新型コロナウイルス感染症の世界の状況報告
COVID-19 Weekly Epidemiological Update(WHO) 2021年8月17日
世界の概況
2021年8月15日時点で、直近1週間(8月9日~8月15日)の新規感染者数は440万人以上が報告され、新規死亡者数は6万6,000人以上が報告されました。前週と比較して、新規感染者数は2%増加し、新規死亡者数は同程度でした(図1)。新規感染者数の増加率が高かったのは、西太平洋地域(14%)とアメリカ地域(8%)でした。新規死亡者数の増加率が高かったのは、西太平洋地域(23%)と東地中海地域(15%)でした。
人口10万人当たりの新規感染者数が多いのは、アメリカ地域(147.4人)とヨーロッパ地域(121.6人)で、前週と同地域でした。人口10万人当たりの新規死亡者数が多いのは、アメリカ地域(2.0人)とヨーロッパ地域(1.1人)でした。
直近1週間における新規感染者数が多い上位3か国は、アメリカ合衆国(883,996人:9%増加)、イラン・イスラム共和国(269,975人:9%増加)、インド(258,121人:7%減少)でした。一方で、直近1週間における新規死亡者数が多い上位3か国は、インドネシア(10,492人:8%減少)、ブラジル(6,100人:3%減少)、ロシア連邦(5,618人:2%増加)でした。
懸念すべき変異株(VOC)の状況について、アルファ株は190の国・地域(前週比+5)、ベータ株は138の国・地域(前週比+2)、ガンマ株は82の国・地域(前週比+1)、デルタ株は148の国・地域(前週比+6)で、それぞれ報告されています。
現在の感染拡大は、感染力が強いVOCの流通、公衆衛生上の社会的措置の緩和、社会的な交流の増加、そしてワクチンの不公平な分配という4つの要因によって引き起こされていると考えられています。
人口10万人当たりの新規感染者数が多いのは、アメリカ地域(147.4人)とヨーロッパ地域(121.6人)で、前週と同地域でした。人口10万人当たりの新規死亡者数が多いのは、アメリカ地域(2.0人)とヨーロッパ地域(1.1人)でした。
直近1週間における新規感染者数が多い上位3か国は、アメリカ合衆国(883,996人:9%増加)、イラン・イスラム共和国(269,975人:9%増加)、インド(258,121人:7%減少)でした。一方で、直近1週間における新規死亡者数が多い上位3か国は、インドネシア(10,492人:8%減少)、ブラジル(6,100人:3%減少)、ロシア連邦(5,618人:2%増加)でした。
懸念すべき変異株(VOC)の状況について、アルファ株は190の国・地域(前週比+5)、ベータ株は138の国・地域(前週比+2)、ガンマ株は82の国・地域(前週比+1)、デルタ株は148の国・地域(前週比+6)で、それぞれ報告されています。
現在の感染拡大は、感染力が強いVOCの流通、公衆衛生上の社会的措置の緩和、社会的な交流の増加、そしてワクチンの不公平な分配という4つの要因によって引き起こされていると考えられています。
図1 2021年8月15日時点の週別・WHO管轄地域別のCOVID-19感染者数及び世界の死亡者数の推移

表1 2021年8月15日時点のWHO管轄地域別の新規・累積COVID-19確定症例数及び死亡者数

WHO管轄地域別の概況
アフリカ地域
直近1週間で確認された新規感染者数は139,767人、新規死亡者数は3,909人でした。前週と比較して、新規感染者数は23%減少し、新規死亡者数は18%減少しました。地域全体の感染者は6月にピークを迎えた後、7月中旬以降、南アフリカ共和国の減少傾向を反映して減少しています。しかし、過去2週間で減少の割合は鈍化し、約半数の国々が増加傾向を示しています。死亡者についても、南アフリカ共和国の状況が、地域全体の傾向を大きく左右しています。モザンビーク、ジンバブエ、ザンビアは、死亡者数の減少が続いています。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国

新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
南アフリカ共和国 | 58,939人 | 99.4人 | 22%減少 |
ボツワナ | 14,184人 | 603.2人 | 11%減少 |
ケニア | 7,685人 | 14.3人 | 2%減少 |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
南アフリカ共和国 | 2,008人 | 3.4人 | 23%減少 |
ボツワナ | 269人 | 11.4人 | 99%増加 |
ジンバブエ | 247人 | 1.7人 | 16%減少 |

アメリカ地域
直近1週間で確認された新規感染者数は1,507,234人、新規死亡者数は19,956人でした。前週と比較して、新規感染者数は8%増加し、新規死亡者数は同程度でした。ドミニカ、セントビンセント・グレナディーン諸島、グアドループでは、過去7日間における新規感染者の増加率が最大となりました。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国

新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
アメリカ合衆国 | 883,996人 | 267.1人 | 20%増加 |
ブラジル | 210,254人 | 98.9人 | 8%減少 |
メキシコ | 124,103人 | 96.3人 | 8%増加 |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
ブラジル | 6,100人 | 2.9人 | 3%減少 |
アメリカ合衆国 | 4,245人 | 1.3人 | 25%増加 |
メキシコ | 3,681人 | 2.9人 | 12%増加 |

東地中海地域
直近1週間で確認された新規感染者数は502,683人、新規死亡者数は7,034人でした。前週と比較して、新規感染者数は同程度、新規死亡者数は15%増加しました。地域全体の新規死亡者数は、パンデミック開始以降の最多を記録しました。これは主に、イラン・イスラム共和国、モロッコ、パキスタン、シリア・アラブ共和国、イエメンなど複数の国々における増加傾向が反映されたものです。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国

新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
イラン・イスラム共和国 | 269,975人 | 321.4人 | 9%増加 |
モロッコ | 64,784人 | 175.5人 | 2%増加 |
イラク | 64,390人 | 160.1人 | 17%減少 |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
イラン・イスラム共和国 | 3,735人 | 4.4人 | 31%増加 |
チュニジア | 896人 | 7.6人 | 17%減少 |
モロッコ | 678人 | 1.8人 | 44%増加 |

ヨーロッパ地域
直近1週間で確認された新規感染者数は1,134,516人、新規死亡者数は10,495人でした。前週と比較して、新規感染者数は1%増加し、新規死亡者数は3%減少しました。地域全体の新規感染者は横ばいの状況ですが、現在も1週間で100万人以上が報告されており、アゼルバイジャン、グルジア、イスラエル、コソボ、モンテネグロ、北マケドニアなどの多くの国々で大幅な増加が続いています。死亡者数は6週連続で徐々に増加していましたが、わずかながら減少傾向が報告されました。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国

新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
イギリス | 198,759人 | 292.8人 | 7%増加 |
トルコ | 163,965人 | 194.4人 | 3%減少 |
ロシア連邦 | 153,086人 | 104.9人 | 4%減少 |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
ロシア連邦 | 5,618人 | 3.8人 | 2%増加 |
カザフスタン | 934人 | 5.0人 | 46%減少 |
トルコ | 917人 | 1.1人 | 21%増加 |

東南アジア地域
直近1週間で確認された新規感染者数は731,279人、新規死亡者数は19,401人でした。前週と比較して、新規感染者数は9%減少し、新規死亡者数は6%減少しました。地域全体の新規感染者は減少していますが、スリランカ、タイ、東ティモールでは増加が報告されました。地域全体の新規死亡者は、モルディブとミャンマーの大幅な減少が反映されて減少しています。一方で、新規感染者が増加した国々は新規死亡者も大幅に増加しており、スリランカ63%増、タイ11%増、東ティモール200%増となっています。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国

新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
インド | 258,121人 | 18.7人 | 7%減少 |
インドネシア | 188,323人 | 68.9人 | 17%減少 |
タイ | 150,652人 | 215.8人 | 7%増加 |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
インドネシア | 10,492人 | 3.8人 | 8%減少 |
インド | 3,363人 | 0.2人 | 4%減少 |
バングラデシュ | 1,523人 | 0.9人 | 12%減少 |

西太平洋地域
直近1週間で確認された新規感染者数は429,153人、新規死亡者数は5,711人でした。前週と比較して、新規感染者数は14%増加し、新規死亡者数23%増加しました。この急激な感染者数と死亡者数の増加は、約2か月間続いています。WHOに定期的にデータを提供している国々の半数以上が、感染者の増加(18か国中10か国:56%)を報告しており、半数近くが死亡者数の増加(18か国中8か国:44%)を報告しています。オーストラリア、フランス領ポリネシア、日本、フィリピン、韓国において、感染者数と死亡者数の割合が最も高くなっています。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国

新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
マレーシア | 140,501人 | 434.1人 | 8%増加 |
日本 | 111,601人 | 88.2人 | 23%増加 |
フィリピン | 77,540人 | 70.8人 | 28%増加 |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
ベトナム | 2,187人 | 2.2人 | 13%増加 |
マレーシア | 1,839人 | 5.7人 | 35%増加 |
フィリピン | 1,235人 | 1.1人 | 31%増加 |

変異株の状況
異株の状況
2021年5月31日、WHOは、新型コロナウイルスの変異株に関する一般の人々の議論を促進するために、懸念すべき変異株(VOC)及び注目すべき変異株(VOI)の言いやすい・覚えやすい新たな呼称を発表しました(表2・表3)。
また、VOCやVOIの影響についての理解が進み、サーベイランスや対応の必要性が高まっていることから、WHOは定義を定期的に見直し、調整しています。変異株の最新の状況については、以下のページを新たに設けてとりまとめています。
SARS-CoV-2変異株の追跡
https://www.who.int/en/activities/tracking-SARS-CoV-2-variants/
【VOCの呼称】
・イギリス由来の変異株(B.1.1.7)→ アルファ株
・南アフリカ由来の変異株(B.1.351)→ ベータ株
・ブラジル由来の変異株(P.1)→ ガンマ株
・インド由来の変異株(B.1.617.2)→ デルタ株
【VOIの呼称】
・複数国由来の変異株(B.1.525) → イータ株
・アメリカ合衆国由来の変異株(B.1.526)→ イオタ株
・インド由来の変異株(B.1.617.1)→ カッパ株
・ペルー由来の変異株(C.37)→ ラムダ株(6月14日追加)
【監視を継続する変異株(VOIから除外)】
・アメリカ合衆国由来の変異株(B.1.427/B.1.429)→ イプシロン株(7月6日変更)
・ブラジル由来の変異株(P.2)→ ゼータ株(7月6日変更)
・フィリピン由来の変異株(P.3)→ シータ株(7月6日変更)
2021年5月31日、WHOは、新型コロナウイルスの変異株に関する一般の人々の議論を促進するために、懸念すべき変異株(VOC)及び注目すべき変異株(VOI)の言いやすい・覚えやすい新たな呼称を発表しました(表2・表3)。
また、VOCやVOIの影響についての理解が進み、サーベイランスや対応の必要性が高まっていることから、WHOは定義を定期的に見直し、調整しています。変異株の最新の状況については、以下のページを新たに設けてとりまとめています。
SARS-CoV-2変異株の追跡
https://www.who.int/en/activities/tracking-SARS-CoV-2-variants/
【VOCの呼称】
・イギリス由来の変異株(B.1.1.7)→ アルファ株
・南アフリカ由来の変異株(B.1.351)→ ベータ株
・ブラジル由来の変異株(P.1)→ ガンマ株
・インド由来の変異株(B.1.617.2)→ デルタ株
【VOIの呼称】
・複数国由来の変異株(B.1.525) → イータ株
・アメリカ合衆国由来の変異株(B.1.526)→ イオタ株
・インド由来の変異株(B.1.617.1)→ カッパ株
・ペルー由来の変異株(C.37)→ ラムダ株(6月14日追加)
【監視を継続する変異株(VOIから除外)】
・アメリカ合衆国由来の変異株(B.1.427/B.1.429)→ イプシロン株(7月6日変更)
・ブラジル由来の変異株(P.2)→ ゼータ株(7月6日変更)
・フィリピン由来の変異株(P.3)→ シータ株(7月6日変更)
表2 2021年8月13日時点の懸念すべき変異株(VOC)

表3 2021年8月13日時点の注目すべき変異株(VOI)

図2 2021年8月17日時点の懸念すべき変異株(VOC)の流行状況

出典
COVID-19 Situation reports
COVID-19 Weekly Epidemiological Update: 17 August 2021
https://www.who.int/publications/m/item/weekly-epidemiological-update-on-covid-19---17-august-2021
COVID-19 Weekly Epidemiological Update: 17 August 2021
https://www.who.int/publications/m/item/weekly-epidemiological-update-on-covid-19---17-august-2021