ポリオのアウトブレイクーフィリピン

Disease outbreak news  2019年9月24日

2019年9月19日、フィリピンはポリオのアウトブレイクを宣言しました。現在までに、ワクチン由来のポリオウイルス2型(VDPV2)が原因の2例が報告されています。 8月13日にマニラの下水および8月22日にダバオの水路から採取された環境サンプルも、VDPV2の検査結果が陽性です。

最初の症例は、熱帯医学研究所の国立ポリオ研究所、日本の国立感染症研究所(NIID)、および米国疾病管理予防センター(CDC)による検査の後、9月14日に確定されました。患者はフィリピン南部のラナオ・デル・スル(Lanao del Sur)出身の3歳の少女です。分離されたウイルスは、マニラとダバオの環境サンプルから以前に分離されたVDPV2に遺伝的に関連しています。これは、ウイルスが循環していることを示しています。

2番目の症例は9月19日に確定された、マニラ首都圏の南東約100 kmのラグナ州の5歳の少年です。ウイルスについての調査とさらなる特性評価が進行中です。

さらに、VDPV1は、マニラから7月1日、7月22日、8月13日、および8月27日に収集された環境サンプルからも分離されています。

ワクチン由来ポリオウイルスは、経口ポリオワクチンに含まれる弱毒化ウイルスから遺伝的に変化した、まれに発生するポリオウイルスの型(タイプ)です。それらは、ワクチンウイルスが人から人へと長い期間をかけて受け渡されていくことが可能な場合にのみ発生します。時間が経つにつれて、予防接種を受けていない人々の間で受け渡されるため、病気を引き起こす能力を取り戻すことができます。集団が経口ポリオワクチンと不活化ポリオワクチンの両方で完全に予防接種されている場合、この種の感染は起こりません。経口ポリオワクチンで免疫された人々の腸の免疫は、ウイルスの伝播を阻止します。したがって、完全な予防接種は、ワクチン由来のウイルスと野生のポリオウイルスの両方から保護します。

公衆衛生上の取り組み

1.ポリオウイルスを検出するために、急性弛緩性麻痺(AFP)サーベイランスと環境サーベイランスが強化されています。
2.現在、ウイルスの伝播の地理的範囲を定めて、集団予防接種キャンペーンを含むアウトブレイク対応の計画を通知するために、ラナオ・デル・スルでフィールド調査が進行中です。
3.保健省(DOH)は、すべての子供が定期予防接種スケジュールに従って予防接種を受けるべきであるという勧告を強化しました。
4.WHOおよび世界ポリオ根絶イニシアチブ(GPEI)のその他のパートナーは、詳細な調査において保健省および地方の保健当局を支援し、サーベイランスの強化、定期予防接種の強化、公衆へのリスクの伝達、国際的に合意されたポリオのアウトブレイク対策ガイドラインに沿ったアウトブレイク対応を実施する取り組みを支援しています。

WHOによるリスク評価

WHOは現在、フィリピンからの国際的な広がりのリスクが低いと評価しています。ただし、フィリピン国内でのさらなる拡散のリスクは高く、限られた集団免疫(2018年の二価経口ポリオワクチン(bOPV)と不活化ポリオワクチン(IPV)のカバー率がそれぞれ66%と41%だったため)と最適レベルに達していない急性弛緩性麻痺サーベイランスによるものです。

WHOからのアドバイス

ウイルスの輸入を検出し、迅速な対応を促進するために、すべての国、特にポリオの影響を受けた国や地域と頻繁に旅行し接触している国々が急性弛緩性麻痺症例のサーベイランスを強化することが重要です。国、領域、および地域も、ポリオウイルスの侵入または感染伝播の可能性を最小限に抑えるために、高い定期予防接種率を維持する必要があります。

WHOは、ポリオの影響を受けた地域のすべての旅行者と居住者に、ポリオに対する完全な予防接種を行うことを推奨しています。

国際保健規則(2005)の下で召集された緊急委員会の助言によると、ポリオウイルスの国際的な広がりは、国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)のままです。ポリオウイルス感染伝播の影響を受ける国は、一時的な勧告の対象となります。PHEICに基づいて発出された暫定勧告に準拠するために、ポリオウイルスに感染した国は、アウトブレイクを国家公衆衛生上の緊急事態として宣言する必要があります。

出典

Polio outbreak- The Philippines
Disease outbreak news  24 September 2019
https://www.who.int/csr/don/24-september-2019-polio-outbreak-the-philippines/en/