エボラウイルス病―コンゴ民主共和国(更新52)

Disease outbreak news:更新  2019年12月12日

北キブ州およびイトゥリ州で進行中のエボラウイルス病(EVD)のアウトブレイクで、12月4日から10日の間に27例の新しい確定例が報告されました。 今週の確定例はすべて、4つの保健区域の中の7つの保健地域からのものでした。内訳は、マバラコ(67%、 n = 18)、ベニ(22%、 n = 6)、マンディマ(7%、 n = 2)、およびオイチャ( 4%、 n = 1)でした。これは、過去3週間での確定例数の平均は7例であったことと比較して、報告数に大幅な増加がみられます。これらの症例はすべて、3つの伝播の連鎖に関連しています。これらの27の新たな症例のうち、20例(74%)は登録された接触者であり、そのうち10例(37%)は定期的にフォローアップされていました。1人の地域社会での死亡が報告されました。遺体はルウェバ保健地域から搬送された際に入境管理地点で関係者が介入し、安全を保ちつつ威厳をもった埋葬がなされました。 他のすべての患者はエボラ治療センターに紹介されました。

これらの新たな症例の大部分は、17人に対してある1人が潜在的な感染源という、単一の伝播の連鎖に関連しています。これは、6か月の間に、この個人における2度目のエボラウイルス病態の報告となります。 このケースを取り巻く状況を把握するために調査が進んでいます。調査されている可能性の中で、再感染と再発が考えられます。 再感染とはエボラウイルス病から回復した人がもう一度別の人からエボラウイルス病を感染させられたことを意味します。これについて報告されたことはありません。エボラウイルス病から回復した人が再び病気になるという意味の再発についてのまれなケースについては報告がなされています。

過去1週間で、医療従事者の間で6例の新たな症例が発生しました。そのうち5人は伝統的な医療者であり、このアウトブレイクで感染した医療従事者の総数は169人(報告されたすべての症例の5%)になりました。

ベニ及びマバラコの保健区域では過去7日間に健康監視を受けていた接触者の全体的な割合の平均が、過去数週間の治安を脅かす事件が起きる前のレベルに戻りました。緊急的な報告の総数と24時間以内に報告に基づき調査した割合においても同様の改善がみられました。

これまでの21日間(11月20日から12月10日まで)、北キブ州とイトゥリ州の近隣の感染が続いている4つの保健区域の中の71の保健地域のうち15(21%)の保健地域から42例の確定例が報告されました(図2、表1)。うちわけは、マバラコ(60%、 n = 25)、マンディマ(19%、 n = 8)、ベニ(17%、 n = 7)、およびオイチャ(5%、 n = 2)です。症例の大部分(95%、 n = 40)は、既知の伝播の連鎖に関連しています。 マンバサ保健区域では42日間にわたり新たな確定例が発生していません。

12月10日の時点で、合計3,340件のエボラウイルス病の症例が報告され、そのうち3,222例が確定例、118例の高度疑い例があり、そのうち2,210例が死亡しました(全体の致死率66%)(表1)。 確定例と高度疑い例を合わせた全症例のうち、56%( n = 1881)が女性であり、28%( n = 941)が18歳未満の子どもでした。

図1:2019年12月10日時点の保健区域別エボラウイルス病の発症週ごとの確定例および高度疑い例のデータ*

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図2:2019年12月10日時点の保健地域別エボラウイルス病の発症週ごとの確定例および高度疑い例*

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* 2019年12月10日時点で報告された3,340の確定例と高度疑い症例。発症日が報告されていないn = 173の症例を除く。ここ数週間のデータは、症例の確認と報告、継続的なデータクリーニングが遅れることがあります。その他の保健区域には、アリムボンゴ(Alimbongo)、アリワラ(Ariwara)、ビエナ(Biena)、ブニア(Bunia)、ビュトンボ、ゴマ(Goma)、カルングタ、カトワ、カイナ(Kayna)、コマンダ(Komanda)、キョンド、ロルヴァ(Lolwa)、ルベロ(Lubero)、マンバサ、マングルジパ(Manguredjipa)、マセレカ(Masereka)、ミュジヤンエーヌ(Musienene)、ムトワンガ(Mutwanga)、ムウェンガ(Mwenga)、ニャンクンデ(Nyankunde)、ニーラゴンゴ(Nyiragongo)、パンガ(Pinga)、ルワンパラ(Rwampara)、チョミア(Tchomia)、ヴホヴィ(Vuhovi)が含まれます。

表1:2019年12月10日時点のコンゴ民主共和国の北キブ州とイトゥリ州における保健区域別のエボラウイルス病の確定例と高度疑い例、被害を受けた保健地域の数**

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**過去21日間に発生した症例と被災した地域は症例警報の日付に基づいており、確定日及び保健省による毎日の報告とは異なる場合があります。
 

公衆衛生上の取り組み

保健省、WHO、およびパートナーによる公衆衛生上の対応措置の詳細については、WHOアフリカ地域事務所が発行する最新の状況レポートを参照してください。
エボラ状況報告書:コンゴ民主共和国

WHOによるリスク評価

WHOは、対応支援が変化を続ける状況に適応できているかを確認するべく、疫学的状況の変化とアウトブレイクの状況を継続的に観察しています。直近の評価では国内および地域でのリスクレベルは非常に高いままで、国際的なリスクレベルは低いままであると結論付けられました。

WHOからのアドバイス

WHOは、現在入手可能な情報に基づいて、コンゴ民主共和国への渡航および貿易に対していかなる制限もすべきでないと助言します。国境を越えた移動や影響を受ける国への/からの旅行者に対するビザの発行を制限するために、エボラワクチンの接種証明書を要求することは、合理的な根拠にもとづくものではありません。WHOは、この事象に関連する旅行および貿易を引き続き注意深く監視し、必要に応じて検証します。現在、コンゴ民主共和国との間の国際交通を著しく妨げる旅行施策を実施している国はありません。旅行者は旅行前に医師の助言を得るべきであり、良好な衛生状態を保つべきです。詳細については、コンゴ民主共和国でのエボラウイルス病のアウトブレイクに関連する国際交通に関してWHOが推奨している事項を参照してください。

出典

Ebola virus disease ― Democratic Republic of the Congo
Disease outbreak news: Update   12 December 2019
https://www.who.int/csr/don/12-december-2019-ebola-drc/en/