新型コロナウイルス感染症の世界の状況報告
COVID-19 Weekly Epidemiological Update(WHO) 2021年8月10日
世界の概況
2021年8月8日時点で、直近1週間(8月2日~8月8日)の新規感染者数は420万人以上が報告され、新規死亡者数は6万5,000人以上が報告されました。前週と比較して、新規感染者数は3%増加し、新規死亡者数8%減少しました(図1)。新規感染者数の増加率が高かったのは、アメリカ地域(14%)と西太平洋地域(19%)でした。新規死亡者数の増加率が高かったのは、西太平洋地域(46%)とヨーロッパ地域(16%)でした。WHOの228加盟国のうち、38加盟国(17%)において新規感染者が50%以上増加し、34加盟国(15%)において新規死亡者が50%以上増加しました。8月5日、世界におけるCOVID-19の累積感染者数が2億人を突破しました。1億人を突破してから、わずか半年で2億人を突破しました。
人口10万人当たりの新規感染者数が多いのは、アメリカ地域(136.5人:15%増加)とヨーロッパ地域(108.6人:7%減少)でした。人口10万人当たりの新規死亡者数が多いのは、アメリカ地域(1.9人:4%減少)とヨーロッパ地域(1.0人:16%増加)でした。
直近1週間における新規感染者数が多い上位5か国は、アメリカ合衆国(734,354人:35%増加)、インド(278,631人:2%減少)、イラン・イスラム共和国(248,102人:20%増加)、ブラジル(228,473人:8%減少)、インドネシア(225,635人:18%減少)でした。
懸念すべき変異株(VOC)の状況について、アルファ株は185の国・地域(前週比+3)、ベータ株は136の国・地域(前週比+4)、ガンマ株は81の国・地域(同前週)、デルタ株は142の国・地域(前週比+7)で、それぞれ報告されています。
現在の感染拡大は、感染力が強いVOCの流通、公衆衛生上の社会的措置の緩和、社会的な交流の増加、そしてワクチンの不公平な分配という4つの要因によって引き起こされていると考えられています。
図1 2021年8月8日時点の週別・WHO管轄地域別のCOVID-19感染者数及び世界の死亡者数の推移
表1 2021年8月8日時点のWHO管轄地域別の新規・累積COVID-19確定症例数及び死亡者数
人口10万人当たりの新規感染者数が多いのは、アメリカ地域(136.5人:15%増加)とヨーロッパ地域(108.6人:7%減少)でした。人口10万人当たりの新規死亡者数が多いのは、アメリカ地域(1.9人:4%減少)とヨーロッパ地域(1.0人:16%増加)でした。
直近1週間における新規感染者数が多い上位5か国は、アメリカ合衆国(734,354人:35%増加)、インド(278,631人:2%減少)、イラン・イスラム共和国(248,102人:20%増加)、ブラジル(228,473人:8%減少)、インドネシア(225,635人:18%減少)でした。
懸念すべき変異株(VOC)の状況について、アルファ株は185の国・地域(前週比+3)、ベータ株は136の国・地域(前週比+4)、ガンマ株は81の国・地域(同前週)、デルタ株は142の国・地域(前週比+7)で、それぞれ報告されています。
現在の感染拡大は、感染力が強いVOCの流通、公衆衛生上の社会的措置の緩和、社会的な交流の増加、そしてワクチンの不公平な分配という4つの要因によって引き起こされていると考えられています。
図1 2021年8月8日時点の週別・WHO管轄地域別のCOVID-19感染者数及び世界の死亡者数の推移
表1 2021年8月8日時点のWHO管轄地域別の新規・累積COVID-19確定症例数及び死亡者数
WHO管轄地域別の概況
アフリカ地域
直近1週間で確認された新規感染者数は181,019人、新規死亡者数は4,743人でした。前週と比較して、新規感染者数は1%減少し、新規死亡者数は2%減少しました。地域全体の感染者は6月にピークを迎えた後、7月中旬以降、南アフリカ共和国の減少傾向を反映して減少しています。しかし、過去2週間で減少の割合は鈍化し、約半数の国々が増加傾向を示しています。死亡者についても、南アフリカ共和国の状況が、地域全体の傾向を大きく左右しています。ナミビア、ウガンダ、ジンバブエ、ザンビアは、死亡者数が大きく減少しました。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国
新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
南アフリカ共和国 | 76,034人 | 128.2人 | 4%減少 |
ボツワナ | 15,884人 | 675.4人 | 76%増加 |
モザンビーク | 9,771人 | 31.3人 | 26%減少 |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
南アフリカ共和国 | 2,610人 | 4.4人 | 3%増加 |
ジンバブエ | 294人 | 2.0人 | 39%減少 |
アルジェリア | 233人 | 0.5人 | 10%増加 |
アメリカ地域
直近1週間で確認された新規感染者数は1,396,284人、新規死亡者数は19,832人でした。前週と比較して、新規感染者数は14%増加し、新規死亡者数は4%減少しました。新規感染者数は、主にペルー(64%増加)とアメリカ合衆国(35%増加)の状況が反映されたものです。エクアドル、アルゼンチン、コロンビア、ブラジルは、感染者が大きく減少しました。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国
新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
アメリカ合衆国 | 734,354人 | 221.9人 | 35%増加 |
ブラジル | 228,473人 | 107.5人 | 8%減少 |
メキシコ | 114,783人 | 89.0人 | 11%増加 |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
ブラジル | 6,302人 | 3.0人 | 11%減少 |
アメリカ合衆国 | 3,391人 | 1.0人 | 38%増加 |
メキシコ | 3,277人 | 2.5人 | 31%増加 |
東地中海地域
直近1週間で確認された新規感染者数は499,655人、新規死亡者数は6,000人でした。前週と比較して、新規感染者数は8%増加し、新規死亡者数は8%増加しました。地域全体の新規感染者数は、2週連続でパンデミック開始以降の最多を記録しました。これは、イラン・イスラム共和国とモロッコの顕著な増加が反映されたもので、約半数の国々が増加傾向を示しています。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国
新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
イラン・イスラム共和国 | 248,102人 | 295.4人 | 20%増加 |
イラク | 77,764人 | 193.3人 | 6%減少 |
モロッコ | 63,764人 | 172.8人 | 31%増加 |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
イラン・イスラム共和国 | 2,843人 | 3.4人 | 36%増加 |
チュニジア | 951人 | 8.0人 | 24%減少 |
イラク | 489人 | 1.2人 | 15%増加 |
ヨーロッパ地域
直近1週間で確認された新規感染者数は1,012,890人、新規死亡者数は9,562人でした。前週と比較して、新規感染者数は7%減少し、新規死亡者数は16%増加しました。地域全体の新規感染者は減少していますが、現在も1週間で100万人以上が報告されており、北マケドニア、コソボ、アルバニアなど南東ヨーロッパの多くの国々で増加傾向にあります。また、エストニア、コソボ、ルーマニアは、新規死亡者が急増しました。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国
新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
イギリス | 185,724人 | 273.6人 | 同程度 |
ロシア連邦 | 159,073人 | 109.0人 | 同程度 |
トルコ | 144,839人 | 171.7人 | 4%増加 |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
ロシア連邦 | 5,529人 | 3.8人 | 同程度 |
カザフスタン | 832人 | 4.4人 | 25%減少 |
トルコ | 649人 | 1人未満 | 43%増加 |
東南アジア地域
東南アジア地域
直近1週間で確認された新規感染者数は799,225人、新規死亡者数は20,702人でした。前週と比較して、新規感染者数は5%減少し、新規死亡者数は6%減少しました。地域全体の新規感染者は、5月初旬にピークに達し、その後、直近1か月間でほぼ横ばいとなりました。インドの新規感染者が安定し、インドネシアとミャンマーでは過去1か月間の減少が報告されています。一方で、スリランカやタイは、増加傾向が続いています。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国
直近1週間で確認された新規感染者数は799,225人、新規死亡者数は20,702人でした。前週と比較して、新規感染者数は5%減少し、新規死亡者数は6%減少しました。地域全体の新規感染者は、5月初旬にピークに達し、その後、直近1か月間でほぼ横ばいとなりました。インドの新規感染者が安定し、インドネシアとミャンマーでは過去1か月間の減少が報告されています。一方で、スリランカやタイは、増加傾向が続いています。
新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
インド | 278,631人 | 20.2人 | 2%減少 |
インドネシア | 225,635人 | 82.5人 | 18%減少 |
タイ | 141,191人 | 202.3人 | 20%増加 |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
インドネシア | 11,373人 | 4.2人 | 9%減少 |
インド | 3,511人 | 0.3人 | 8%減少 |
ミャンマー | 2,045人 | 3.8人 | 22%減少 |
西太平洋地域
直近1週間で確認された新規感染者数は375,568人、新規死亡者数は4,633人でした。前週と比較して、新規感染者数は19%増加し、新規死亡者数46%増加しました。感染者の増加は、主にマレーシア、日本、フィリピンの状況を反映しており、死亡者の増加は、主にベトナム、マレーシア、フィリピンの状況は反映しています。多数の国々(24か国中11か国:46%)で、感染者が増加傾向となっています。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国
新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
マレーシア | 130,580人 | 403.4人 | 12%増加 |
日本 | 90,958人 | 71.9人 | 51%増加 |
フィリピン | 60,373人 | 55.1人 | 32%増加 |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
ベトナム | 1,944人 | 2.0人 | 108%増加 |
マレーシア | 1,365人 | 4.2人 | 22%増加 |
フィリピン | 946人 | 0.9人 | 25%増加 |
変異株の状況
2021年5月31日、WHOは、新型コロナウイルスの変異株に関する一般の人々の議論を促進するために、懸念すべき変異株(VOC)及び注目すべき変異株(VOI)の言いやすい・覚えやすい新たな呼称を発表しました(表2・表3)。
また、VOCやVOIの影響についての理解が進み、サーベイランスや対応の必要性が高まっていることから、WHOは定義を定期的に見直し、調整しています。変異株の最新の状況については、以下のページを新たに設けてとりまとめています。
SARS-CoV-2変異株の追跡
https://www.who.int/en/activities/tracking-SARS-CoV-2-variants/
【VOCの呼称】
・イギリス由来の変異株(B.1.1.7)→ アルファ株
・南アフリカ由来の変異株(B.1.351)→ ベータ株
・ブラジル由来の変異株(P.1)→ ガンマ株
・インド由来の変異株(B.1.617.2)→ デルタ株
【VOIの呼称】
・複数国由来の変異株(B.1.525) → イータ株
・アメリカ合衆国由来の変異株(B.1.526)→ イオタ株
・インド由来の変異株(B.1.617.1)→ カッパ株
・ペルー由来の変異株(C.37)→ ラムダ株(6月14日追加)
【監視を継続する変異株(VOIから除外)】
・アメリカ合衆国由来の変異株(B.1.427/B.1.429)→ イプシロン株(7月6日変更)
・ブラジル由来の変異株(P.2)→ ゼータ株(7月6日変更)
・フィリピン由来の変異株(P.3)→ シータ株(7月6日変更)
表2 2021年8月10日時点の懸念すべき変異株(VOC)
表3 2021年8月10日時点の注目すべき変異株(VOI)
図2 2021年8月10日時点の懸念すべき変異株(VOC)の流行状況
また、VOCやVOIの影響についての理解が進み、サーベイランスや対応の必要性が高まっていることから、WHOは定義を定期的に見直し、調整しています。変異株の最新の状況については、以下のページを新たに設けてとりまとめています。
SARS-CoV-2変異株の追跡
https://www.who.int/en/activities/tracking-SARS-CoV-2-variants/
【VOCの呼称】
・イギリス由来の変異株(B.1.1.7)→ アルファ株
・南アフリカ由来の変異株(B.1.351)→ ベータ株
・ブラジル由来の変異株(P.1)→ ガンマ株
・インド由来の変異株(B.1.617.2)→ デルタ株
【VOIの呼称】
・複数国由来の変異株(B.1.525) → イータ株
・アメリカ合衆国由来の変異株(B.1.526)→ イオタ株
・インド由来の変異株(B.1.617.1)→ カッパ株
・ペルー由来の変異株(C.37)→ ラムダ株(6月14日追加)
【監視を継続する変異株(VOIから除外)】
・アメリカ合衆国由来の変異株(B.1.427/B.1.429)→ イプシロン株(7月6日変更)
・ブラジル由来の変異株(P.2)→ ゼータ株(7月6日変更)
・フィリピン由来の変異株(P.3)→ シータ株(7月6日変更)
表2 2021年8月10日時点の懸念すべき変異株(VOC)
表3 2021年8月10日時点の注目すべき変異株(VOI)
図2 2021年8月10日時点の懸念すべき変異株(VOC)の流行状況
出典
COVID-19 Situation reports
COVID-19 Weekly Epidemiological Update: 10 August 2021
https://www.who.int/publications/m/item/weekly-epidemiological-update-on-covid-19---10-august-2021
COVID-19 Weekly Epidemiological Update: 10 August 2021
https://www.who.int/publications/m/item/weekly-epidemiological-update-on-covid-19---10-august-2021