新型コロナウイルス感染症の世界の状況報告
COVID-19 Weekly Epidemiological Update(WHO) 2021年11月2日
世界の概況
2021年10月31日時点で、直近1週間(10月25日~31日)の新規感染者数は302万1,634人が報告され、3%とわずかながら前週に引き続き増加しました(図1)。ヨーロッパ地域(6%増)、アメリカ地域(3%増)、西太平洋地域(2%増)の3地域で増加しました。減少幅が最も大きかったのは東地中海地域の12%で、アフリカ地域と東南アジア地域は9%の減少が報告されました。
新規死亡者数は5万477人が報告されて8%の増加となり、こちらも前週に引き続いての増加となりました。東南アジア地域で50%の大幅な増加が報告され、ヨーロッパ地域は12%、西太平洋地域は10%の増加が報告されました。減少幅が最も大きかったのはアフリカ地域の13%で、アメリカ地域と東地中海地域は4%の減少が報告されました。
WHOに報告されている全世界の累積感染者数は2億4,629万7,757人、累積死亡者数は499万4,113人となりました。いずれも、2週連続で増加しました。
人口10万人当たりの新規感染者数が多いのは、ヨーロッパ地域(192.3人)とアメリカ地域(71.8人)で、人口10万人当たりの新規死亡者数が多いのは、ヨーロッパ地域(2.6人)とアメリカ地域(1.5人)でした。いずれも、前週と同地域でした。
直近1週間における新規感染者数が多い上位5か国は、アメリカ合衆国(528,455人:7%増加)、イギリス(285,028人:14%減少)、ロシア連邦(272,147人:9%増加)、トルコ(182,027人:8%減少)、ウクライナ(152,897人:14%増加)でした。
新規死亡者数は5万477人が報告されて8%の増加となり、こちらも前週に引き続いての増加となりました。東南アジア地域で50%の大幅な増加が報告され、ヨーロッパ地域は12%、西太平洋地域は10%の増加が報告されました。減少幅が最も大きかったのはアフリカ地域の13%で、アメリカ地域と東地中海地域は4%の減少が報告されました。
WHOに報告されている全世界の累積感染者数は2億4,629万7,757人、累積死亡者数は499万4,113人となりました。いずれも、2週連続で増加しました。
人口10万人当たりの新規感染者数が多いのは、ヨーロッパ地域(192.3人)とアメリカ地域(71.8人)で、人口10万人当たりの新規死亡者数が多いのは、ヨーロッパ地域(2.6人)とアメリカ地域(1.5人)でした。いずれも、前週と同地域でした。
直近1週間における新規感染者数が多い上位5か国は、アメリカ合衆国(528,455人:7%増加)、イギリス(285,028人:14%減少)、ロシア連邦(272,147人:9%増加)、トルコ(182,027人:8%減少)、ウクライナ(152,897人:14%増加)でした。
図1 2021年10月31日時点の週別・WHO管轄地域別のCOVID-19感染者数及び世界の死亡者数の推移
表1 2021年10月31日時点のWHO管轄地域別の新規・累積COVID-19確定症例数及び死亡者数
WHO管轄地域別の概況
アフリカ地域
直近1週間で確認された新規感染者数は1万9,869人、新規死亡者数は729人でした。前週と比較して、新規感染者数は9%減少し、新規死亡者数は13%減少しました。地域内の複数の国々(17/49:34%)において、10%以上の感染者の増加が報告され、ルワンダ(100%増)、コモロ(94%増)、エリトリア(68%増)で大幅に増加しました。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国
新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
エチオピア | 3,313人 | 2.9人 | 14%増加 |
南アフリカ共和国 | 2,554人 | 4.3人 | 19%減少 |
カメルーン | 2,210人 | 8.3人 | 17%増加 |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
南アフリカ共和国 | 249人 | 1.0人未満 | 24%減少 |
エチオピア | 118人 | 1.0人未満 | 13%減少 |
カメルーン | 86人 | 1.0人未満 | 72%増加 |
アメリカ地域
直近1週間で確認された新規感染者数は73万4,610人、新規死亡者数は1万5,283人でした。前週と比較して、新規感染者数は3%増加し、新規死亡者数は4%減少しました。地域全体の感染者は8月末から減少傾向が続いていましたが、今回の報告でわずかながら増加に転じました。一部の国々(11/56:19%)では増加が報告され、ケイマン諸島(145%増)、ウルグアイ(38%増)、プエルトリコ(21%増)で大幅に増加しました。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国
新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
アメリカ合衆国 | 528,455人 | 159.7人 | 7%増加 |
ブラジル | 81,558人 | 38.4人 | 同程度 |
メキシコ | 18,880人 | 14.6人 | 6%減少 |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
アメリカ合衆国 | 9,550人 | 2.9人 | 6%減少 |
ブラジル | 2,323人 | 1.1人 | 6%減少 |
メキシコ | 1,539人 | 1.2人 | 40%増加 |
東地中海地域
直近1週間で確認された新規感染者数は11万3,790人、新規死亡者数は2,320人でした。前週と比較して、新規感染者数は12%減少し、新規死亡者数は4%減少しました。いずれも、8月中旬からほぼ2か月間、減少傾向が続いています。地域内の一部の国々(5/22:23%)において、10%以上の感染者の増加が報告されました。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国
新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
イラン・イスラム共和国 | 65,541人 | 76.8人 | 18%減少 |
ヨルダン | 11,060人 | 108.4人 | 15%増加 |
イラク | 9,175人 | 22.8人 | 19%減少 |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
イラン・イスラム共和国 | 1,074人 | 1.3人 | 9%減少 |
エジプト | 350人 | 1.0人未満 | 11%増加 |
イラク | 201人 | 1.0人未満 | 同程度 |
ヨーロッパ地域
直近1週間で確認された新規感染者数は179万4,518人、新規死亡者数は2万4,243人でした。前週と比較して、新規感染者数は6%増加し、新規死亡者数は12%増加しました。昨年12月の感染者数と同程度に増加しており、地域全体の新規感染者数は、世界全体の59%を占めています。9月末からの増加傾向は今週も続いており、地域内の半数近い国々(25/61:41%)で、感染者の増加が報告されました。死亡者も、7月末から増加傾向が続いています。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国
新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
イギリス | 285,028人 | 419.9人 | 14%減少 |
ロシア連邦 | 272,147人 | 186.5人 | 9%増加 |
トルコ | 182,027人 | 215.8人 | 8%減少 |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
ロシア連邦 | 7,938人 | 5.4人 | 9%増加 |
ウクライナ | 3,857人 | 8.8人 | 19%増加 |
ルーマニア | 3,072人 | 15.9人 | 6%増加 |
東南アジア地域
直近1週間で確認された新規感染者数は18万759人、新規死亡者数は4,966人でした。前週と比較して、新規感染者数は9%減少し、新規死亡者数は50%と大幅に増加しました。感染者は8月初旬から3か月以上の減少傾向が続いています。死亡者は前週から引き続き増加しており、特にインドの増加が顕著で、地域全体の79%を占めています。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国
新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
インド | 97,832人 | 7.1人 | 9%減少 |
タイ | 61,542人 | 88.2人 | 8%減少 |
ミャンマー | 5,810人 | 10.7人 | 9%減少 |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
インド | 3,917人 | 0.3人 | 83%増加 |
タイ | 450人 | 0.6人 | 7%減少 |
インドネシア | 200人 | 0.1人 | 21%減少 |
西太平洋地域
直近1週間で確認された新規感染者数は17万8,088人、新規死亡者数は2,936人でした。前週と比較して、新規感染者数は2%増加し、新規死亡者数は10%増加しました。8月中旬のピーク以降2か月間、減少傾向が続いていましたが、今回の報告で増加に転じました。死亡者が多い上位3か国は、地域全体の81%を占めています。
新規感染者が多い上位3か国
新規死亡者が多い上位3か国
新規感染者が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
マレーシア | 40,613人 | 125.5人 | 同程度 |
フィリピン | 32,222人 | 29.4人 | 16%減少 |
ベトナム | 30,708人 | 31.5人 | 28%増加 |
新規死亡者が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
フィリピン | 1,459人 | 1.3人 | 45%増加 |
マレーシア | 522人 | 1.6人 | 5%増加 |
ベトナム | 410人 | 0.4人未満 | 16%減少 |
変異株の状況
2021年5月31日、WHOは、新型コロナウイルスの変異株に関する一般の人々の議論を促進するために、懸念すべき変異株(VOC)及び注目すべき変異株(VOI)の言いやすい・覚えやすい新たな呼称を発表しました(表2・表3)。
表2 2021年11月2日時点の懸念すべき変異株(VOC)
【VOCの呼称】
・イギリス由来の変異株(B.1.1.7)→ アルファ株(2020年12月18日指定)
・南アフリカ由来の変異株(B.1.351)→ ベータ株(2020年12月18日指定)
・ブラジル由来の変異株(P.1)→ ガンマ株(2021年1月11日追加)
・インド由来の変異株(B.1.617.2)→ デルタ株(2021年5月11日VOIから変更)
表3 2021年11月2日時点の注目すべき変異株(VOI)
WHOは、加盟国の保健当局や研究機関、研究者と協力して、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株が感染や病気の特徴を変えていないか、また、各国当局が適用する公衆衛生・社会的措置(PHSM)の効果に影響を与えていないかを定期的に評価しています。WHOはこの評価に基づき、定義を見直して調整しています。変異株の最新の状況については、以下のページを新たに設けてとりまとめています。
SARS-CoV-2変異株の追跡
https://www.who.int/en/activities/tracking-SARS-CoV-2-variants/
最近の変化と世界レベルでのVOCの地理的分布をよりよく反映させるために、VOC有病率の推定値と、これまでにWHOに公式または非公式に報告されたVOCの検出に関するデータを重ね合わせた改訂版の世界地図を示します(図2)。
国別の有病率は、GISAIDにアップロードされた過去60日以内の検体採取日のSARS-CoV-2の全配列の割合として算出され、現在のVOCの有病率が高い場所を示す3つのグループ(優位:51%以上、中程度:11%~50%、低度:10%以下)に分類しました。
図2 2021年11月2日時点における直近60日間のVOCの流行状況
表2 2021年11月2日時点の懸念すべき変異株(VOC)
【VOCの呼称】
・イギリス由来の変異株(B.1.1.7)→ アルファ株(2020年12月18日指定)
・南アフリカ由来の変異株(B.1.351)→ ベータ株(2020年12月18日指定)
・ブラジル由来の変異株(P.1)→ ガンマ株(2021年1月11日追加)
・インド由来の変異株(B.1.617.2)→ デルタ株(2021年5月11日VOIから変更)
表3 2021年11月2日時点の注目すべき変異株(VOI)
【VOIの呼称】
・ペルー由来の変異株(C.37)→ ラムダ株(2021年6月14日追加)
・コロンビア由来の変異株(B.1.621)→ ミュー株(2021年8月30日追加)
・ペルー由来の変異株(C.37)→ ラムダ株(2021年6月14日追加)
・コロンビア由来の変異株(B.1.621)→ ミュー株(2021年8月30日追加)
WHOは、加盟国の保健当局や研究機関、研究者と協力して、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株が感染や病気の特徴を変えていないか、また、各国当局が適用する公衆衛生・社会的措置(PHSM)の効果に影響を与えていないかを定期的に評価しています。WHOはこの評価に基づき、定義を見直して調整しています。変異株の最新の状況については、以下のページを新たに設けてとりまとめています。
SARS-CoV-2変異株の追跡
https://www.who.int/en/activities/tracking-SARS-CoV-2-variants/
最近の変化と世界レベルでのVOCの地理的分布をよりよく反映させるために、VOC有病率の推定値と、これまでにWHOに公式または非公式に報告されたVOCの検出に関するデータを重ね合わせた改訂版の世界地図を示します(図2)。
国別の有病率は、GISAIDにアップロードされた過去60日以内の検体採取日のSARS-CoV-2の全配列の割合として算出され、現在のVOCの有病率が高い場所を示す3つのグループ(優位:51%以上、中程度:11%~50%、低度:10%以下)に分類しました。
図2 2021年11月2日時点における直近60日間のVOCの流行状況
出典
COVID-19 Situation reports
COVID-19 Weekly Epidemiological Update: 2 November 2021
https://www.who.int/publications/m/item/weekly-epidemiological-update-on-covid-19---2-november-2021
COVID-19 Weekly Epidemiological Update: 2 November 2021
https://www.who.int/publications/m/item/weekly-epidemiological-update-on-covid-19---2-november-2021