新型コロナウイルス感染症の世界の状況報告

COVID-19 Weekly Epidemiological Update(WHO) 2021年8月3日

世界の概況

2021年8月1日時点で、直近1週間(7月26日~8月1日)の新規感染者数は400万人以上が報告され、新規死亡者数は6万4,000人以上が報告されました。前週と比較して、新規感染者数は3%増加し、新規死亡者数8%減少しました(図1)。新規感染者数の増加率が高かったのは、東地中海地域(37%)と西太平洋地域(33%)でした。新規死亡者数の増加率が高かったのは、西太平洋地域(48%)と東地中海地域(31%)でした。他の4地域はいずれも同程度の推移でしたが、アメリカ地域のみ新規死亡者数が大幅に減少(29%)しました。これまでに全世界で報告された感染者の累計は1億9,700万人を超え、死亡者の累計は420万人を超えました。現在のペースが続けば、次週に感染者の累計が2億人に達する見込みです。
 
人口10万人当たりの新規感染者数が最も多いのは、アメリカ地域(123.3人)とヨーロッパ地域(118.4人)でした。人口10万人当たりの新規死亡者数が最も多いのは、アメリカ地域(2.0人)と東南アジア地域(1.1人)でした。
 
直近1週間における新規感染者数が多い上位5か国は、アメリカ合衆国(新規感染者数543,420人、9%増加)、インド(新規感染者数283,923人、7%増加)、インドネシア(新規感染者数273,891人、5%減少)、ブラジル(新規感染者数247,830人、24%減少)、イラン・イスラム共和国(新規感染者数206,722人、27%増加)でした。
 
懸念すべき変異株(VOC)の状況について、アルファ株は182の国・地域(同前週)、ベータ株は132の国・地域(前週比+1)、ガンマ株は81の国・地域(同前週)、デルタ株は135の国・地域(前週比+3)で、それぞれ報告されています。
 
現在の感染拡大は、感染力が強いVOCの流通、公衆衛生上の社会的措置の緩和、社会的な交流の増加、そしてワクチンの不公平な分配という4つの要因によって引き起こされていると考えられています。
 
図1 2021年8月3日時点の週別・WHO管轄地域別のCOVID-19感染者数及び世界の死亡者数の推移


表1 2021年8月3日時点のWHO管轄地域別の新規・累積COVID-19確定症例数及び死亡者数

WHO管轄地域別の概況

アフリカ地域

直近1週間で確認された新規感染者数は182,067人、新規死亡者数は4,853人でした。前週と比較して、新規感染者数は1%減少し、新規死亡者数は2%減少しました。地域全体の感染者は7月中旬以降、南アフリカ共和国の減少傾向を反映して減少していますが、他の多くの国々では増加が続いています。死亡者についても、南アフリカ共和国の状況が、地域全体の傾向を大きく左右しています。
 
新規感染者が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
南アフリカ共和国 79,349人 133.8人 6%減少
モザンビーク 13,268人 42.5人 25%増加
ジンバブエ 11,583人 77.9人 21%減少
 
新規死亡者が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
南アフリカ共和国 2,525人 4.3人 10%減少
ジンバブエ 482人 3.2人 4%増加
ナミビア 284人 11.2人 12%増加
 

アメリカ地域

直近1週間で確認された新規感染者数は1,225,408人、新規死亡者数は20,590人でした。前週と比較して、新規感染者数は3%減少し、新規死亡者数は29%減少しました。新規死亡者数は、主にエクアドルの状況が反映されたもので、同国における死亡者の定義が前週に変更されたため一時的に急増(7,349%増加)しましたが、今回は同じ定義で計上されたため、地域全体では大幅に減少しているように見えています。
 
新規感染者が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
アメリカ合衆国 543,420人 164.2人 9%増加
ブラジル 247,830人 116.6人 24%減少
メキシコ 103,283人 80.1人 23%増加
 
新規死亡者が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
ブラジル 7,120人 3.3人 10%減少
メキシコ 2,502人 1.9人 29%減少
アメリカ合衆国 2,455人 1人未満 32%増加
 

東地中海地域

直近1週間で確認された新規感染者数は463,090人、新規死亡者数は5,553人でした。前週と比較して、新規感染者数は37%増加し、新規死亡者数は31%増加しました。新規感染者数は、イラン・イスラム共和国の増加が反映され、パンデミックが始まって以降で最多となりました。イラン・イスラム共和国は、感染者も死亡者も増加傾向が続いています。
 
新規感染者が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
イラン・イスラム共和国 206,722人 246.1人 27%増加
イラク 83,098人 206.6人 37%増加
モロッコ 48,366人 131.0人 146%増加
 
新規死亡者が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
イラン・イスラム共和国 2,098人 2.5人 34%増加
チュニジア 1,258人 10.6人 5%増加
イラク 425人 1.1人 4%減少
 

ヨーロッパ地域

直近1週間で確認された新規感染者数は1,004,722人、新規死亡者数は8,024人でした。前週と比較して、新規感染者数は9%減少し、新規死亡者数は2%減少しました。6月中旬以降、全ての年齢層で感染者は増加していますが、15~24歳の年齢層で最も顕著になっています。1か月以上続いていた増加傾向は、減少に転じました。
 
新規感染者が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
イギリス 187,268人 275.9人 34%減少
ロシア連邦 162,136人 111.1人 4%減少
トルコ 139,667人 165.6人 114%増加
 
新規死亡者が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
ロシア連邦 5,478人 3.8人 同程度
イギリス 524人 0.8人 17%増加
トルコ 453人 1人未満 16%増加
 

東南アジア地域

直近1週間で確認された新規感染者数は841,753人、新規死亡者数は22,010人でした。前週と比較して、新規感染者数は9%増加し、新規死亡者数は3%増加しました。インド、インドネシア、タイの3か国の感染者数が、地域全体の80%を占めています。
 
新規感染者が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
インド 283,923人 20.6人 7%増加
インドネシア 273,891人 100.1人 5%減少
タイ 118,012人 169.1人 26%増加
 
新規死亡者が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
インドネシア 12,444人 4.5人 28%増加
インド 3,800人 1人未満 45%減少
ミャンマー 2,620人 4.8人 24%増加
 

西太平洋地域

直近1週間で確認された新規感染者数は316,796人、新規死亡者数は3,186人でした。前週と比較して、新規感染者数は33%増加し、新規死亡者数48%増加しました。感染者の増加は、主に日本とマレーシアの状況を反映しており、死亡者の増加は、主にベトナムとマレーシアの状況は反映しています。特に、ベトナムの死亡者は前週と比較して500%以上増加しており、マレーシアも8%増加したことにより、新たに1,100人以上の死亡者が報告されました。多数の国々(24か国中15か国:62.5%)で、感染者が増加傾向となっています。
 
新規感染者が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
マレーシア 116,879人 361.1人 29%増加
日本 60,157人 47.6人 121%増加
ベトナム 55,147人 56.7人 26%増加
 
新規死亡者が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
マレーシア 1,122人 3.5人 8%増加
ベトナム 936人 1.0人 546%増加
フィリピン 758人 1人未満 42%増加
 

変異株の状況

2021年5月31日、WHOは、新型コロナウイルスの変異株に関する一般の人々の議論を促進するために、懸念すべき変異株(VOC)及び注目すべき変異株(VOI)の言いやすい・覚えやすい新たな呼称を発表しました(表2・表3)。
 
また、VOCやVOIの影響についての理解が進み、サーベイランスや対応の必要性が高まっていることから、WHOは定義を定期的に見直し、調整しています。変異株の最新の状況については、以下のページを新たに設けてとりまとめています。
 
SARS-CoV-2変異株の追跡
https://www.who.int/en/activities/tracking-SARS-CoV-2-variants/
 
【VOCの呼称】
・イギリス由来の変異株(B.1.1.7)→ アルファ株
・南アフリカ由来の変異株(B.1.351)→ ベータ株
・ブラジル由来の変異株(P.1)→ ガンマ株
・インド由来の変異株(B.1.617.2)→ デルタ株
 
【VOIの呼称】
・複数国由来の変異株(B.1.525) → イータ株
・アメリカ合衆国由来の変異株(B.1.526)→ イオタ株
・インド由来の変異株(B.1.617.1)→ カッパ株
・ペルー由来の変異株(C.37)→ ラムダ株(6月14日追加)
 
【監視を継続する変異株(VOIから除外)】
・アメリカ合衆国由来の変異株(B.1.427/B.1.429)→ イプシロン株(7月6日変更)
・ブラジル由来の変異株(P.2)→ ゼータ株(7月6日変更)
・フィリピン由来の変異株(P.3)→ シータ株(7月6日変更)

表2 2021年8月3日時点の懸念すべき変異株(VOC)


表3 2021年8月3日時点の注目すべき変異株(VOI)


図2 2021年8月3日時点の懸念すべき変異株(VOC)の流行状況

出典

COVID-19 Situation reports
COVID-19 Weekly Epidemiological Update: 3 August 2021
https://www.who.int/publications/m/item/weekly-epidemiological-update-on-covid-19---3-august-2021

翻訳協力:関西空港検疫所