新型コロナウイルス感染症の世界の状況報告
COVID-19 Weekly Epidemiological Update(WHO) 2021年8月31日
世界の概況
2021年8月29日時点で、直近1週間(8月23日~8月29日)の新規感染者数は440万人以上が報告されました。増加傾向が2か月近く続いていましたが、前週から横ばい傾向となりました(図1)。アフリカ地域とアメリカ地域は減少傾向となり、ヨーロッパ地域と東南アジア地域、東地中海地域は横ばい傾向となりましたが、西太平洋地域のみ7%の増加となりました。
新規死亡者数は、前週と同程度で6万7,000人以上が報告されました。東地中海地域と西太平洋地域は、死亡者数が増加し、それぞれ9%と16%の増加となりました。東南アジア地域は、死亡者数が20%減少しました。アフリカ地域とアメリカ地域は、前週と同程度でした。全世界で報告された累積感染者数は2億1,600万人を超え、累積死亡者数は450万人を超えました。
人口10万人当たりの新規感染者数が多いのは、アメリカ地域(144.9人)とヨーロッパ地域(125.7人)で、前週と同地域でした。人口10万人当たりの新規死亡者数が多いのは、アメリカ地域(2.2人)とヨーロッパ地域(1.3人)、東地中海地域(1.1人)でした。
直近1週間における新規感染者数が多い上位5か国は、アメリカ合衆国(938,014人:8%減少)、インド(270,796人:17%減少)、イラン・イスラム共和国(254,753人:同程度)、イギリス(237,556人:8%増加)、ブラジル(175,807人:16%減少)でした。
懸念すべき変異株(VOC)の状況について、アルファ株は193の国・地域(前週比+1)、ベータ株は141の国・地域(同前週)、ガンマ株は91の国・地域(前週比+5)、デルタ株は170の国・地域(前週比+7)で、それぞれ報告されています。
図1 2021年8月29日時点の週別・WHO管轄地域別のCOVID-19感染者数及び世界の死亡者数の推移

表1 2021年8月29日時点のWHO管轄地域別の新規・累積COVID-19確定症例数及び死亡者数

新規死亡者数は、前週と同程度で6万7,000人以上が報告されました。東地中海地域と西太平洋地域は、死亡者数が増加し、それぞれ9%と16%の増加となりました。東南アジア地域は、死亡者数が20%減少しました。アフリカ地域とアメリカ地域は、前週と同程度でした。全世界で報告された累積感染者数は2億1,600万人を超え、累積死亡者数は450万人を超えました。
人口10万人当たりの新規感染者数が多いのは、アメリカ地域(144.9人)とヨーロッパ地域(125.7人)で、前週と同地域でした。人口10万人当たりの新規死亡者数が多いのは、アメリカ地域(2.2人)とヨーロッパ地域(1.3人)、東地中海地域(1.1人)でした。
直近1週間における新規感染者数が多い上位5か国は、アメリカ合衆国(938,014人:8%減少)、インド(270,796人:17%減少)、イラン・イスラム共和国(254,753人:同程度)、イギリス(237,556人:8%増加)、ブラジル(175,807人:16%減少)でした。
懸念すべき変異株(VOC)の状況について、アルファ株は193の国・地域(前週比+1)、ベータ株は141の国・地域(同前週)、ガンマ株は91の国・地域(前週比+5)、デルタ株は170の国・地域(前週比+7)で、それぞれ報告されています。
図1 2021年8月29日時点の週別・WHO管轄地域別のCOVID-19感染者数及び世界の死亡者数の推移

表1 2021年8月29日時点のWHO管轄地域別の新規・累積COVID-19確定症例数及び死亡者数

WHO管轄地域別の概況
アフリカ地域
直近1週間で確認された新規感染者数は147,789人、新規死亡者数は3,869人でした。前週と比較して、新規感染者数は7%減少し、新規死亡者数は3%減少しました。地域全体の感染者は7月中旬以降、南アフリカ共和国の減少傾向を反映して減少していますが、同共和国とエチオピアで半数以上(59%)を占めています。死亡者についても、南アフリカ共和国の状況が、地域全体の傾向を大きく左右しています。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国

新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
南アフリカ共和国 | 76,966人 | 129.8人 | 9%減少 |
エチオピア | 10,058人 | 8.7人 | 61%増加 |
ボツワナ | 7,332人 | 311.8人 | 24%減少 |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
南アフリカ共和国 | 2,210人 | 3.7人 | 7%減少 |
ケニア | 227人 | 1.0人未満 | 53%増加 |
アルジェリア | 195人 | 0.4人 | 11%減少 |

アメリカ地域
直近1週間で確認された新規感染者数は1,481,995人、新規死亡者数は22,259人でした。前週と比較して、新規感染者数は9%減少し、新規死亡者数は1%増加しました。地域全体の新規感染者は、アメリカ合衆国からの報告が半数以上(63%)を占めています。他に、カナダ(28%増)とグアテマラ(23%増)の増加が顕著となっています。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国

新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
アメリカ合衆国 | 938,014人 | 283.4人 | 8%減少 |
ブラジル | 175,807人 | 82.7人 | 16%減少 |
メキシコ | 114,209人 | 88.6人 | 11%減少 |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
アメリカ合衆国 | 7,323人 | 2.2人 | 9%増加 |
メキシコ | 5,070人 | 3.9人 | 9%増加 |
ブラジル | 4,815人 | 2.3人 | 15%減少 |

東地中海地域
直近1週間で確認された新規感染者数は443,703人、新規死亡者数は7,831人でした。前週と比較して、新規感染者数は2%減少し、新規死亡者数は9%増加しました。地域全体の新規感染者数は減少に転じましたが、複数の国々(22の国・地域のうち9の国・地域:41%)で増加傾向が続いています。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国

新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
イラン・イスラム共和国 | 254,753人 | 303.3人 | 同程度 |
イラク | 48,897人 | 121.6人 | 同程度 |
モロッコ | 43,244人 | 117.2人 | 20%減少 |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
イラン・イスラム共和国 | 4,547人 | 5.4人 | 10%増加 |
チュニジア | 760人 | 6.4人 | 7%増加 |
パキスタン | 687人 | 1.0人未満 | 35%増加 |

ヨーロッパ地域
直近1週間で確認された新規感染者数は1,172,461人、新規死亡者数は12,584人でした。前週と比較して、新規感染者数は1%減少し、新規死亡者数は4%増加しました。地域全体の新規感染者は横ばいの状況が続いていますが、現在も1週間で100万人以上が報告されています。南東ヨーロッパの多くの国々で増加傾向が続いているため、積極的な監視が必要となっています。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国

新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
イギリス | 237,556人 | 349.9人 | 8%増加 |
ロシア連邦 | 135,740人 | 93.0人 | 7%減少 |
トルコ | 132,508人 | 157.1人 | 同程度 |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
ロシア連邦 | 5,593人 | 3.8人 | 同程度 |
トルコ | 1,631人 | 1.9人 | 23%増加 |
イギリス | 785人 | 1.2人 | 13%増加 |

東南アジア地域
直近1週間で確認された新規感染者数は596,546人、新規死亡者数は14,010人でした。前週と比較して、新規感染者数は3%減少し、新規死亡者数は20%減少しました。地域全体の感染者は減少していますが、東ティモール、スリランカ、インドは15%以上増加しており、それぞれ32%、19%、17%の増加が報告されました。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国

新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
インド | 270,796人 | 19.6人 | 17%増加 |
タイ | 124,796人 | 178.8人 | 12%減少 |
インドネシア | 94,375人 | 34.35人 | 25%減少 |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
インドネシア | 5,551人 | 2.0人 | 37%減少 |
インド | 3,463人 | 1.0人未満 | 10%増加 |
タイ | 1,823人 | 2.6人 | 同程度 |

西太平洋地域
直近1週間で確認された新規感染者数は553,344人、新規死亡者数は6,835人でした。前週と比較して、新規感染者数は7%増加し、新規死亡者数16%増加しました。半数近い国々(48%)で、感染者が増加しています。死亡者の増加が顕著な国と地域は、フランス領ポリネシア(86%)、日本(53%)、ベトナム(36%)でした。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国

新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
日本 | 156,931人 | 124.1人 | 5%増加 |
マレーシア | 150,224人 | 464.1人 | 同程度 |
フィリピン | 111,904人 | 102.1人 | 16%増加 |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
ベトナム | 2,865人 | 2.9人 | 36%増加 |
マレーシア | 1,866人 | 5.8人 | 9%増加 |
フィリピン | 1,412人 | 1.3人 | 7%減少 |

変異株の状況
2021年5月31日、WHOは、新型コロナウイルスの変異株に関する一般の人々の議論を促進するために、懸念すべき変異株(VOC)及び注目すべき変異株(VOI)の言いやすい・覚えやすい新たな呼称を発表しました(表2・表3)。
8月30日、WHOは最新の評価に基づき、コロンビアで確認されたパンゴ系統のB.1.621.1を含む変異株について、「Mu:ミュー」の呼称を付与してVOIに新たに分類しました。ミュー株には、潜在的な免疫逃避特性を示す一連の変異があり、免疫系から逃れる特性を有している可能性があります。ウイルス変異作業部会に提出された予備データによると、回復期およびワクチン接種者において、中和能力が低下していることが示されていますが、これはベータ株で確認されている事象と同様とのことです。予備データの段階のため、さらなる研究で確認する必要があります。
また、VOCやVOIの影響についての理解が進み、サーベイランスや対応の必要性が高まっていることから、WHOは定義を定期的に見直し、調整しています。変異株の最新の状況については、以下のページを新たに設けてとりまとめています。
SARS-CoV-2変異株の追跡
https://www.who.int/en/activities/tracking-SARS-CoV-2-variants/
【VOCの呼称】
・イギリス由来の変異株(B.1.1.7)→ アルファ株
・南アフリカ由来の変異株(B.1.351)→ ベータ株
・ブラジル由来の変異株(P.1)→ ガンマ株
・インド由来の変異株(B.1.617.2)→ デルタ株
【VOIの呼称】
・複数国由来の変異株(B.1.525) → イータ株
・アメリカ合衆国由来の変異株(B.1.526)→ イオタ株
・インド由来の変異株(B.1.617.1)→ カッパ株
・ペルー由来の変異株(C.37)→ ラムダ株(6月14日追加)
・コロンビア由来の変異株(B.1.621)→ ミュー株(8月30日追加)
【監視を継続する変異株(VOIから除外)】
・アメリカ合衆国由来の変異株(B.1.427/B.1.429)→ イプシロン株(7月6日変更)
・ブラジル由来の変異株(P.2)→ ゼータ株(7月6日変更)
・フィリピン由来の変異株(P.3)→ シータ株(7月6日変更)
8月30日、WHOは最新の評価に基づき、コロンビアで確認されたパンゴ系統のB.1.621.1を含む変異株について、「Mu:ミュー」の呼称を付与してVOIに新たに分類しました。ミュー株には、潜在的な免疫逃避特性を示す一連の変異があり、免疫系から逃れる特性を有している可能性があります。ウイルス変異作業部会に提出された予備データによると、回復期およびワクチン接種者において、中和能力が低下していることが示されていますが、これはベータ株で確認されている事象と同様とのことです。予備データの段階のため、さらなる研究で確認する必要があります。
また、VOCやVOIの影響についての理解が進み、サーベイランスや対応の必要性が高まっていることから、WHOは定義を定期的に見直し、調整しています。変異株の最新の状況については、以下のページを新たに設けてとりまとめています。
SARS-CoV-2変異株の追跡
https://www.who.int/en/activities/tracking-SARS-CoV-2-variants/
【VOCの呼称】
・イギリス由来の変異株(B.1.1.7)→ アルファ株
・南アフリカ由来の変異株(B.1.351)→ ベータ株
・ブラジル由来の変異株(P.1)→ ガンマ株
・インド由来の変異株(B.1.617.2)→ デルタ株
【VOIの呼称】
・複数国由来の変異株(B.1.525) → イータ株
・アメリカ合衆国由来の変異株(B.1.526)→ イオタ株
・インド由来の変異株(B.1.617.1)→ カッパ株
・ペルー由来の変異株(C.37)→ ラムダ株(6月14日追加)
・コロンビア由来の変異株(B.1.621)→ ミュー株(8月30日追加)
【監視を継続する変異株(VOIから除外)】
・アメリカ合衆国由来の変異株(B.1.427/B.1.429)→ イプシロン株(7月6日変更)
・ブラジル由来の変異株(P.2)→ ゼータ株(7月6日変更)
・フィリピン由来の変異株(P.3)→ シータ株(7月6日変更)
表2 2021年8月31日時点の懸念すべき変異株(VOC)

表3 2021年8月31日時点の注目すべき変異株(VOI)

図2 2021年8月31日時点の懸念すべき変異株(VOC)の流行状況

出典
COVID-19 Situation reports
COVID-19 Weekly Epidemiological Update: 31 August 2021
https://www.who.int/publications/m/item/weekly-epidemiological-update-on-covid-19---31-august-2021
COVID-19 Weekly Epidemiological Update: 31 August 2021
https://www.who.int/publications/m/item/weekly-epidemiological-update-on-covid-19---31-august-2021