新型コロナウイルス感染症の世界の状況報告
COVID-19 Weekly Epidemiological Update(WHO) 2021年10月5日
世界の概況
2021年10月3日時点で、直近1週間(9月27日~10月3日)の新規感染者数は310万人以上が報告され、前週に引き続いて減少しました(図1)。ヨーロッパ地域を除く5地域で減少し、世界全体では前週から9%減少しました。減少幅が最も大きかったのは、アフリカ地域の43%で、ヨーロッパ地域を除く他の地域も10%以上の減少となりました。ヨーロッパ地域のみ、5%の増加となりました。
新規死亡者数は約5万4,000人が報告され、こちらも前週に引き続いて減少しました。アフリカ地域とアメリカ地域を除く4地域で減少し、世界全体では前週から4%減少しました。減少した4地域のうち、西太平洋地域を除く3地域(アフリカ地域、東地中海地域、東南アジア地域)は、15%以上の大幅な減少となりました。減少幅が最も大きかったのは、アフリカ地域の25%でした。
現時点で報告されている全世界の累積感染者数は2億3,400万人を超え、累積死亡者数は480万人を超えています。いずれも、8月以降は減少傾向が続いています。
人口10万人当たりの新規感染者数が多いのは、ヨーロッパ地域(123.1人)とアメリカ地域(109.5人)で、人口10万人当たりの新規死亡者数が多いのは、アメリカ地域(2.4人)とヨーロッパ地域(1.6人)でした。いずれも、前週と同地域でした。
直近1週間における新規感染者数が多い上位5か国は、アメリカ合衆国(760,571人:同程度)、イギリス(239,781人:同程度)、トルコ(197,277人:同程度)、ロシア連邦(165,623人:13%増加)、インド(161,158人:21%減少)でした。
10月5日時点で、懸念すべき変異株(VOC)が確認されている国・地域の数は、アルファ株195(前週比+2)、ベータ株145の(前週比+3)、ガンマ株99(前週比+3)、デルタ株192(前週比+5)で、それぞれ報告されています。
新規死亡者数は約5万4,000人が報告され、こちらも前週に引き続いて減少しました。アフリカ地域とアメリカ地域を除く4地域で減少し、世界全体では前週から4%減少しました。減少した4地域のうち、西太平洋地域を除く3地域(アフリカ地域、東地中海地域、東南アジア地域)は、15%以上の大幅な減少となりました。減少幅が最も大きかったのは、アフリカ地域の25%でした。
現時点で報告されている全世界の累積感染者数は2億3,400万人を超え、累積死亡者数は480万人を超えています。いずれも、8月以降は減少傾向が続いています。
人口10万人当たりの新規感染者数が多いのは、ヨーロッパ地域(123.1人)とアメリカ地域(109.5人)で、人口10万人当たりの新規死亡者数が多いのは、アメリカ地域(2.4人)とヨーロッパ地域(1.6人)でした。いずれも、前週と同地域でした。
直近1週間における新規感染者数が多い上位5か国は、アメリカ合衆国(760,571人:同程度)、イギリス(239,781人:同程度)、トルコ(197,277人:同程度)、ロシア連邦(165,623人:13%増加)、インド(161,158人:21%減少)でした。
10月5日時点で、懸念すべき変異株(VOC)が確認されている国・地域の数は、アルファ株195(前週比+2)、ベータ株145の(前週比+3)、ガンマ株99(前週比+3)、デルタ株192(前週比+5)で、それぞれ報告されています。
図1 2021年10月3日時点の週別・WHO管轄地域別のCOVID-19感染者数及び世界の死亡者数の推移
表1 2021年10月3日時点のWHO管轄地域別の新規・累積COVID-19確定症例数及び死亡者数
WHO管轄地域別の概況
アフリカ地域
直近1週間で確認された新規感染者数は49,333人、新規死亡者数は1,897人でした。前週と比較して、新規感染者数は43%減少し、新規死亡者数は25%減少しました。感染者数は7月初旬にピークを迎えた後、3か月連続して減少しています。しかし、地域内の7か国においては、感染者の大幅な増加(20%以上)が報告されています。死亡者数は増加が続いていましたが、減少に転じました。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国
新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
南アフリカ共和国 | 9,637人 | 16.2人 | 38%減少 |
エチオピア | 7,127人 | 6.2人 | 19%減少 |
レソト | 6,943人 | 324.1人 | 記載なし |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
南アフリカ共和国 | 752人 | 1.3人 | 15%減少 |
エチオピア | 306人 | 1.0人未満 | 20%減少 |
レソト | 231人 | 10.8人未満 | 記載なし |
アメリカ地域
直近1週間で確認された新規感染者数は1,120,999人、新規死亡者数は24,311人でした。前週と比較して、新規感染者数は12%減少し、新規死亡者数は2%増加しました。地域全体の患者発生率は減少傾向を示している一方で、ドミニカや仏領ギアナなどの一部の国々では、感染者数と人口10万人当たりの患者発生率が増加しています。また、週単位の患者発生率は、3月のピーク時を下回るレベルに留まっている状況です。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国
新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
アメリカ合衆国 | 760,571人 | 229.8人 | 同程度 |
ブラジル | 131,501人 | 61.9人 | 47%減少 |
メキシコ | 52,496人 | 40.7人 | 21%減少 |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
アメリカ合衆国 | 13,736人 | 4.1人 | 12%増加 |
ブラジル | 4,060人 | 1.9人 | 同程度 |
メキシコ | 3,275人 | 2.5人 | 21%減少 |
東地中海地域
直近1週間で確認された新規感染者数は166,068、新規死亡者数は3,567人でした。前週と比較して、新規感染者数は21%減少し、新規死亡者数は17%減少しました。いずれも、8月のピーク以降は1か月以上の減少傾向が続いており、上位3か国の大幅な減少傾向が反映されています。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国
新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
イラン・イスラム共和国 | 91,972人 | 109.5人 | 17%減少 |
イラク | 15,599人 | 38.8人 | 18%減少 |
パキスタン | 11,314人 | 5.1人 | 28%減少 |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
イラン・イスラム共和国 | 1,808人 | 2.2人 | 21%減少 |
パキスタン | 307人 | 1.0人未満 | 21%減少 |
イラク | 272人 | 1.0人未満 | 8%減少 |
ヨーロッパ地域
直近1週間で確認された新規感染者数は1,164,750人、新規死亡者数は15,403人でした。前週と比較して、新規感染者数は5%増加し、新規死亡者数は2%増加しました。6地域の中で唯一、いずれも増加が報告されました。3月から6月までの間、感染者数および死亡者数が急激に減少した後、感染者数は7月に再び急増し、3か月間はより高いレベル(変化率5%以下)で推移しています。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国
新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
イギリス | 239,781人 | 353.2人 | 同程度 |
トルコ | 197,277人 | 233.9人 | 同程度 |
ロシア連邦 | 165,623人 | 113.5人 | 13%増加 |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
ロシア連邦 | 6,018人 | 4.1人 | 6%増加 |
トルコ | 1,529人 | 1.8人 | 同程度 |
ウクライナ | 1,149人 | 2.6人 | 53%増加 |
東南アジア地域
直近1週間で確認された新規感染者数は278,657人、新規死亡者数は4,318人でした。前週と比較して、新規感染者数は19%減少し、新規死亡者数は18%減少しました。いずれも、7月下旬以降は減少傾向が続いています。地域内で唯一、ブータンのみ感染者の増加が報告されましたが、総数としては他国と比較して少ない状況です。また、ネパールのみ死亡者数の増加が報告されました。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国
新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
インド | 161,158人 | 11.7人 | 21%減少 |
タイ | 75,794人 | 108.6人 | 11%減少 |
インドネシア | 11,271人 | 4.1人 | 35%減少 |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
インド | 1,899人 | 1.0人未満 | 9%減少 |
タイ | 746人 | 1.1人 | 18%減少 |
インドネシア | 706人 | 1.0人未満 | 29%減少 |
西太平洋地域
直近1週間で確認された新規感染者数は338,603人、新規死亡者数は4,725人でした。前週と比較して、新規感染者数は12%減少し、新規死亡者数は10%減少しました。感染者は6月下旬から急激な増加が報告されていましたが、8月中旬のピーク以降は2か月近く減少傾向が続いています。これは、フィリピンとマレーシアの減少傾向が、大きく反映されています。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国
新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
フィリピン | 110,023人 | 100.4人 | 10%減少 |
マレーシア | 83,368人 | 257.6人 | 18%減少 |
ベトナム | 56,524人 | 58.1人 | 19%減少 |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
マレーシア | 1,406人 | 4.3人 | 33%減少 |
フィリピン | 1,251人 | 1.1人 | 52%増加 |
ベトナム | 1,201人 | 1.2人 | 22%減少 |
変異株の状況
2021年5月31日、WHOは、新型コロナウイルスの変異株に関する一般の人々の議論を促進するために、懸念すべき変異株(VOC)及び注目すべき変異株(VOI)の言いやすい・覚えやすい新たな呼称を発表しました(表2・表3)。
9月21日、VOIの イータ株(B.1.525)、イオタ株(B.1.526)、カッパ株(B.1.617.1)は、国や地域の関係者との協議、および9月13日のウイルス変異ワーキンググループとの協議を経て、最新の評価に基づき「旧VOI」に再分類されました。今後、これら3つの変異株は、監視を継続する変異株として評価は続きますが、いずれも世界的に検出報告数は減少しています。現時点では、他のVOCやVOIと比較して、公衆衛生上のリスクが減少していると評価されました。
VOCやVOIの影響についての理解が進み、サーベイランスや対応の必要性が高まっていることから、WHOは定義を定期的に見直し、調整しています。変異株の最新の状況については、以下のページを新たに設けてとりまとめています。
SARS-CoV-2変異株の追跡
https://www.who.int/en/activities/tracking-SARS-CoV-2-variants/
【VOCの呼称】
・イギリス由来の変異株(B.1.1.7)→ アルファ株
・南アフリカ由来の変異株(B.1.351)→ ベータ株
・ブラジル由来の変異株(P.1)→ ガンマ株
・インド由来の変異株(B.1.617.2)→ デルタ株(5月11日VOIから変更)
【VOIの呼称】
・ペルー由来の変異株(C.37)→ ラムダ株(6月14日追加)
・コロンビア由来の変異株(B.1.621)→ ミュー株(8月30日追加)
【監視を継続する変異株(旧VOI)】
・アメリカ合衆国由来の変異株(B.1.427/B.1.429)→ イプシロン株(7月6日変更)
・ブラジル由来の変異株(P.2)→ ゼータ株(7月6日変更)
・フィリピン由来の変異株(P.3)→ シータ株(7月6日変更)
・複数国由来の変異株(B.1.525) → イータ株(9月21日変更)
・アメリカ合衆国由来の変異株(B.1.526)→ イオタ株(9月21日変更)
・インド由来の変異株(B.1.617.1)→ カッパ株(9月21日変更)
表2 2021年10月5日時点の懸念すべき変異株(VOC)
表3 2021年10月5日時点の注目すべき変異株(VOI)
図2 2021年10月5日時点の懸念すべき変異株(VOC)の流行状況
9月21日、VOIの イータ株(B.1.525)、イオタ株(B.1.526)、カッパ株(B.1.617.1)は、国や地域の関係者との協議、および9月13日のウイルス変異ワーキンググループとの協議を経て、最新の評価に基づき「旧VOI」に再分類されました。今後、これら3つの変異株は、監視を継続する変異株として評価は続きますが、いずれも世界的に検出報告数は減少しています。現時点では、他のVOCやVOIと比較して、公衆衛生上のリスクが減少していると評価されました。
VOCやVOIの影響についての理解が進み、サーベイランスや対応の必要性が高まっていることから、WHOは定義を定期的に見直し、調整しています。変異株の最新の状況については、以下のページを新たに設けてとりまとめています。
SARS-CoV-2変異株の追跡
https://www.who.int/en/activities/tracking-SARS-CoV-2-variants/
【VOCの呼称】
・イギリス由来の変異株(B.1.1.7)→ アルファ株
・南アフリカ由来の変異株(B.1.351)→ ベータ株
・ブラジル由来の変異株(P.1)→ ガンマ株
・インド由来の変異株(B.1.617.2)→ デルタ株(5月11日VOIから変更)
【VOIの呼称】
・ペルー由来の変異株(C.37)→ ラムダ株(6月14日追加)
・コロンビア由来の変異株(B.1.621)→ ミュー株(8月30日追加)
【監視を継続する変異株(旧VOI)】
・アメリカ合衆国由来の変異株(B.1.427/B.1.429)→ イプシロン株(7月6日変更)
・ブラジル由来の変異株(P.2)→ ゼータ株(7月6日変更)
・フィリピン由来の変異株(P.3)→ シータ株(7月6日変更)
・複数国由来の変異株(B.1.525) → イータ株(9月21日変更)
・アメリカ合衆国由来の変異株(B.1.526)→ イオタ株(9月21日変更)
・インド由来の変異株(B.1.617.1)→ カッパ株(9月21日変更)
表2 2021年10月5日時点の懸念すべき変異株(VOC)
表3 2021年10月5日時点の注目すべき変異株(VOI)
図2 2021年10月5日時点の懸念すべき変異株(VOC)の流行状況
出典
COVID-19 Situation reports
COVID-19 Weekly Epidemiological Update: 5 October 2021
https://www.who.int/publications/m/item/weekly-epidemiological-update-on-covid-19---5-october-2021
COVID-19 Weekly Epidemiological Update: 5 October 2021
https://www.who.int/publications/m/item/weekly-epidemiological-update-on-covid-19---5-october-2021