エボラウイルス病―コンゴ民主共和国(更新51)

Disease outbreak news:更新  2019年12月5日

北キブ州およびイトゥリ州で進行中のエボラウイルス病(EVD)のアウトブレイクで、11月27日から12月3日の間に9例の新しい確定例が報告されました。今週、確認された症例は、マンディマ(56%、 n = 5)及びマバラコ(44%、 n = 4)の保健区域から報告されました。

これまでの2週間のなかで、暴力、市民の不安の広がり、標的を絞った攻撃によって、エボラウイルス病への対応が著しく混乱させられつつあり、複数の地域における汚染地区に対するアクセスが制限されました。その結果として、いつくかのカギとなる報告数や調査の警報数量、登録及び追跡された接触者の数といった対応活動の成果が得られませんでした。(図1、図2)。治安の悪い保健区域からの報告の警報数は通常より少なく、これにより過去7日間の報告の平均数が全体的に減少しました。報告された3346件のアラートのうち96%のものが24時間以内に調査されました。

過去7日間におけるサーベイランス下の接触者の割合は70%で、これらの治安に関する事件が起こる前の11月の平均を下回っています(図2)。 これは主に、ベニ、マバラコ、オイチャ保健区域の一部の地域での成果があがらなかったからです。(捕捉率はベニで82%、マバラコで68%、オイチャで42%でした。) これらの値は、事件の後にゆっくりと改善してきていますが、変動の幅からは治安に関する事件が対応活動に継続的に影響を及ぼしていることがわかります。

これまでの21日間(11月13日から12月3日)に、北キブ州とイトゥリ州の近隣の感染伝播が続いている4つの保健区域中、71保健地域の10から22人の確定例が報告されました(図3、表1)。内訳はマバラコ(55%、 n = 12)、マンディマ(27%、 n = 6)、ベニ(9%、 n = 2)、オイチャ(9%、 n = 2)です。症例の大部分(91%、n = 20)は、既知の伝播の連鎖に関連しています。その前の21日間では、2019年1月以降の平均(7%)と比較して、エボラウイルス病への曝露の可能性として葬儀が報告された症例の割合が高く(31%、 n = 8)なっています。理由としてはLwemba(6件)とBingo(2件)の保健地域にある2つの分離された地域社会での発生が、2つの高度疑い例と関連していることがあります。

12月3日の時点で、合計3,313件のエボラウイルス病の症例が報告され(図4)、そのうち3,195例が確定例、118例の高度疑い例があり、そのうち2,207症例が死亡しました(全体の致死率67%)。 確定例と高度疑い例を合わせた全症例のうち、56%( n = 1866)が女性、28%( n = 936)が18歳未満の子ども、5%( n = 163)が医療従事者でした。

図1:2019年12月3日時点での日ごとの報告され、調査され、検証された警報数*

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図2:2019年12月3日時点での週ごとの登録およびフォローアップされた接触者の数*

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*データは、報告時の最新情報として表示されます。

図3:2019年12月3日時点の保健区域別エボラウイルス病の発症週ごとの確定例および高度疑い例**

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図4:2019年12月3日時点の保健区域別エボラウイルス病の発症週ごとの確定例および高度疑い例のデータ**

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**発症日が報告されていないn=184症例を除く。ここ数週間のデータは、症例の確認と報告、継続的なデータクリーニングが保くれることがあります。その他の保健区域には、アリムボンゴ(Alimbongo)、アリワラ(Ariwara)、ビエナ(Biena)、ブニア(Bunia)、ゴマ(Goma)、カルングタ、カイナ(Kayna)、コマンダ(Komanda)、キョンド、ロルヴァ(Lolwa)、ルベロ(Lubero)、マングルジパ(Manguredjipa)、マセレカ(Masereka)、ミュジヤンエーヌ(Musienene)、ムトワンガ(Mutwanga)、ムウェンガ(Mwenga)、ニャンクンデ(Nyankunde)、ニーラゴンゴ(Nyiragongo)、パンガ(Pinga)、ルワンパラ(Rwampara)、チョミア(Tchomia)、ヴホヴィ(Vuhovi)が含まれます。

表1:2019年12月3日時点のコンゴ民主共和国の北キブ州とイトゥリ州における保健区域別のエボラウイルス病の確定例と高度疑い例、被害を受けた保健地域の数***

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***過去21日間に発生した症例と被災した地域は症例警報の日付に基づいており、確定日及び保健省による毎日の報告とは異なる場合があります。

公衆衛生上の取り組み

保健省、WHO、およびパートナーによる公衆衛生の取り組みの詳細については、WHOアフリカ地域事務所が発行する最新の状況レポートを参照してください。
エボラ状況報告書:コンゴ民主共和国

WHOによるリスク評価

WHOは、対応支援が変化を続ける状況に適応できているかを確認するべく、疫学的状況の変化とアウトブレイクの状況を継続的に観察しています。直近の評価では国内および地域でのリスクレベルは非常に高いままで、国際的なリスクレベルは低いままであると結論付けられました。

新たな確定例の数は比較的少ないままですが、攻撃、暴力、不安によって対応活動が中断されることによって、最近の改善を覆す恐れがあります。WHOと対応パートナーはすべての対応者を安全に保ちながら、アウトブレイクの再興から地域を守るために対応戦略を適応させるために取り組んでいます。

WHOからのアドバイス

WHOは、現在入手可能な情報に基づいて、コンゴ民主共和国への渡航および貿易に対していかなる制限もすべきでないと助言します。国境を越えた移動や影響を受ける国への/からの旅行者に対するビザの発行を制限するために、エボラワクチンの接種証明書を要求することは、合理的な根拠にもとづくものではありません。WHOは、この事象に関連する旅行および貿易を引き続き注意深く監視し、必要に応じて検証します。現在、コンゴ民主共和国との間の国際交通を著しく妨げる旅行施策を実施している国はありません。旅行者は旅行前に医師の助言を得るべきであり、良好な衛生状態を保つべきです。詳細については、コンゴ民主共和国でのエボラウイルス病のアウトブレイクに関連する国際交通に関してWHOが推奨している事項を参照してください。

出典

Ebola virus disease ― Democratic Republic of the Congo
Disease outbreak news: Update   5 December 2019
https://www.who.int/csr/don/05-december-2019-ebola-drc/en/