多くが限定的であるため、慎重に解釈されなければならず、また進行中のエボラウイルス病のアウトブレイクの流動性の影響下にあることも強調されなければなりません。
地域の保健施設が疑い例をエボラ治療センター・トランジットセンターに紹介することを促す努力が続けられていますが、これらの活動はさらに強化できます。乳児を含む全てのエボラウイルス病確定例・疑い例の小児は、エボラ治療に特化した対症療法のプロトコールに則って、エボラ治療室(ETUs)で治療を受けます。エボラ治療センターでは、この年齢群に臨床的サポートを行うため、小児科の設備と薬剤、訓練を受けた専門家たちが利用可能です。すべての確定例の小児は、インフォームドコンセントを得た後、速やかに調査的治療のプログラムに登録されます。小児はエボラ治療センターにいる間、栄養学的治療と心理学者による心理社会的支援を受け、生存者である医療従事者から24時間毎日治療を受けるため孤立しません。全ての年齢群と同様に、乳児と小児はエボラの生存者のために特化したケアプログラムを通じたサポートが提供されます。加えて、エボラウイルス病生存者の妊婦は、生存者プログラムの中で厳密に経過が観察され、産科と小児科の専門性をもった多分野チームによる分娩のために、エボラ治療センターへ戻ります。
これらの知見から、UNICEFとWHOは、特に保護者と小児に対して、エボラウイルス病患者の栄養学的、心理社会的支援に関連した支援活動でパートナーたちと連携しています。これには保護者から隔離された小児や孤児における乳児の食事に関する情報提供が含まれています。UNICEFはエボラウイルス病の生存者と連携し、乳児と小児の栄養摂取(IYCF)についてのカウンセリング支援グループを創設しました。さらに彼らは、2歳未満の栄養失調の小児のスクリーニングと、その小児を助けるために栄養診療部への紹介を支援しています。心理社会的支援と物資援助は、母親から隔離された小児のための託児所が設立されたアウトブレイクの起きた地域において実施され、心理社会的支援はエボラウイルス病の影響を受けた人とその接触者を伴う形で、患者家族に対して提供されています。
※1 Ebola Virus Disease among Children in West Africa
図1:2019年5月28日時点の保健区域別エボラウイルス病症例の発症週ごとの確定例および高度疑い例のデータ*
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* ここ数週間のデータは、ケースの確認と報告、および継続的なデータのクリーニングが遅れることがあります。その他の保健区域には、アリムボンゴ(Alimbongo)、ビエナ(Biena)、ブニア(Bunia)、カルングタ(Kalunguta)、カイナ(Kayna)、コマンダ(Komanda)、キョンド(Kyondo)、ルベロ(Lubero)、マングルジパ(Mangurujipa)、マセレカ(Masereka)、ムトワンガ(Mutwanga)、ニャンクンデ(Nyankunde)、オイチャ(Oicha)、ルワンパラ(Rwampara)、およびチョミア(Tchomia)が含まれます。
図2:2019年5月28日時点でのコンゴ民主共和国北キブ州およびイトゥリ州の保健地域別のエボラウイルス病の確定例と高度疑い例
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表1:2019年5月28日時点のコンゴ民主共和国北キブ州およびイトゥリ州における保健区域別のエボラウイルス病の確定例と高度疑い例、および影響を受けた保健地域の数**
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**過去21日間に発生した症例と地域の合計は、最初の症例警報の日付に基づいており、確定日および保健省による毎日の報告とは異なる場合があります。
公衆衛生上の取り組み
保健省、WHO、およびパートナーによる公衆衛生上の取り組み活動に関する詳細については、WHOアフリカ地域事務所が発表した最新の状況報告を参照してください。
エボラ状況報告書:コンゴ民主共和国
エボラ状況報告書:コンゴ民主共和国
WHOによるリスク評価
WHOは、疫学的状況の変化とアウトブレイクの状況を継続的に監視して、対応への支援が進展する状況に適応していることを確実なものにします。直近の評価では、国内および地域のリスクレベルは非常に高いままで、国際的なリスクレベルは低いままであると結論付けられました。 2019年2月下旬以降、毎週新しい患者の増加が続いています。全般的な治安状況の悪化と、政治的緊張と治安不穏によって悪化した地域社会の不信に基づく躊躇や拒絶、そして抵抗を示す孤立地帯(ポケット)が存続しています。アウトブレイクの影響を受けている地域において繰り返される一時停止と症例調査および対応活動の遅延により、介入の全体的な有効性が低下しています。しかし、最近の地域社会との対話、アウトリーチ構想、および特定のホットスポットエリアへのアクセスの回復により、地域社会による対応活動および症例調査の取り組みに対する受け入れが改善されました。確定症例のうち報告される地域社会の中で死亡する症例の高い割合、サーベイランス下で接触者が知られている新規症例の割合が比較的低いこと、院内感染に関連する感染伝播連鎖の存在、症例発見とエボラ治療センターにおける隔離の持続的遅延、ならびに高度疑い例に対する適時報告と対応における困難さは、アウトブレイクの影響を受ける地域社会でのさらなる感染連鎖の可能性を高め、コンゴ民主共和国内および近隣諸国へのエボラウイルス病の地理的拡大のリスクを高めるすべての要因となります。アウトブレイクの影響を受けている地域から、コンゴ民主共和国の他の地域へ、そして不安の高まりの間に穴だらけの国境を越えて近隣諸国へと人口移動が頻繁に起こることで、これらのリスクはさらに高まります。現在のアウトブレイクの長期的な発生、対応スタッフの疲労、および限られた資源に対する継続的な負担によって、新たなリスクが生じます。反対に、優先医療施設での医療従事者や現場作業員の予防接種を含む、近隣諸国での実質的な即応体制の整備および準備活動は、症例を迅速に検出して地域への蔓延を軽減する能力を高めている可能性が高いです。現時点でこれらの努力を拡大し続ける必要があります。
WHOからのアドバイス
WHOは現在入手可能な情報に基づき、コンゴ民主共和国への渡航や貿易に対していかなる制限も行わないよう勧告します。現在のところ、エボラウイルスから人々を守るワクチンは認可されていません。したがって、国境を越えた移動や、コンゴ民主共和国を離れる乗客に対してビザ発給の制限の基準として、エボラワクチンの接種証明書を要求することは合理的ではありません。WHOは厳重な監視を継続し、必要であれば今回の事象に関連した渡航と貿易の措置を検証します。現在、コンゴ民主共和国との間の国際交通を著しく妨害するような渡航対策を実施している国はありません。渡航者は渡航前に医師の診察を受けるべきであり、良い衛生慣習を実践すべきです。
詳しくは以下をご参照ください。
詳しくは以下をご参照ください。
- The Ongoing Ebola Epidemic in the Democratic Republic of Congo, 2018–2019
- WHO resources and updates on Ebola virus disease
- Highlights from the April 2019 meeting of the IHR Emergency Committee on the EVD outbreak in the Democratic Republic of the Congo
- WHO Interim recommendation Ebola vaccines
- WHO recommendations for international travellers related to the Ebola Virus Disease outbreak in the Democratic Republic of the Congo
- UNICEF Ebola crisis
- Ebola virus disease in the Democratic Republic of the Congo – Operational readiness and preparedness in neighbouring countries
出典
Ebola virus disease – Democratic Republic of the Congo
Disease Outbreak News: 30 May 2019
https://www.who.int/csr/don/30-may-2019-ebola-drc/en/
Disease Outbreak News: 30 May 2019
https://www.who.int/csr/don/30-may-2019-ebola-drc/en/
翻訳
WHO健康開発総合研究センター
https://extranet.who.int/kobe_centre/ja
https://extranet.who.int/kobe_centre/ja