原因不明の肺炎-中国

Disease outbreak news   2020年1月5日

2019年12月31日、中国湖北省武漢市で検出された病因不明の肺炎(原因不明)の事例についてWHO中国事務所に通知されました。2020年1月3日現在、病因不明の肺炎患者、全部で44人が、中国の国家当局によってWHOに報告されています。報告された44例のうち、11例は重症であり残りの33症例は安定した状態です。報道によると、武漢にある関係する市場は環境衛生と消毒のために2020年1月1日に閉鎖されました。

原因物質はまだ特定または確認されていません。2020年1月1日にWHOはリスクを評価するために当局にさらなる情報を求めました。

当局はすべての患者が武漢の医療機関において、隔離されおり、治療を受けていると報告しています。臨床徴候と症状は主に発熱であり、呼吸困難の患者も数人います。胸部レントゲン写真では両側の肺の浸潤影を示しています。

当局によると、患者のなかには、華南海産物市場で店舗などを運営していた方がいるのこと。中国の調査チームからの予備的な情報によれば、ヒトからヒトへの伝播の重大な証拠は認められておらず、医療従事者の感染も報告されていません。

公衆衛生上の取り組み

当局は次のような対応策を報告しています。
・121名の濃厚接触者を特定しており、医療の管理下に観察している。
・濃厚接触者に対してフォローアップが進行中です。
・病原体の特定と原因の追跡を進行しています。
・武漢市衛生健康委員会(武漢市の保健衛生当局)は積極的症例調査を実施したとともに、遡及的調査を終えたところです。
・環境衛生の整備とともにさらなる衛生調査を進めています。

WHOは状況を綿密にモニターしており、中国の関係当局と密接に連携しています。

WHOによるリスク評価

今回、報告された病因不明の肺炎の集団発生に関して、全体的なリスクを決定するための情報が限られています。小売りされている魚と生きた動物を扱う市場との関係性が報告されていることは、動物への暴露のつながりがあることを示しているかもしれません。患者の間で報告される症状は呼吸器疾患に共通するものであり、肺炎は冬季によく見られるものです。しかしながら、入院を要するくらいの肺炎が一定の空間と時間のなかで集団発生したことは、慎重に扱うべきです。

人口1,900万人の武漢市は、人口5,800万人を有する湖北省の中心都市です。WHOは、実施された臨床検査及び検討された鑑別診断や症例に関して詳細な情報を要求しているところです。

WHOからのアドバイス

当局から提供された情報に基づいて、インフルエンザ及び重症呼吸器感染症の公衆衛生対策と監視に関するWHOの推奨事項が引き続き適用されます。

WHOは、旅行者向けの特定の対策を推奨していません。旅行中または旅行後に呼吸器疾患を示唆する症状がある場合、旅行者は医療機関に相談し、旅行歴を医療関係者に共有するよう勧めます。

WHOは現在入手可能な情報に基づき、中国への渡航や貿易に対していかなる制限も行わないよう勧告します。

出典

Pneumonia of unknown cause ― China
Disease outbreak news   5 January 2020
https://www.who.int/csr/don/05-january-2020-pneumonia-of-unkown-cause-china/en/