新型コロナウイルス感染症の世界の状況報告
COVID-19 Weekly Epidemiological Update(WHO) 2021年9月7日
世界の概況
2021年9月5日時点で、直近1週間(8月30日~9月5日)の新規感染者数は440万人以上が報告され、前週と同程度の状況でした(図1)。3地域(アフリカ地域、東南アジア地域、東地中海地域)は減少傾向となり、2地域(ヨーロッパ地域、西太平洋地域)は横ばい傾向となりましたが、アメリカ地域のみ19%の増加となりました。
新規死亡者数は、前週と同程度で約6万8,000人が報告されました。4地域(アフリカ地域、東地中海地域、東南アジア地域、西太平洋地域)は減少しましたが、アメリカ地域とヨーロッパ地域においては、それぞれ17%と20%の増加となりました。最も減少幅が大きかったのはアフリカ地域(26%)と東南アジア地域(21%)で、東地中海地域と西太平洋地域においても、それぞれ14%と8%の減少となりました。全世界で報告された累積感染者数は2億2,000万人を超え、累積死亡者数は450万人を超えています。
人口10万人当たりの新規感染者数が多いのは、アメリカ地域(172.4人)とヨーロッパ地域(122.8人)で、前週と同地域でした。人口10万人当たりの新規死亡者数が多いのは、アメリカ地域(2.5人)とヨーロッパ地域(1.6人)でした。
直近1週間における新規感染者数が多い上位5か国は、アメリカ合衆国(1,297,399人:38%増加)、インド(293,643人:8%増加)、イギリス(243,125人:同程度)、イラン・イスラム共和国(208,089人:18%減少)、ブラジル(152,154人:13%減少)でした。
懸念すべき変異株(VOC)の状況について、アルファ株は194の国・地域(前週比+1)、ベータ株は141の国・地域(同前週)、ガンマ株は92の国・地域(前週比+1)、デルタ株は174の国・地域(前週比+4)で、それぞれ報告されています。
図1 2021年9月5日時点の週別・WHO管轄地域別のCOVID-19感染者数及び世界の死亡者数の推移
表1 2021年9月5日時点のWHO管轄地域別の新規・累積COVID-19確定症例数及び死亡者数
新規死亡者数は、前週と同程度で約6万8,000人が報告されました。4地域(アフリカ地域、東地中海地域、東南アジア地域、西太平洋地域)は減少しましたが、アメリカ地域とヨーロッパ地域においては、それぞれ17%と20%の増加となりました。最も減少幅が大きかったのはアフリカ地域(26%)と東南アジア地域(21%)で、東地中海地域と西太平洋地域においても、それぞれ14%と8%の減少となりました。全世界で報告された累積感染者数は2億2,000万人を超え、累積死亡者数は450万人を超えています。
人口10万人当たりの新規感染者数が多いのは、アメリカ地域(172.4人)とヨーロッパ地域(122.8人)で、前週と同地域でした。人口10万人当たりの新規死亡者数が多いのは、アメリカ地域(2.5人)とヨーロッパ地域(1.6人)でした。
直近1週間における新規感染者数が多い上位5か国は、アメリカ合衆国(1,297,399人:38%増加)、インド(293,643人:8%増加)、イギリス(243,125人:同程度)、イラン・イスラム共和国(208,089人:18%減少)、ブラジル(152,154人:13%減少)でした。
懸念すべき変異株(VOC)の状況について、アルファ株は194の国・地域(前週比+1)、ベータ株は141の国・地域(同前週)、ガンマ株は92の国・地域(前週比+1)、デルタ株は174の国・地域(前週比+4)で、それぞれ報告されています。
図1 2021年9月5日時点の週別・WHO管轄地域別のCOVID-19感染者数及び世界の死亡者数の推移
表1 2021年9月5日時点のWHO管轄地域別の新規・累積COVID-19確定症例数及び死亡者数
WHO管轄地域別の概況
アフリカ地域
直近1週間で確認された新規感染者数は110,594人、新規死亡者数は2,826人でした。前週と比較して、新規感染者数は25%減少し、新規死亡者数は26%減少しました。主に南アフリカでの減少傾向が続いており、地域全体における第3波の減少傾向につながっています。しかし、複数の国々では、30%以上の感染者の増加傾向が続いており、5か国で死亡率の増加傾向が確認されています。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国
新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
南アフリカ共和国 | 56,823人 | 95.8人 | 26%減少 |
エチオピア | 8,391人 | 7.3人 | 17%減少 |
ボツワナ | 5,524人 | 234.9人 | 25%減少 |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
南アフリカ共和国 | 1,700人 | 2.9人 | 23%減少 |
アルジェリア | 194人 | 1.0人未満 | 同程度 |
ナイジェリア | 127人 | 1.0人未満 | 26%増加 |
アメリカ地域
直近1週間で確認された新規感染者数は1,763,048人、新規死亡者数は26,028人でした。前週と比較して、新規感染者数は19%増加し、新規死亡者数は17%増加しました。いずれも、地域レベルでの増加割合が最も大きくなっており、引き続きアメリカ合衆国からの報告が半数以上を占めています。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国
新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
アメリカ合衆国 | 1,297,399人 | 392.0人 | 38%増加 |
ブラジル | 152,154人 | 71.6人 | 13%減少 |
メキシコ | 93,977人 | 72.9人 | 18%減少 |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
アメリカ合衆国 | 11,946人 | 3.6人 | 63%増加 |
メキシコ | 5,071人 | 3.9人 | 同程度 |
ブラジル | 4,344人 | 2.0人 | 10%減少 |
東地中海地域
直近1週間で確認された新規感染者数は377,304人、新規死亡者数は6,782人でした。前週と比較して、新規感染者数は16%減少し、新規死亡者数は14%減少しました。感染者の減少傾向は、新規感染者が多い上位3か国の大幅な減少を反映していますが、地域内の全22か国のうち6か国(ジブチ、エジプト、パレスチナ占領地、オマーン、シリア・アラブ共和国、イエメン)では、感染者の増加が報告されました。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国
新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
イラン・イスラム共和国 | 208,089人 | 247.7人 | 18%減少 |
イラク | 44,043人 | 109.5人 | 10%減少 |
モロッコ | 31,510人 | 85.4人 | 27%減少 |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
イラン・イスラム共和国 | 4,163人 | 5.0人 | 8%減少 |
モロッコ | 632人 | 1.7人 | 8%減少 |
パキスタン | 579人 | 0.3人 | 16%減少 |
ヨーロッパ地域
直近1週間で確認された新規感染者数は1,146,065人、新規死亡者数は14,883人でした。前週と比較して、新規感染者数は4%減少し、新規死亡者数は20%増加しました。ほぼ半数の国々(61か国中29か国)において、死亡者の増加が報告されました。しかし、患者発生率が高い複数の国々では、ワクチン接種率が高かったため、ワクチン接種率が低い国と比較して死亡率は低くなっていました。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国
新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
イギリス | 243,125人 | 358.1人 | 同程度 |
トルコ | 149,114人 | 176.8人 | 13%増加 |
ロシア連邦 | 129,772人 | 88.9人 | 同程度 |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
ロシア連邦 | 5,563人 | 3.8人 | 同程度 |
トルコ | 1,879人 | 2.2人 | 15%増加 |
カザフスタン | 1,768人 | 9.4人 | (記載なし) |
東南アジア地域
直近1週間で確認された新規感染者数は543,013人、新規死亡者数は11,116人でした。前週と比較して、新規感染者数は9%減少し、新規死亡者数は21%減少しました。地域全体の感染者は減少していますが、インド、ミャンマー、モルディブは増加しており、それぞれ8%、24%、43%の増加が報告されました。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国
新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
インド | 293,643人 | 21.3人 | 8%増加 |
タイ | 106,443人 | 152.5人 | 15%減少 |
インドネシア | 55,189人 | 20.2人 | 42%減少 |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
インドネシア | 3,938人 | 1.4人 | 29%減少 |
インド | 2,703人 | 1.0人未満 | 22%減少 |
タイ | 1,712人 | 2.5人 | 6%減少 |
西太平洋地域
直近1週間で確認された新規感染者数は531,922人、新規死亡者数は6,282人でした。前週と比較して、新規感染者数は4%減少し、新規死亡者数は8%減少しました。感染者と死亡者の絶対数は依然として非常に多い状況ですが、約2か月以上ぶりに死亡者の減少が報告されました。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国
新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
マレーシア | 138,929人 | 429.2人 | 8%減少 |
フィリピン | 125,470人 | 114.5人 | 12%増加 |
日本 | 122,628人 | 97.0人 | 22%減少 |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
ベトナム | 2,388人 | 2.5人 | 17%減少 |
マレーシア | 2,081人 | 6.4人 | 12%増加 |
フィリピン | 1,054人 | 1.0人 | 25%減少 |
変異株の状況
2021年5月31日、WHOは、新型コロナウイルスの変異株に関する一般の人々の議論を促進するために、懸念すべき変異株(VOC)及び注目すべき変異株(VOI)の言いやすい・覚えやすい新たな呼称を発表しました(表2・表3)。
8月30日、WHOは最新の評価に基づき、コロンビアで確認されたパンゴ系統のB.1.621.1を含む変異株について、「Mu:ミュー」の呼称を付与してVOIに新たに分類しました。
また、VOCやVOIの影響についての理解が進み、サーベイランスや対応の必要性が高まっていることから、WHOは定義を定期的に見直し、調整しています。変異株の最新の状況については、以下のページを新たに設けてとりまとめています。
SARS-CoV-2変異株の追跡
https://www.who.int/en/activities/tracking-SARS-CoV-2-variants/
【VOCの呼称】
・イギリス由来の変異株(B.1.1.7)→ アルファ株
・南アフリカ由来の変異株(B.1.351)→ ベータ株
・ブラジル由来の変異株(P.1)→ ガンマ株
・インド由来の変異株(B.1.617.2)→ デルタ株
【VOIの呼称】
・複数国由来の変異株(B.1.525) → イータ株
・アメリカ合衆国由来の変異株(B.1.526)→ イオタ株
・インド由来の変異株(B.1.617.1)→ カッパ株
・ペルー由来の変異株(C.37)→ ラムダ株(6月14日追加)
・コロンビア由来の変異株(B.1.621)→ ミュー株(8月30日追加)
【監視を継続する変異株(VOIから除外)】
・アメリカ合衆国由来の変異株(B.1.427/B.1.429)→ イプシロン株(7月6日変更)
・ブラジル由来の変異株(P.2)→ ゼータ株(7月6日変更)
・フィリピン由来の変異株(P.3)→ シータ株(7月6日変更)
8月30日、WHOは最新の評価に基づき、コロンビアで確認されたパンゴ系統のB.1.621.1を含む変異株について、「Mu:ミュー」の呼称を付与してVOIに新たに分類しました。
また、VOCやVOIの影響についての理解が進み、サーベイランスや対応の必要性が高まっていることから、WHOは定義を定期的に見直し、調整しています。変異株の最新の状況については、以下のページを新たに設けてとりまとめています。
SARS-CoV-2変異株の追跡
https://www.who.int/en/activities/tracking-SARS-CoV-2-variants/
【VOCの呼称】
・イギリス由来の変異株(B.1.1.7)→ アルファ株
・南アフリカ由来の変異株(B.1.351)→ ベータ株
・ブラジル由来の変異株(P.1)→ ガンマ株
・インド由来の変異株(B.1.617.2)→ デルタ株
【VOIの呼称】
・複数国由来の変異株(B.1.525) → イータ株
・アメリカ合衆国由来の変異株(B.1.526)→ イオタ株
・インド由来の変異株(B.1.617.1)→ カッパ株
・ペルー由来の変異株(C.37)→ ラムダ株(6月14日追加)
・コロンビア由来の変異株(B.1.621)→ ミュー株(8月30日追加)
【監視を継続する変異株(VOIから除外)】
・アメリカ合衆国由来の変異株(B.1.427/B.1.429)→ イプシロン株(7月6日変更)
・ブラジル由来の変異株(P.2)→ ゼータ株(7月6日変更)
・フィリピン由来の変異株(P.3)→ シータ株(7月6日変更)
表2 2021年9月2日時点の懸念すべき変異株(VOC)
表3 2021年9月2日時点の注目すべき変異株(VOI)
図2 2021年9月7日時点の懸念すべき変異株(VOC)の流行状況
出典
COVID-19 Situation reports
COVID-19 Weekly Epidemiological Update: 9 September 2021
https://www.who.int/publications/m/item/weekly-epidemiological-update-on-covid-19---7-september-2021
COVID-19 Weekly Epidemiological Update: 9 September 2021
https://www.who.int/publications/m/item/weekly-epidemiological-update-on-covid-19---7-september-2021