リフトバレー熱の発生ーケニア

ケニアは、2010年より州を解体して47のカウンティ(County)を新たに設置し、カウンティ政府法によって、カウンティ(County)の下にはサブ・カウンティ(sub-county)、区(ward)、村(village)という区画が設置されています。

Disease outbreak news 2021年2月12日

リフトバレー熱(RVF)がケニアで報告されており、イシオロ(Isiolo)郡(county)とマンデラ(Mandera)郡ではヒトと動物の症例、ムランガ(Murang’a)郡、ガリッサ(Garissa)郡では動物の症例が報告されています。2021年2月4日現在、ヒトの症例32人(うち確定症例14人)が報告され、死亡者は11人(致死率34%)となっています。
 

イシオロ郡

アウトブレイクは2020年11月19日に始まったと考えられており、吐き気、鼻出血や吐血、腹痛や下痢の有無にかかわらず、発熱、頭痛、全身倦怠感を呈した遊牧民の間で死亡例があり、イシオロ郡保健当局に報告されました。最初のヒト症例は、2020年11月下旬にガルバトゥラ(Garbatulla)サブ・カウンティのセリコ(Sericho)区から報告されました。ガルバトゥラサブ・カウンティ内のガファルサ(Gafarsa)とエリサボル(Erisaboru)、及びメルティ(Merti) サブ・カウンティ内のコルベサ(Korbesa)で死亡例が報告されています。12月16日、ケニア医学研究所(KEMRI)の国立ウイルス学研究所において、PCR検査でリフトバレー熱が確認されました。2021年2月4日現在、合計22人(うち確定症例12人)のヒト症例が報告され、10人(うち確定症例3人)が死亡しました。症例の多くはガルバトゥラサブ・カウンティから報告されており、その大部分は13歳から70歳までの男性の遊牧民でした。
 
主に牧畜が行われているセリコ区では、2020年11月19日にヒツジやヤギの症例も報告されました。この地域のコミュニティは、村に居住しており、家畜は共同の放牧地で放牧されています。動物の検体は、カベテ(Kabete)の中央獣医学研究所とガリッサの地域獣医学調査研究所において、IgMとreal-time PCRで検査され、リフトバレー熱陽性となりました。2021年1月7日に正式に確認されて2021年1月15日に国際獣疫事務局(OIE)に報告され、その後、1月22日と1月29日にも報告されました。1月27日現在、合計20の家畜検体(ヒツジ19頭、ラクダ1頭)が検査され、IgM捕捉ELISA法とreal-time PCRでリフトバレー熱陽性となりました。
 

マンデラ郡

北マンデラサブ・カウンティのカラマラブ(Kalmalab)村の症例は、病気のラクダ4頭の屠殺後に体調不良となりました。1月18日に出血性の症状でナイロビ(Nairobi)病院に搬送された後に、多臓器不全で集中治療室に入室しました。1月21日に国立ウイルス学研究所でリフトバレー熱が確定され、1月22日に死亡しました。2月4日現在、北マンデラサブ・カウンティでは、死亡症例1人を含む合計10人(うち確定症例2人)の患者が報告されています。
 
カラマラブ村は、エチオピア高原での降雨によって堤防が決壊したダワ(Dawa)川に隣接しています。洪水は、蚊媒介の人獣共通感染症のリスクを高めるため、リフトバレー熱のアウトブレイクに関連している可能性があります。家畜検体は、検査のためにカベテの中央獣医学研究所に提出されました。
 

ムランガ郡

2020年12月29日、ガタンガ(Gatanga)サブ・カウンティのキハンブイーニ(Kihumbuini)区で、リフトバレー熱症候群(出血・流産を含む)を呈した家畜が初めて報告されました。2021年1月1日、最初の動物の死亡症例が報告されました。同日に同じ農場から検体が採取され、1月3日にカベテの中央獣医学研究所において、ELISA法による IgG/IgM検査でリフトバレー熱陽性が確定されました。カンダラ(Kandara)サブ・カウンティのガラリア(Ng'araria)区では、動物の疑い症例がさらに報告されています。ヒトの症例は確認されていませんが、疑い症例は追跡されており、感染した可能性がある家族の検体が、国立ウイルス学研究所で検査を実施するために、1月25日に採取されました。

ガリッサ郡

2020年12月20日、感染の疑いがある家畜(ヒツジとヤギ)の検体が、イハラ(Ijara)サブ・カウンティのマサラニ(Masalani)及びバランバラサブ・カウンティのバランバラで採取されました。12月23日に、ELISA法によるIgM検査により、リフトバレー熱陽性が確定されました。現在、リフトバレー熱アウトブレイクの程度を調べるために、現地調査が進められています。
 
イシオロ郡でリフトバレー熱アウトブレイクが判明した後に、家畜の調査が開始されました。この調査期間中に、動物間でのアウトブレイクが確認されました。2020年12月に、家畜120頭から得られたカベテの中央獣医学研究所の検査結果によると、家畜20頭(ヒツジ19頭(うち10頭は死亡)、ラクダ1頭)において、ELISA法によるIgM検査により、リフトバレー熱陽性が確定されました。現在、さらなる検査解析が、ヒトと家畜の検体の両方で行われています。
 

出典

Rift Valley fever - Kenya
 Disease Outbreak News: 12 February 2021
https://www.who.int/csr/don/12-february-2021-rift-valley-fever-kenya/en/

翻訳協力:関西空港検疫所