新型コロナウイルス感染症の世界の状況報告
COVID-19 Weekly Epidemiological Update(WHO) 2021年5月25日
世界の概況
2021年5月23日時点で、直近1週間の新規感染者数は410万人以上が報告され、新規死亡者数は8万4,000人が報告されました。前週と比較して、新規感染者数は14%減少し、新規死亡者数は2%減少し、いずれも減少傾向が続いています(図1)。前週の新規感染者数と新規死亡者数の減少幅は、ヨーロッパ地域が最も大きく、次いで東南アジア地域でした。アメリカ地域、東地中海地域、アフリカ地域、西太平洋地域の新規感染者数は、前週と同程度でした。西太平洋地域における新規死亡者数の増加幅が最も大きく、その他の地域では減少または前週と同程度でした。世界的な減少傾向は4週間続いていますが、患者数および死亡者数の高いピークは続いており、世界の多くの国々で大幅な増加が確認されています。
直近1週間における新規感染者数が多い上位5か国は、インド(新規感染者数1,846,055人、23%減少)、ブラジル(新規感染者数451,424人、3%増加)、アルゼンチン(新規感染者数213,046人、41%増加)、アメリカ合衆国(新規感染者数188,410人、20%減少)、コロンビア(新規感染者数107,590人、7%減少)でした。
図1 2021年5月23日時点の週別・WHO管轄地域別のCOVID-19感染者数及び
世界の死亡者数の推移
直近1週間における新規感染者数が多い上位5か国は、インド(新規感染者数1,846,055人、23%減少)、ブラジル(新規感染者数451,424人、3%増加)、アルゼンチン(新規感染者数213,046人、41%増加)、アメリカ合衆国(新規感染者数188,410人、20%減少)、コロンビア(新規感染者数107,590人、7%減少)でした。
図1 2021年5月23日時点の週別・WHO管轄地域別のCOVID-19感染者数及び
世界の死亡者数の推移

表1 2021年5月23日時点のWHO管轄地域別の新規・累積COVID-19確定症例数及び死亡者数

WHO管轄地域別の概況
アフリカ地域
直近1週間で確認された新規感染者数は4万4,000人以上で、新規死亡者数は1,000人以上でした。前週と比較して、新規感染者数は4%増加し、新規死亡者数は2%増加しました。新規感染者数、新規死亡者数ともに、前4週間と同程度の割合で推移しています。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国

新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
南アフリカ共和国 | 21,429人 | 36.1人 | 31%増加 |
エチオピア | 3,069人 | 2.7人 | 15%減少 |
ケニア | 2,729人 | 5.1人 | 27%増加 |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
南アフリカ共和国 | 589人 | 1.0人 | 28%増加 |
エチオピア | 92人 | 0.1人 | 12%減少 |
アンゴラ | 60人 | 0.2人 | 140%増加 |

アメリカ地域
直近1週間で確認された新規感染者数は120万人以上で、新規死亡者数は約3万1,000人以上でした。新規感染者数、新規死亡者数ともに、前週と同程度の報告数でしたが、アルゼンチンを始めとする複数の国々で大幅な増加が確認されています。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国

新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
ブラジル | 451,424人 | 212.4人 | 3%増加 |
アルゼンチン | 213,046人 | 471.4人 | 41%増加 |
アメリカ合衆国 | 188,410人 | 56.9人 | 20%減少 |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
ブラジル | 13,681人 | 6.4人 | 同程度 |
アメリカ合衆国 | 4,032人 | 1.2人 | 3%減少 |
アルゼンチン | 3,538人 | 7.8人 | 19%増加 |

東地中海地域
直近1週間で確認された新規感染者数は21万5,000人以上で、新規死亡者数は4,200人以上でした。前週と比較して、新規感染者数は2%減少し、新規死亡者数は11%減少しました。地域全体の新規感染者数は、複数の国々で大幅に増加した後に安定しています。新規死亡者数は、過去4週間で急激に減少しています。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国

新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
イラン・イスラム共和国 | 84,012人 | 100.0人 | 15%減少 |
イラク | 27,232人 | 67.7人 | 4%減少 |
パキスタン | 22,717人 | 10.3人 | 11%増加 |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
イラン・イスラム共和国 | 1,748人 | 2.1人 | 17%減少 |
パキスタン | 710人 | 0.3人 | 6%増加 |
チュニジア | 403人 | 3.4人 | 6%減少 |

ヨーロッパ地域
直近1週間で確認された新規感染者数は52万5,000人以下で、新規死亡者数は1万3,000人でした。前週と比較して、新規感染者数は25%減少し、新規死亡者数は21%減少しました。新規感染者数、新規死亡者数ともに、5週連続で急激な減少傾向を示しています。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国

新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
トルコ | 71,786人 | 85.1人 | 21%減少 |
ロシア連邦 | 61,260人 | 42.0人 | 2%増加 |
ドイツ | 55,524人 | 66.8人 | 24%減少 |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
ロシア連邦 | 2,611人 | 1.8人 | 3%増加 |
トルコ | 1,534人 | 1.8人 | 14%減少 |
ウクライナ | 1,293人 | 3.0人 | 23%減少 |

東南アジア地域
直近1週間で確認された新規感染者数は200万人以上で、新規死亡者数は3万2,000人以上でした。前週と比較して、新規感染者数は21%減少し、新規死亡者数は4%増加しました。地域全体の新規感染者数は、インドの減少を反映して減少傾向を示しています。新規死亡者数は、10週連続で増加しており、インド以外の国々でも大幅な増加が確認されています。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国

新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
インド | 1,846,055人 | 133.8人 | 23%減少 |
ネパール | 57,939人 | 198.9人 | 6%減少 |
インドネシア | 33,270人 | 12.2人 | 24%増加 |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
インド | 28,982人 | 2.1人 | 4%増加 |
ネパール | 1,297人 | 4.5人 | 6%増加 |
インドネシア | 1,238人 | 0.5人 | 10%増加 |

西太平洋地域
人以上でした。前週と比較して、新規感染者数は同程度で、新規死亡者数は22%増加しました。いずれも、パンデミック開始以降の最高水準が続いています。なお、新規感染者数は、日本、フィリピン、マレーシアの3か国が地域全体の大部分を占めています。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国

新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
フィリピン | 40,034人 | 36.5人 | 8%減少 |
マレーシア | 38,785人 | 119.8人 | 32%増加 |
日本 | 38,286人 | 28.7人 | 19%減少 |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
フィリピン | 895人 | 0.8人 | 14%増加 |
日本 | 773人 | 0.6人 | 21%増加 |
マレーシア | 333人 | 1.0人 | 59%増加 |

変異株の状況
2021年3月29日から4月28日までの間に、イギリスで報告されたインド由来VOC(B.1.617.2)の二次感染率は、海外渡航者および非海外渡航者のいずれもイギリス由来VOC(B.1.1.7)より高かったことが、2週間前に発表された最新情報で明らかになりました。B.1.617.2およびB.1.1.7の二次感染率は、変異株に感染した確定患者または疑い患者の接触者のうち、検査で確認された陽性者の割合で測定されました。
また、2020年9月13日から2021年3月13日までの間に報告された症例(n=23,343)の疾患の重症度を評価した欧州7か国の研究では、3つのVOCのうち1つに感染した症例の割合が有意に高いことが報告されました。イギリス由来VOC(B.1.1.7)、南アフリカ由来VOC(B.1.351)、ブラジル由来VOC(P.1)のいずれかに感染した症例は、VOCに感染していない症例よりも入院治療を受けていたことが確認されました(B.1.1.7:11%、B.1.351:19%、P.1:20%)。加えて、ICUに収容される割合も高かったことが確認されました(B.1.1.7:1.4%、B.1.351:2.3%、P.1:2.1%)。
(これまでの報告では、変異株の表記は系統名や通称等が混在していましたが、今回からインド由来の変異株の表記に合わせて、PANGO系統の表記で統一されています。)
なお、掲載された情報は、国ごとの遺伝子情報の配列確定能力や配列確定のための検体の優先順位の違いなどがあるため、サーベイランスの限界を十分に考慮した上で解釈する必要があります。
表2 2021年5月25日時点の懸念すべき変異株(VOC)

また、2020年9月13日から2021年3月13日までの間に報告された症例(n=23,343)の疾患の重症度を評価した欧州7か国の研究では、3つのVOCのうち1つに感染した症例の割合が有意に高いことが報告されました。イギリス由来VOC(B.1.1.7)、南アフリカ由来VOC(B.1.351)、ブラジル由来VOC(P.1)のいずれかに感染した症例は、VOCに感染していない症例よりも入院治療を受けていたことが確認されました(B.1.1.7:11%、B.1.351:19%、P.1:20%)。加えて、ICUに収容される割合も高かったことが確認されました(B.1.1.7:1.4%、B.1.351:2.3%、P.1:2.1%)。
(これまでの報告では、変異株の表記は系統名や通称等が混在していましたが、今回からインド由来の変異株の表記に合わせて、PANGO系統の表記で統一されています。)
なお、掲載された情報は、国ごとの遺伝子情報の配列確定能力や配列確定のための検体の優先順位の違いなどがあるため、サーベイランスの限界を十分に考慮した上で解釈する必要があります。
表2 2021年5月25日時点の懸念すべき変異株(VOC)

懸念すべき変異株(VOC)の流行状況(2021年5月18日時点)
図2 上段:イギリス由来の変異株(B.1.1.7)
中段:南アフリカ由来の変異株(B.1.351)
下段:ブラジル由来の変異株(P.1)

図3 インド由来の変異株(B.1.617, L452R+E484Q等変異)

中段:南アフリカ由来の変異株(B.1.351)
下段:ブラジル由来の変異株(P.1)

図3 インド由来の変異株(B.1.617, L452R+E484Q等変異)

出典
COVID-19 Situation reports
COVID-19 Weekly Epidemiological Update: 25 May 2021
https://www.who.int/publications/m/item/weekly-epidemiological-update-on-covid-19---25-may-2021
COVID-19 Weekly Epidemiological Update: 25 May 2021
https://www.who.int/publications/m/item/weekly-epidemiological-update-on-covid-19---25-may-2021