新型コロナウイルス感染症の世界の状況報告

COVID-19 Weekly Epidemiological Update(WHO) 2021年11月30日

世界の概況

2021年11月28日時点で、直近1週間(11月22日~28日)の新規感染者数は379万9,878人が報告され、5週連続の増加後に前週と同程度となりました(図1)。アフリカ地域で南アフリカ共和国を中心に93%と大幅に増加し、西太平洋地域で24%、ヨーロッパ地域で7%増加しました。減少幅が最も大きかったのは、アメリカ地域の24%で、東南アジア地域は11%減少しました。
 
新規死亡者数は4万7,524人が報告され、2週連続の増加から10%の減少に転じました。東南アジア地域で26%増と大幅に増加し、アフリカ地域で7%増加しました。減少幅が最も大きかったのは、アメリカ地域の36%で、東地中海地域は8%減少しました。
 
WHOに報告されている全世界の累積感染者数は2億6,049万3,573人、累積死亡者数は519万5,354人となりました。
 
人口10万人当たりの新規感染者数が多いのは、ヨーロッパ地域(285.2人)とアメリカ地域(64.5人)で、人口10万人当たりの新規死亡者数が多いのは、ヨーロッパ地域(3.1人)でした。ヨーロッパ地域以外は、人口10万人当たりの新規死亡者数が1人未満となりました。
 
直近1週間における新規感染者数が多い上位5か国は、アメリカ合衆国(464,800人:31%減少)、ドイツ(406,754人:22%増加)、イギリス(304,374人:8%増加)、ロシア連邦(239,215人:8%減少)、フランス(190,402人:62%増加)でした。
 

図1 2021年11月28日時点の週別・WHO管轄地域別のCOVID-19感染者数及び世界の死亡者数の推移



表1 2021年11月28日時点のWHO管轄地域別の新規・累積COVID-19確定症例数及び死亡者数

WHO管轄地域別の概況

アフリカ地域

直近1週間で確認された新規感染者数は4万3,730人、新規死亡者数は525人でした。前週と比較して、新規感染者数は93%増加し、新規死亡者数は7%増加しました。6月下旬から減少を続けていた感染者が前週に急増しており、新規感染者の43%は南アフリカ共和国から報告されました。地域内の半数近い国々(21/49:43%)において、10%以上の感染者の増加が報告されました。南アフリカ共和国は、740%の急激な増加が報告されました。また、地域内の複数の国々(11/49:22%)で10%以上の死亡者の増加が報告されました。
 
新規感染者が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
南アフリカ共和国 29,373人 49.5人 740%増加
モーリシャス 3,474人 273.2人 63%増加
レユニオン 1,875人 209.4人 43%増加
 
新規死亡者が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
南アフリカ共和国 219人 1.0人未満 128%増加
エチオピア 64人 1.0人未満 8%増加
モーリシャス 50人 3.9人 52%増加
 

アメリカ地域

直近1週間で確認された新規感染者数は65万9,605人、新規死亡者数は9,397人でした。前週と比較して、新規感染者数は24%減少し、新規死亡者数は36%減少しました。地域内の複数の国々(15/56:27%)において、10%以上の感染者の増加が報告されましたが、アメリカ合衆国が31%と大幅に減少したため、地域全体の感染者は大幅に減少しました。また、同国は死亡者も52%と大幅に減少したため、地域全体の死亡者も大幅に減少しました。
 
新規感染者が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
アメリカ合衆国 464,800人 140.4人 31%減少
ブラジル 64,313人 30.3人 同程度
カナダ 19,737人 52.3人 16%増加
 
新規死亡者が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
アメリカ合衆国 5,003人 1.5人 52%減少
ブラジル 1,587人 1.0人未満 16%減少
記載なし      
 

東地中海地域

直近1週間で確認された新規感染者数は9万4,382人、新規死亡者数は1,772人でした。前週と比較して、新規感染者数は2%増加し、新規死亡者数は8%減少しました。感染者は8月中旬から3か月間、減少傾向が続いていましたが、今回の報告で増加に転じました。地域内の複数の国々(7/22:32%)で10%以上の感染者の増加が報告されており、スーダン(143%増)、チュニジア(80%増)、レバノン(69%増)で大幅に増加しました。
 
新規感染者が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
イラン・イスラム共和国 32,003人 38.1人 23%減少
ヨルダン 28,023人 274.7人 30%増加
レバノン 9,401人 137.7人 69%増加
 
新規死亡者が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
イラン・イスラム共和国 697人 1.0人未満 14%減少
エジプト 433人 1.0人未満 同程度
ヨルダン 168人 1.6人 27%増加
 

ヨーロッパ地域

直近1週間で確認された新規感染者数は266万957人、新規死亡者数は2万9,096人でした。前週と比較して、新規感染者数は7%増加し、新規死亡者数は2%減少しました。地域全体の新規感染者数は、世界全体の70%を占めています。9月末からの増加傾向は2か月続いており、地域内の複数の国々(23/61:38%)において、10%以上の感染者の増加が報告されました。ドイツの感染者が40万人を超えました。
 
新規感染者が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
ドイツ 406,754人 489.1人 22%増加
イギリス 304,374人 448.4人 8%増加
ロシア連邦 239,215人 163.9人 8%減少
 
新規死亡者が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
ロシア連邦 8,660人 5.9人 同程度
ウクライナ 3,845人 8.8人 16%減少
ポーランド 2,214人 5.8人 13%増加
 

東南アジア地域

直近1週間で確認された新規感染者数は12万704人、新規死亡者数は3,574人でした。前週と比較して、新規感染者数は11%減少し、新規死亡者数は26%増加しました。地域全体の新規感染者は、8月初旬から4か月の減少傾向が続いていますが、スリランカ(16%増)、ブータン(14%増)、バングラデシュ(7%増)の3か国で増加しました。また、ネパール(42%増)、インド(36%増)、スリランカ(35%増)の3か国で死亡者が増加しました。
 
新規感染者が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
インド 62,110人 4.5人 15%減少
タイ 42,232人 60.5人 9%減少
スリランカ 5,894人 27.5人 16%増加
 
新規死亡者が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
インド 2,892人 1.0人未満 36%増加
タイ 320人 1.0人未満 9%減少
スリランカ 178人 1.0人未満 35%増加
 

西太平洋地域

直近1週間で確認された新規感染者数は22万501人、新規死亡者数は3,160人でした。前週と比較して、新規感染者数は24%増加し、新規死亡者数は同程度でした。地域内の一部の国々(6/27:22%)で10%以上の感染者の増加が報告されており、北マリアナ諸島(222%増)、ベトナム(70%増)、ブルネイ・ダルサラーム国(40%増)、韓国(28%増)、オーストラリア(15%増)、ラオス人民民主共和国(13%)で大幅に増加しました。
 
新規感染者が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
ベトナム 112,779人 115.9人 70%増加
マレーシア 37,830人 116.9人 7%減少
韓国 25,466人 49.7人 28%増加
 
新規死亡者が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
フィリピン 1,302人 1.2人 20%減少
ベトナム 1,007人 1.0人 51%増加
マレーシア 302人 1.0人未満 13%減少
 

変異株の状況

2021年5月31日、WHOは、新型コロナウイルスの変異株に関する一般の人々の議論を促進するために、懸念すべき変異株(VOC)及び注目すべき変異株(VOI)の言いやすい・覚えやすい新たな呼称を発表しました(表2・表3)。
 
2021年11月26日、SARS-CoV-2ウイルス変異に関する技術諮問グループ(TAG-VE)は、B.1.1.529の変異株をVOCに指定すべきであるとWHOに助言しました。この変異株は、「オミクロン」という名前が付けられました。TAG-VEに提示された証拠に基づき、オミクロン株をVOCに指定しました。オミクロン株には複数の変異(スパイクタンパク質の26~32個を含む)があるため、感染力が高い可能性、ある程度の免疫(ワクチン接種効果)逃避の可能性が示唆されています。B.1.1.529亜型は、11月24日に南アフリカからWHOに初めて報告されましたが、研究所で最初に確認された症例は、11月9日に採取された検体から同定されました。
 
WHOは11月28日、加盟国向けの優先行動を記載したテクニカルブリーフを発表しました。オミクロン株の症例は、すでに多くの国々で確認されており、さらに拡大する可能性が高いと予測されています。オミクロン株は、これまでのVOCと比較して、免疫逃避の可能性があること、感染性が高い可能性があることを示唆する予備的な証拠があるため、さらなる急増につながる可能性があります。この結果、COVID-19 のパンデミックに関連して新たにVOCに指定されたオミクロン株に関する世界的なリスクは非常に高いと考えられます。しかし、この評価の根拠にはかなりの不確実性が含まれており、より多くの情報を基に更新する必要があります。
 
WHOは、利用可能な証拠に基づいて、加盟国のための優先的な行動リストを推奨しています。現在、WHOは世界中の多くの研究者と協力して、オミクロン株の分析を深める努力を続けています。進行中の研究には、感染性の評価、重症度を含む臨床症状、再感染のリスク、この変異株に対するワクチン、診断検査、治療薬の性能などが含まれています。
 

表2 2021年11月30日時点の懸念すべき変異株(VOC)

【VOCの呼称】
・イギリス由来の変異株(B.1.1.7)→ アルファ株(2020年12月18日指定)
・南アフリカ由来の変異株(B.1.351)→ ベータ株(2020年12月18日指定)
・ブラジル由来の変異株(P.1)→ ガンマ株(2021年1月11日追加)
・インド由来の変異株(B.1.617.2)→ デルタ株(2021年5月11日VOIから変更)
・複数国由来の変異株(B.1.1.529)→ オミクロン株(2021年11月26日指定)
 

表3 2021年11月30日時点の注目すべき変異株(VOI)
【VOIの呼称】
・ペルー由来の変異株(C.37)→ ラムダ株(2021年6月14日追加)
・コロンビア由来の変異株(B.1.621)→ ミュー株(2021年8月30日追加)

 
WHOは、加盟国の保健当局や研究機関、研究者と協力して、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株が感染や病気の特徴を変えていないか、また、各国当局が適用する公衆衛生・社会的措置(PHSM)の効果に影響を与えていないかを定期的に評価しています。WHOはこの評価に基づき、定義を見直して調整しています。変異株の最新の状況については、以下のページを新たに設けてとりまとめています。
 
SARS-CoV-2変異株の追跡
https://www.who.int/en/activities/tracking-SARS-CoV-2-variants/
 
最近の変化と世界レベルでのVOCの地理的分布をよりよく反映させるために、VOC有病率の推定値と、これまでにWHOに公式または非公式に報告されたVOCの検出に関するデータを重ね合わせた改訂版の世界地図を示します(図2)。新たなVOCに指定されたオミクロン株については、一部の限定された国々で報告されています(図3)。
 
国別の有病率は、GISAIDにアップロードされた過去60日以内の検体採取日のSARS-CoV-2の全配列の割合として算出され、現在のVOCの有病率が高い場所を示す3つのグループ(優位:51%以上、中程度:11%~50%、低度:10%以下)に分類しました。
 
現在のSARS-CoV-2の世界的な遺伝子疫学の特徴は、デルタ株が優位になっており、その他の変異株の有病率は低下しています。デルタ株はほとんどの国で、他のVOCを含む他の変異株を凌駕している状況です。過去60日間に採取されてGISAIDにアップロードされた83万9,119検体のうち、83万7,253検体(99.8%)がデルタ株、314検体(0.1%未満)がガンマ株、160検体(0.1%未満)がアルファ株、159検体(0.1%未満)がオミクロン株、14検体(0.1%未満)がベータ株、残り0.1%がその他の流通している変異株(VOIの ミュー株とラムダ株を含む)でした。特に南米諸国では、デルタ株の増加が緩やかとなっており、他の型(ガンマ株、ラムダ株、ミュー株など)が、依然として報告の大部分を占めています。オミクロン株が最初に検出された南アフリカでは、同株の検出と同時に、複数の州で感染者が急激に増加しています。
 
世界のVOC分布は、国ごとの検査戦略、解析能力の違い、報告のタイミングなど、サーベイランスの限界を十分に考慮して解釈する必要があります。
  
 
図2 2021年11月30日時点における直近60日間のVOCの流行状況



図3 2021年11月30日(午後4時)時点におけるオミクロン株が確認された地域

出典

COVID-19 Situation reports
COVID-19 Weekly Epidemiological Update: 30 November 2021
https://www.who.int/publications/m/item/weekly-epidemiological-update-on-covid-19---30-november-2021

翻訳協力:関西空港検疫所