エボラウイルス病-コンゴ民主共和国(更新)2020年1月16日付け

Disease outbreak news:更新  2020年1月16日

14人の新規確定例が、コンゴ民主共和国で現在進行しているエボラウイルス病のアウトブレイクから、1月8日から14日までに報告されました。確定例は北キブ州(Kivu)にある、マバラコ(Mabalako)(64%, n=9)、ベニ(Beni)(29%, n=4)、ミュジヤンエーヌ(Musienene)(7%, n=1)の各保健区域から報告されました。過去7日間に報告された新規確定例は全て(100%、14/14)、症状の出現以前に登録されていた接触者で、マバラコ保健区域のアロヤ(Aloya)保健地域を起源とする伝播の鎖に疫学的な関連がありました。

過去21日間に(2019年12月25日から2020年1月14日まで)、40人の確定例が、北キブ州とイトゥリ州(Ituri)の感染伝播が活発な7つの保健区域内にある14の保健地域から報告されました(図1、図2、表1)。内訳はマバラコ(43%, n=17)、ビュトンボ(Butembo)(20%, n=8)、ベニ(13%, n=5)、マンバサ(Mambasa)(10%, n=4)、カルングタ(Kalunguta)(8%, n=3)、カトワ(Katwa)(5%, n=2)、ミュジヤンエーヌ(3%, n=1)です。マバラコ保健区域は、過去21日間で確定例の43%が報告されていて、依然として現在のアウトブレイクのホットスポットです。この期間中に報告された症例の大部分は(88%, 35/40)、2019年12月4日から24日までの期間と類似した、既知の伝播の鎖に関連しています(89%、47/53)。過去21日間で、エボラウイルス病確定例の死亡者の8%(3/36)は、エボラ治療センター外の、コミュニティで死亡した人々です。これら3例のコミュニティでの死亡から、15人の新規症例が引き起こされました。これにより接触者のフォロー、できる限り早急な症状が出現している患者の検出、対応活動へのコミュニティの参加のための継続的な活動の必要性が高まります。

1月14日の時点で、3288人の確定例と118人の高度疑い例を含む、合計3406人のエボラウイルス病症例が報告されていて、うち2236人が死亡しています(全体の症例致死率66%)(表1)。全ての確定例と高度疑い例のうち、56%(n=1910)が女性、28%(n=960)が18歳未満の小児、169人(全ての報告された症例のうちの5%)が医療従事者です。

次週、リスクの高い期間(ウイルスへの最後の曝露後7日から13日まで)にある接触者が、北キブ州とイトゥリ州の9の保健区域にいることになります。2019年12月24日から28日までに5人がエボラウイルス病と確定された北キブ州のカルングタ保健区域では、全ての153人の接触者が、新規に発症したという報告がなく、21日間のフォローアップを終えました。2020年1月4日から5日までに4人の新規症例が報告されたイトゥリ州のマンバサ保健区域では、フォローされている400人以上の接触者が、リスクの高い期間を終えようとしています。

2018年8月1日にアウトブレイクが最初に宣言されてから、17カ月以上になります。週ごとに報告される症例数は、2019年3月から9月までの期間より少なくなっています(図1)。しかし、ルウェンバ(Lwemba)保健地域での複数のコミュニティ内死亡の風説があるマンディマ保健区域を含む、治安が不安定で立ち入りが困難な保健地域が複数あります。治安が不安定な地域を含む、アウトブレイクが激化している保健区域における継続的な対応活動や、過去に疾患を排除した、人口の密集している保健区域への疾患の再導入の予防は、現在進行している伝播を終結させるために重要なものとなります。

図1:2020年1月14日時点の保健区域別エボラウイルス病の発症週ごとの確定例および高度疑い例のデータ*

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*2020年1月14日の時点で、3406例の確定例と高度疑い例が報告されました。発症日が報告されていないn=173症例を除きます。ここ数週間のデータは、症例の確認と報告、継続的なデータクリーニングが遅れることがあります。その他の保健区域には、アリムボンゴ(Alimbongo)、アリワラ(Ariwara)、ビエナ(Biena)、ブニア(Bunia)、ゴマ(Goma)、カルングタ、カイナ(Kayna)、コマンダ(Komanda)、キョンド(Kyondo)、ロルヴァ(Lolwa)、ルベロ(Lubero)、マンディマ(Mandima)、マングルジパ(Manguredjipa)、マセレカ(Masereka)、ムトワンガ(Mutwanga)、ムウェンガ(Mwenga)、ニャンクンデ(Nyankunde)、ニーラゴンゴ(Nyiragongo)、オイチャ、パンガ(Pinga)、ルワンパラ(Rwampara)、チョミア(Tchomia)、ヴホヴィ(Vuhovi)が含まれます。

図2:2020年1月14日時点の保健区域別エボラウイルス病の発症週ごとの確定例および高度疑い例*

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表1:2020年1月14日時点の保健区域別エボラウイルス病の発症週ごとの確定例と高度疑い例**

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**過去21日間に発生した症例と被災した地域は症例警報の日付に基づいており、確定日及び保健省による毎日の報告とは異なる場合があります。

公衆衛生上の取り組み

保健省、WHO、パートナーによる公衆衛生上の取り組みに関するさらなる情報は、WHOアフリカ地域事務局が発表した最新の状況報告をご参照ください。
Ebola situation reports: Democratic Republic of the Congo

WHOによるリスク評価

WHOは、対応支援が変化を続ける状況に適応できているかを確認するべく、疫学的状況の変化とアウトブレイクの状況を継続的に観察しています。直近の評価では国内および地域でのリスクレベルは非常に高いままで、国際的なリスクレベルは低いままであると結論付けられました。

WHOからのアドバイス

WHOは現在入手可能な情報に基づき、コンゴ民主共和国への渡航や貿易に対していかなる制限も行わないよう勧告します。国境を越えた移動や影響を受けた国への/国からの渡航者にビザの発給の制限の基準として、エボラワクチンの接種証明書を要求することは合理的ではありません。WHOは厳重な監視を継続し、必要であれば今回の事象に関連した渡航と貿易の措置を検証します。現在、コンゴ民主共和国との国際交通を著しく妨害するような渡航対策を実施している国はありません。渡航者は渡航前に医師の診察を受けるべきであり、良い衛生習慣を実践すべきです。さらなる情報は、WHOの推奨するコンゴ民主共和国におけるエボラウイルス病アウトブレイクに関連した国際交通にについてで確認可能です。

さらなる情報は下記をご覧ください。

出典

Ebola virus disease – Democratic Republic of the Congo
Disease outbreak news, 16 January 2020
https://www.who.int/csr/don/16-january-2020-ebola-drc/en/

翻訳

WHO健康開発総合研究センター(WHO神戸センター)
https://extranet.who.int/kobe_centre/ja