新型コロナウイルス感染症の世界の状況報告
COVID-19 Weekly Epidemiological Update(WHO) 2021年6月8日
世界の概況
2021年6月6日時点で、直近1週間の新規感染者数は300万人以上が報告され、新規死亡者数は7万3,000人が報告されました。前週と比較して、新規感染者数は15%減少し、新規死亡者数は8%減少しました(図1)。前週の新規感染者数と新規死亡者数の減少幅は、ヨーロッパ地域と東南アジア地域が最も大きくなりました。新規感染者数は、ヨーロッパ地域と東南アジア地域が著しく減少した一方で、アフリカ地域は増加しました(表1)。アメリカ地域、東地中海地域、西太平洋地域の新規感染者数は、前週と同程度の報告でした。新規死亡者数は、ヨーロッパ地域と東南アジア地域で減少し、西太平洋地域で増加しました。アメリカ地域、東地中海地域、アフリカ地域の新規死亡者数は、前週と同程度の報告でした。世界全体の感染者数は6週連続、死亡者数は5週連続で減少傾向にあるものの、各地域の多くの国々で、感染者数と死亡者数の増加が報告されています。
直近1週間における新規感染者数が多い上位5か国は、インド(新規感染者数914,539人、33%減少)、ブラジル(新規感染者数449,478人、7%増加)、アルゼンチン(新規感染者数212,975人、3%減少)、コロンビア(新規感染者数175,479人、17%増加)、アメリカ合衆国(新規感染者数99,103人、35%減少)でした。
図1 2021年6月6日時点の週別・WHO管轄地域別のCOVID-19感染者数及び世界の死亡者数の推移

表1 2021年6月6日時点のWHO管轄地域別の新規・累積COVID-19確定症例数及び死亡者数

直近1週間における新規感染者数が多い上位5か国は、インド(新規感染者数914,539人、33%減少)、ブラジル(新規感染者数449,478人、7%増加)、アルゼンチン(新規感染者数212,975人、3%減少)、コロンビア(新規感染者数175,479人、17%増加)、アメリカ合衆国(新規感染者数99,103人、35%減少)でした。
図1 2021年6月6日時点の週別・WHO管轄地域別のCOVID-19感染者数及び世界の死亡者数の推移

表1 2021年6月6日時点のWHO管轄地域別の新規・累積COVID-19確定症例数及び死亡者数

WHO管轄地域別の概況
アフリカ地域
直近1週間で確認された新規感染者数は6万6,000人以上で、新規死亡者数は1,100人以上でした。前週と比較して、新規感染者数は25%増加し、新規死亡者数は同程度でした。新規感染者数は2週連続で20%以上増加しており、新規死亡者数は増加率が低いものの3週連続でしました。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国

新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
南アフリカ共和国 | 32,421人 | 54.7人 | 22%増加 |
ウガンダ | 5,745人 | 12.6人 | 137%増加 |
ザンビア | 4,789人 | 26.0人 | 191%増加 |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
南アフリカ共和国 | 566人 | 1.0人 | 4%減少 |
ケニア | 123人 | 0.2人 | 34%増加 |
ナミビア | 87人 | 3.4人 | 58%増加 |

アメリカ地域
直近1週間で確認された新規感染者数は120万人で、新規死亡者数は約3万4,000人以上でした。新規感染者数、新規死亡者数ともに、前週と同程度の報告でした。2021年4月中旬以降、全体的な感染者数は減少傾向が続いていますが、感染者数、死亡者数ともに増加傾向を続けている国々が多数あり、特に、南アメリカ、中央アメリカの一部で顕著になっています。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国

新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
ブラジル | 449,478人 | 211.5人 | 7%増加 |
アルゼンチン | 212,975人 | 471.2人 | 3%減少 |
コロンビア | 175,479人 | 344.9人 | 17%増加 |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
ブラジル | 11,797人 | 5.5人 | 7%減少 |
メキシコ | 5,496人 | 4.3人 | 203%増加 |
アルゼンチン | 3,718人 | 8.2人 | 13%増加 |

東地中海地域
直近1週間で確認された新規感染者数は20万2,000人以上で、新規死亡者数は3,500人以上でした。全体的な感染者数と死亡者数は減少傾向が続いていますが、複数の国々で感染者数の急増が報告されました。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国

新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
イラン・イスラム共和国 | 67,533人 | 80.4人 | 3%減少 |
イラク | 28,070人 | 69.8人 | 5%減少 |
パキスタン | 14,272人 | 6.5人 | 24%減少 |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
イラン・イスラム共和国 | 1,200人 | 1.4人 | 12%減少 |
パキスタン | 509人 | 0.2人 | 同程度 |
チュニジア | 374人 | 3.2人 | 5%減少 |

ヨーロッパ地域
直近1週間で確認された新規感染者数は36万8,000人以上で、新規死亡者数は8,900人でした。前週と比較して、新規感染者数は17%減少し、新規死亡者数は21%減少しました。新規感染者数は10週連続、新規死亡者数は8週連続で大幅に減少しました。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国

新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
ロシア連邦 | 62,995人 | 43.2人 | 2%増加 |
フランス | 47,528人 | 73.1人 | 22%減少 |
トルコ | 46,616人 | 55.3人 | 19%減少 |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
ロシア連邦 | 2,625人 | 1.8人 | 同程度 |
ドイツ | 816人 | 1.0人 | 20%減少 |
トルコ | 797人 | 0.9人 | 34%減少 |

東南アジア地域
人以上でした。前週と比較して、新規感染者数は31%減少し、新規死亡者数は21%減少しました。全体的な新規感染者数と新規死亡者数は、インドの傾向を反映して急激な減少を続けていますが、一部の国々では顕著な増加が報告されています。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国

新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
インド | 914,539人 | 66.3人 | 33%減少 |
インドネシア | 40,280人 | 14.7人 | 同程度 |
ネパール | 31,678人 | 108.7人 | 34%減少 |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
インド | 20,787人 | 1.5人 | 22%減少 |
インドネシア | 1,187人 | 0.4人 | 12%増加 |
ネパール | 636人 | 2.2人 | 37%減少 |

西太平洋地域
直近1週間で確認された新規感染者数は13万8,000人以上で、新規死亡者数は2,400人以上でした。前週と比較して、新規感染者数は19%増加し、新規死亡者数は同程度でした。これまでで最も多い死亡者数が報告され、感染者数は過去2番目に多い報告となりました。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国

新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
マレーシア | 52,040人 | 160.8人 | 3%減少 |
フィリピン | 45,681人 | 41.7人 | 19%増加 |
日本 | 18,649人 | 14.7人 | 32%減少 |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
フィリピン | 1,010人 | 0.9人 | 30%増加 |
マレーシア | 641人 | 2.0人 | 42%増加 |
日本 | 603人 | 0.5人 | 12%減少 |

変異株の状況
2021年5月31日、WHOは、新型コロナウイルスの変異株に関する一般の人々の議論を促進するために、懸念すべき変異株(VOC)及び注目すべき変異株(VOI)の言いやすい・覚えやすい新たな呼称を発表しました。
【VOCの新呼称】
・イギリス由来の変異株(B.1.1.7)→ アルファ株
・南アフリカ由来の変異株(B.1.351)→ ベータ株
・ブラジル由来の変異株(P.1)→ ガンマ株
・インド由来の変異株(B.1.617.2)→ デルタ株
【VOIの新呼称】
・アメリカ合衆国由来の変異株(B.1.427/B.1.429)→ イプシロン株
・ブラジル由来の変異株(P.2)→ ゼータ株
・複数国由来の変異株(B.1.525) → イータ株
・フィリピン由来の変異株(P.3)→ シータ株
・アメリカ合衆国由来の変異株(B.1.526)→ イオタ株
・インド由来の変異株(B.1.617.1)→ カッパ株
※インド由来の変異株(B.1.617.3)→ VOC・VOIの分類から除外
イギリスにおけるデルタ株の最近の研究では、重篤な疾患のリスクが高まる可能性が示唆されており、感染性が高まるというこれまでの観察結果を裏付けました。また、2021年3月29日から5月20日までにイギリスで検出されたとデルタ株とアルファ株を比較した解析では、デルタ株はアルファ株よりも入院のリスクが増加する可能性(ハザード比2.61、95%CI:1.56-4.36)があり、検体採取後14日以内の医療機関への救急受診または入院のリスクが増加する(ハザード比1.67、95%CI:1.25-2.23)ことが示されました。2021年3月29日から5月11日までにイギリスで報告された症例の分析(2021年5月25日時点の変動データ)では、デルタ株の症例の接触者は、アルファ株の症例の接触者と比較して二次感染率が高いことが確認されました。
これらの結果について内容を確定させるには、さらなる分析が必要です。
【VOCの新呼称】
・イギリス由来の変異株(B.1.1.7)→ アルファ株
・南アフリカ由来の変異株(B.1.351)→ ベータ株
・ブラジル由来の変異株(P.1)→ ガンマ株
・インド由来の変異株(B.1.617.2)→ デルタ株
【VOIの新呼称】
・アメリカ合衆国由来の変異株(B.1.427/B.1.429)→ イプシロン株
・ブラジル由来の変異株(P.2)→ ゼータ株
・複数国由来の変異株(B.1.525) → イータ株
・フィリピン由来の変異株(P.3)→ シータ株
・アメリカ合衆国由来の変異株(B.1.526)→ イオタ株
・インド由来の変異株(B.1.617.1)→ カッパ株
※インド由来の変異株(B.1.617.3)→ VOC・VOIの分類から除外
イギリスにおけるデルタ株の最近の研究では、重篤な疾患のリスクが高まる可能性が示唆されており、感染性が高まるというこれまでの観察結果を裏付けました。また、2021年3月29日から5月20日までにイギリスで検出されたとデルタ株とアルファ株を比較した解析では、デルタ株はアルファ株よりも入院のリスクが増加する可能性(ハザード比2.61、95%CI:1.56-4.36)があり、検体採取後14日以内の医療機関への救急受診または入院のリスクが増加する(ハザード比1.67、95%CI:1.25-2.23)ことが示されました。2021年3月29日から5月11日までにイギリスで報告された症例の分析(2021年5月25日時点の変動データ)では、デルタ株の症例の接触者は、アルファ株の症例の接触者と比較して二次感染率が高いことが確認されました。
これらの結果について内容を確定させるには、さらなる分析が必要です。
表2 2021年6月8日時点の懸念すべき変異株(VOC)・注目すべき変異株(VOI)

図2 2021年6月8日時点の懸念すべき変異株(VOC)の流行状況

出典
COVID-19 Situation reports
COVID-19 Weekly Epidemiological Update: 8 June 2021
https://www.who.int/publications/m/item/weekly-epidemiological-update-on-covid-19---8-june-2021
COVID-19 Weekly Epidemiological Update: 8 June 2021
https://www.who.int/publications/m/item/weekly-epidemiological-update-on-covid-19---8-june-2021