エボラウイルス病-ウガンダ共和国

Disease outbreak news    2019年6月13日

2019年6月11日に、ウガンダ保健省(MoH)はウガンダのカセセ地区(Kasese)で1人のエボラウイルス病(EVD)症例を確認しました。患者はコンゴ民主共和国から来た5歳の小児で、祖父(2019年6月2日にエボラウイルス病の症例として確定)の葬儀に2019年6月1日に参列した後、コンゴ民主共和国のマバラコ(Mabalako)保健区域から家族と一緒にウガンダへ入国しました。2019年6月10日に患児と家族は、ブウェラ(Bwera)の国境検問所からウガンダへ入国し、カガンド病院(Kagando hospital)で診察を受けたところ、医療従事者により、病気の原因はエボラであると診断されました。患児は医学的管理のためにブウェラのエボラ治療病棟(ETU)に転院しました。2019年6月11日にウガンダウイルス研究所(UVRI)でエボラウイルスであると確定され、患児は2019年6月12日早朝に死亡しました。その他2人の疑い例として、(初発例の祖母と弟である)50歳女性と3歳男児が同じエボラ治療病棟に入院していて、2019年6月12日にウガンダウイルス研究所によりエボラウイルス病と確定されました。50歳女性は6月12日から13日にかけての夜間に死亡しました。その他27人の接触者が確認され、監視を継続しています。小児が治療を受けた両方の医療施設の医療従事者は事前に予防接種を実施していました。

公衆衛生上の取り組み

• 2018年の11月7日から、準備活動の一環として、ウガンダはアウトブレイク拡大のリスクがある地域における医療従事者と現場の作業員への予防接種を行ってきました。現在までに、165の医療施設内の4699人の医療従事者と最前線で働く作業員への予防接種を実施済みです。
• ウガンダ保健省とWHOは、その他のリスク下にある人々の同定と、その人々が体調不良となった場合に監視と医療の提供を確実に行うために、迅速対応チーム(Rapid Response Team)をカセセに派遣しました。
• 9のエボラ治療病棟(ETU)が北キブ州(North Kivu)とイトゥリ州(Ituri)に隣接した地区の適所に配置されています。ウガンダ保健省はリスク下にある人々が発症した場合に対処できるように、影響を受けた地区および地域の大型病院で、病棟の増設を行っています。
• ウガンダ保健省はコミュニティ教育、心理社会的支援を強化しており、また、患者と接触した人々や、過去に予防接種をしていない、リスク下にある医療従事者への予防接種に取り掛かる予定です。
• 疾患のモニタリングは国境検問所、保健所、コミュニティにおいて強化されていて、医療従事者は疾患の症状を識別するための訓練を受けています。影響を受けた地域の行政や自治体は、コミュニティ内でエボラの兆候や症状が出現したあらゆる人が、迅速に医療従事者に報告され、助言や検査を確実に受けられるよう指揮をとってきました。
• WHOは以下の点からもウガンダ保健省の支援を行っています。
 • 対応計画の最終化。
 • ワクチンと治療薬の迅速な輸送を含む、業務実施と物流の支援。
 • 資金・資源の調達。
 • 感染予防と制御(IPE)の専門家、治療学、リスクコミュニケーションとコミュニティとの連携、予防接種に 関する各専門家の配置。
 • エボラ予防接種プロトコールとエボラウイルス病の治療枠組に対する監視下かつ緊急の未承認治療の実験的使用(MEURI)に関する戦略的諮問委員会の取り決めの遵守。

WHOによるリスク評価

3人の確定例は全てコンゴ民主共和国から持ち込まれたもので、同国の北キブ州におけるエボラのアウトブレイクによる影響を現在受けている地域であるマバラコ保健区域から、一緒に渡航してきた同一家族のものです。現在まで、この3人はウガンダにおけるエボラウイルス病の唯一の事例のままであり、ウガンダでの地理的な拡大は、コンゴ民主共和国国境付近の1地区に限定されています。アウトブレイクの全体の広がりを評価するため、さらなる調査がウガンダとコンゴ民主共和国の両国で進行しています。

2018年8月のコンゴ民主共和国におけるエボラのアウトブレイクの開始から、WHOは近隣諸国に準備対策を強化するよう助言してきました(優先度1の国:ウガンダ、ルワンダ、南スーダン、ブルンジ/ 優先度2の国:アンゴラ、ザンビア、タンザニア、中央アフリカ共和国、コンゴ民主共和国)。

これまでのところ、以下の4点を考慮すると、国家規模での全体のリスクレベルは中等度と評価されます。
1)ウガンダにおけるエボラウイルス病の症例はコンゴ民主共和国と疫学的に関連していたこと、
2) 3症例全てが、確定例への共通の高リスクの曝露があった単一の家族内クラスターに属していること、
3) エボラウイルス病アウトブレイクの管理に関するウガンダ当局の準備のレベルと過去の経験
4)症例の発見の迅速さと影響を受けている地域が地理的に限定されていること
さらに、ウガンダでの地域内伝播のエビデンスはなく、アウトブレイクはコンゴ民主共和国との国境付近であることから、ウガンダのアウトブレイクによる地域レベルでの全体リスクは低いと考えられます。しかし、コンゴ民主共和国のアウトブレイクによる地域レベルでの全体のリスクは依然として非常に高いままです。国際的なレベルでの全体リスクは低いままです。

WHO事務局長は、コンゴ民主共和国からウガンダへの国境を越えたエボラの拡大に言及した最新のリスクアセスメントに従って、国際保健規則(IHR2005)に基づいて第3回緊急委員会を招集する予定です。WHOは、コンゴ民主共和国におけるアウトブレイクが8月に公表されてから、国際保健規則(IHR2005)に基づいて2回(2018年10月と2019年4月)緊急委員会を招集してきました。委員会は今回の出来事が公衆衛生上の緊急事態(public health emergency of international concern; PHEIC)となるか否かについて議論をする予定です。

WHOからのアドバイス

WHOは現在入手可能な情報に基づき、ウガンダへの渡航や貿易に対していかなる制限も行わないよう勧告します。WHOは今回の事象に関連した渡航や貿易の措置の監視を継続し、そして現在は、国際輸送の制約は設けられていません。

詳しくは以下をご参照ください。

出典

Ebola virus disease – Republic of Uganda
Disease Outbreak News: 13 June 2019
https://www.who.int/csr/don/13-june-2019-ebola-uganda/en/

翻訳

WHO健康開発総合研究センター
https://extranet.who.int/kobe_centre/ja