エボラウイルス病-コンゴ民主共和国(更新) 2020年1月30日付け

Disease outbreak news:更新 2020年1月30日付け

1月22日から28日まで、コンゴ民主共和国で進行中のエボラウイルス病(EVD)のアウトブレイクで、5人の新たな確定症例が報告されました。5例すべてがベニ保健区域から報告されており、マバラコ保健区域のアロヤ保健地域で発生した伝播の連鎖と疫学的リンクがありました。すべての患者は接触者として特定されましたが、検出したときには追跡されてはいませんでした。

1月20日に報告された確定症例の1件は、エボラ治療センター(ETC)に入院する前、4日間にわたり地域の村落に滞在し、同じ村落の2人に感染させました。1月27日に報告されたこれら2人は、症状が出てから隔離されるまで、村落に4~5日間、滞在しました。確認されたもう1人の症例は、症状の発症後8日間コミュニティに留まり、1月28日にコミュニティで亡くなりました。確定患者が村落で時間を過ごすと、EVDが接触者に伝播するリスクを高めます。したがって、BundjiおよびKanzulinzuliの保健地域、およびベニ保健区域の近隣の保健地域では、今後2週間にさらなる患者が発生することが予想されます。

過去21日間(2020年1月8日から28日)に、北キブ州の3つの感染伝播が活発な保健区域内の5つの保健地域から28人の確定患者が報告されました(図1、図2、表1):ベニ(n=18)、マバラコ(n=9)、およびミュジヤンエーヌ(n=1)。ベニ保健区域は現在もアウトブレイクのホットスポットであり、過去21日間に確定例の64%を報告しています。1月28日の時点で、EVDの症例が21日以上の確認されていない保健区域があり、イトゥリ州のマンバサ保健区域(23日間)、および北キブ州のビュトンボ保健区域(25日間)。過去21日間の確定例28例のうち、20例は発症後してから最初の2日以内に隔離され治療を受けました。すなわち、生存の可能性が高く、地域での接触者に伝播する可能性が低いことを意味します。

過去21日間ではアウトブレイクの展開について有望な傾向が観られました。今回の疫学的週(2020年1月20日~26日)では、対応を初めてから最も報告例数が少なかったのです。3つの保健区域の5つの保健地域で症例が報告され、接触者の追跡調査、日々報告されるアラートの数は、時間の経過とともに改善され続けています(図3、図4)。接触者の追跡調査は、ベニ保健区域においてフォローすることに同意した既知の接触者を対象として、即興的に宿泊施設とサービスの提供をした結果、著しく改善しました。これらの勇気づけられる兆候にもかかわらず、残りの課題を克服するために継続的な警戒が必要です。伝統的な診療所にリンクした院内感染の可能性が高いことは、現在のアウトブレイクの主な要因となっており、接触者の把握などの個別の課題の存在を示しています。

1月28日の時点で、合計3,421例のエボラウイルス病の症例が報告され、うち3,302例が確定例であり、119例が高度疑い例であり、全体のうち2,242症例が死亡しました(全体の致死率66%)(表1)。全ての確定例及び高度疑い例のうち、56%(n=1918)が女性、28%(n=963)が18歳未満の子ども、報告された全症例の5%(n=172)が医療関係者でした。

図1:2020年1月28日時点の保健区域別エボラウイルス病の発症週ごとの確定例および高度疑い例のデータ*

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**2020年1月28日時点で報告された、3,421人の確認済みの可能性のある症例。発症日が報告されていないn=169の症例を除く。ここ数週間のデータは、ケースの確認と報告、および継続的なデータクリーニングの遅延の影響を受けます。その他の保健区域には、アリムボンゴ、アリワラ、ビエナ、ブニア、ゴマ、カイナ、コマンダ、キョンド、ロルワ、ルベロ、マンディマ、マングルジパ、マセレカ、ムトゥワンガ、ムウェンガ、ニャクンデ、ニーラゴンゴ、オイチャ、パンガ、ルワンパラ、チョミア、ヴホヴィ

図2: 2020年1月28日時点の保健地域別エボラウイルス病の発症週ごとの確定例および高度疑い例*


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図3.2020年1月28日現在、コンゴ民主共和国の発生地域から毎日報告、調査、検証されたエボラウイルス病のアラート

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図4.2020年1月28日時点で日ごとの登録およびフォローアップされたされた接触者の数

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表1:2020年1月28日時点の保健区域別のエボラウイルス病の発症週ごとの確定例と高度疑い例のデータ**

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** 過去21日間に発生した症例と被災した地域は症例警報の日付に基づいており、確定日及び保健省による毎日の報告とは異なる場合があります。

公衆衛生上の取り組み

保健省、WHO、パートナーによる公衆衛生上の取り組みに関するさらなる情報は、WHOアフリカ地域事務局が発表した最新の状況報告をご参照ください。
エボラ状況報告書:コンゴ民主共和国

WHOによるリスク評価

WHOは、対応支援が変化を続ける状況に適応できているかを確認するべく、疫学的状況の変化とアウトブレイクの状況を継続的に観察しています。直近の評価では国内および地域でのリスクレベルは非常に高いままで、国際的なリスクレベルは低いままであると結論付けられました。

WHOからのアドバイス

WHOは現在入手可能な情報に基づき、コンゴ民主共和国への渡航や貿易に対していかなる制限も行わないよう勧告します。国境を越えた移動や影響を受けた国への/国からの渡航者にビザの発給の制限の基準として、エボラワクチンの接種証明書を要求することは合理的ではありません。WHOは厳重な監視を継続し、必要であれば今回の事象に関連した渡航と貿易の措置を検証します。現在、コンゴ民主共和国との国際交通を著しく妨害するような渡航対策を実施している国はありません。渡航者は渡航前に医師の診察を受けるべきであり、良い衛生習慣を実践すべきです。さらなる情報は、「WHOの推奨するコンゴ民主共和国におけるエボラウイルス病アウトブレイクに関連した国際交通にについて」で確認可能です。
 

出典

Ebola virus disease ― Democratic Republic of the Congo
Disease outbreak news: Update 30 January 2020
https://www.who.int/csr/don/30-january-2020-ebola-drc/en/