新型コロナウイルス感染症の世界の状況報告

COVID-19 Weekly Epidemiological Update(WHO) 2021年8月24日

世界の概況

2021年8月22日時点で、直近1週間(8月16日~8月22日)の新規感染者数は450万人以上が報告されました。新規症例報告数は、6月中旬から約2か月間増加した後、安定している状況です(図1)。西太平洋地域とアメリカ地域は、先週に引き続き感染者数が増加し、それぞれ20%と8%の増加となりました。東南アジア地域と東地中海地域は、感染者数が減少し、それぞれ16%と10%の減少となりました。
 
新規死亡者数は、前週と同程度で6万8,000人以上が報告されました。ヨーロッパ地域とアメリカ地域は、死亡者数が増加し、それぞれ11%と10%の増加となりました。アフリカ地域と東南アジア地域は、死亡者数が減少し、それぞれ11%と10%の減少となりました。一方、東地中海地域と西太平洋地域で報告された死亡者数は、前週と同程度でした。全世界で報告された累積感染者数は2億1,100万人を超え、累積死亡者数は440万人を超えました。
 
人口10万人当たりの新規感染者数が多いのは、アメリカ地域(158.8人)とヨーロッパ地域(124.9人)で、前週と同地域でした。人口10万人当たりの新規死亡者数が多いのは、アメリカ地域(2.1人)とヨーロッパ地域(1.3人)でした。
 
直近1週間における新規感染者数が多い上位5か国は、アメリカ合衆国(1,020,072人:15%増加)、イラン・イスラム共和国(251,610人:7%減少)、インド(231,658人:10%減少)、イギリス(219,919人:11%増加)、ブラジル(209,099人:1%減少)でした。
 
懸念すべき変異株(VOC)の状況について、アルファ株は192の国・地域(前週比+2)、ベータ株は141の国・地域(前週比+3)、ガンマ株は86の国・地域(前週比+4)、デルタ株は163の国・地域(前週比+15)で、それぞれ報告されています。
 
 
図1 2021年8月22日時点の週別・WHO管轄地域別のCOVID-19感染者数及び世界の死亡者数の推移


表1 2021年8月22日時点のWHO管轄地域別の新規・累積COVID-19確定症例数及び死亡者数

WHO管轄地域別の概況

アフリカ地域

直近1週間で確認された新規感染者数は158,595人、新規死亡者数は3,958人でした。前週と比較して、新規感染者数は23%減少し、新規死亡者数は18%減少しました。地域全体の感染者は6月にピークを迎えた後、7月中旬以降、南アフリカ共和国の減少傾向を反映して減少していましたが増加に転じ、新規感染者数の約半数(53%)は同国からの報告でした。死亡者数は4週間連続で減少しており、今週は前週と比較して大幅に減少(11%減)し、3,900人強となりました。49の国・地域のうち、17の国・地域で感染者数の増加が報告されており、ベナンとサントメ・プリンシペにおいて、最も高い増加率が報告されました。
 
新規感染者が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
南アフリカ共和国 84,778人 142.9人 18%増加
ボツワナ 9,703人 412.6人 32%減少
ケニア 8,425人 15.7人 5%減少
 
新規死亡者が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
南アフリカ共和国 2,382人 4.0人 6%増加
アルジェリア 218人 1.0人未満 22%減少
ケニア 148人 1.0人未満 27%減少
  

アメリカ地域

直近1週間で確認された新規感染者数は1,623,891人、新規死亡者数は21,983人でした。前週と比較して、新規感染者数は8%増加し、新規死亡者数は10%増加しました。この増加は、主に米国における感染者の増加によるもので、新規感染者数の63%を占めています。地域全体では過去3週間、感染者の増加が続いています。南米では、ほとんどの国々で感染者が減少しましたが、エルサルバドルとコスタリカは前週と比較して、それぞれ45%と6%の増加になりました。
 
新規感染者が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
アメリカ合衆国 1,020,072人 308.2人 15%増加
ブラジル 209,099人 98.4人 1%減少
メキシコ 128,779人 99.9人 4%増加
 
新規死亡者が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
アメリカ合衆国 6,712人 2.0人 58%増加
ブラジル 5,649人 2.7人 7%減少
メキシコ 4,666人 3.6人 27%増加
  

東地中海地域

直近1週間で確認された新規感染者数は450,624人、新規死亡者数は7,115人でした。前週と比較して、新規感染者数は10%減少し、新規死亡者数は1%増加しました。感染者の減少は、イラン・イスラム共和国、モロッコ、パキスタン、イラクの状況を反映していますが、複数の国々(22の国・地域のうち13の国・地域)で増加傾向が続いています。死亡者数は、7週連続で増加傾向が続いており、前週はパンデミック開始以降の最多を記録しましたが、今週は同程度となりました。複数の国々(22の国・地域のうち8の国・地域)で増加傾向が続いています。
 
新規感染者が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
イラン・イスラム共和国 251,610人 299.6人 7%減少
モロッコ 54,212人 146.9人 16%減少
イラク 50,702人 126.1人 21%減少
 
新規死亡者が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
イラン・イスラム共和国 4,146人 4.9人 11%増加
モロッコ 744人 2.0人 10%増加
チュニジア 630人 5.3人 30%減少
  

ヨーロッパ地域

直近1週間で確認された新規感染者数は1,165,092人、新規死亡者数は11,912人でした。前週と比較して、新規感染者数は同程度、新規死亡者数は11%増加しました。WHOが管轄する6地域の中で、最も大きい死亡者の増加率となりました。特に増加率が高かった国は、フランス(74%)、イタリア(54%)、トルコ(44%)でした。地域全体の新規感染者は横ばいの状況ですが、現在も1週間で100万人以上が報告されており、アゼルバイジャン、グルジア、イスラエル、コソボ、モンテネグロ、北マケドニアなどの多くの国々で大幅な増加が続いています。
 
新規感染者が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
イギリス 219,919人 324.0人 11%増加
ロシア連邦 146,251人 100.2人 4%減少
トルコ 137,235人 162.7人 16%減少
 
新規死亡者が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
ロシア連邦 5,545人 3.8人 1%減少
トルコ 1,322人 1.6人 44%増加
カザフスタン 930人 5.0人 同程度
  

東南アジア地域

直近1週間で確認された新規感染者数は614,080人、新規死亡者数は17,475人でした。前週と比較して、新規感染者数は16%減少し、新規死亡者数は10%減少しました。地域全体の感染者は減少していますが、モルディブ、スリランカ、東ティモールでは、それぞれ6%、40%、59%の増加が報告されました。地域全体の死亡者は、モルディブとミャンマーの大幅な減少が反映されている一方で、半数の国々(10の国・地域のうち5の国・地域)では増加傾向が続いています。
 
新規感染者が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
インド 231,658人 16.8人 10%減少
タイ 142,138人 203.6人 6%減少
インドネシア 125,102人 45.7人 34%減少
 
新規死亡者が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
インドネシア 8,784人 3.2人 16%減少
インド 3,142人 0.2人 7%減少
タイ 1,768人 2.5人 31%増加
  

西太平洋地域

直近1週間で確認された新規感染者数は513,581人、新規死亡者数は5,896人でした。前週と比較して、新規感染者数は20%増加し、新規死亡者数3%増加しました。この急激な感染者数と死亡者数の増加は、約2か月間続いています。WHOに定期的にデータを提供している国々の半数以上が、感染者の増加(18か国中14か国:78%)を報告しており、マレーシア、ベトナム、日本、フィリピンは急激な増加となっています。
 
新規感染者が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
マレーシア 150,933人 466.3人 7%増加
日本 149,057人 117.9人 34%増加
フィリピン 96,724人 88.3人 25%増加
 
新規死亡者が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
ベトナム 2,103人 2.2人 4%減少
マレーシア 1,708人 5.3人 7%減少
フィリピン 1,526人 1.4人 24%増加
  

変異株の状況

2021年5月31日、WHOは、新型コロナウイルスの変異株に関する一般の人々の議論を促進するために、懸念すべき変異株(VOC)及び注目すべき変異株(VOI)の言いやすい・覚えやすい新たな呼称を発表しました(表2・表3)。
 
また、VOCやVOIの影響についての理解が進み、サーベイランスや対応の必要性が高まっていることから、WHOは定義を定期的に見直し、調整しています。変異株の最新の状況については、以下のページを新たに設けてとりまとめています。
 
SARS-CoV-2変異株の追跡
https://www.who.int/en/activities/tracking-SARS-CoV-2-variants/
 
【VOCの呼称】
・イギリス由来の変異株(B.1.1.7)→ アルファ株
・南アフリカ由来の変異株(B.1.351)→ ベータ株
・ブラジル由来の変異株(P.1)→ ガンマ株
・インド由来の変異株(B.1.617.2)→ デルタ株
 
【VOIの呼称】
・複数国由来の変異株(B.1.525) → イータ株
・アメリカ合衆国由来の変異株(B.1.526)→ イオタ株
・インド由来の変異株(B.1.617.1)→ カッパ株
・ペルー由来の変異株(C.37)→ ラムダ株(6月14日追加)
 
【監視を継続する変異株(VOIから除外)】
・アメリカ合衆国由来の変異株(B.1.427/B.1.429)→ イプシロン株(7月6日変更)
・ブラジル由来の変異株(P.2)→ ゼータ株(7月6日変更)
・フィリピン由来の変異株(P.3)→ シータ株(7月6日変更)

 
表2 2021年8月24日時点の懸念すべき変異株(VOC)


表3 2021年8月24日時点の注目すべき変異株(VOI)


図2 2021年8月24日時点の懸念すべき変異株(VOC)の流行状況

出典

COVID-19 Situation reports
COVID-19 Weekly Epidemiological Update: 24 August 2021
https://www.who.int/publications/m/item/weekly-epidemiological-update-on-covid-19---24-august-2021

翻訳協力:関西空港検疫所