エボラウイルス病―コンゴ民主共和国(流行終息宣言)

2021年12月16日

ブラザビル(Brazzaville)/キンシャサ(Kinshasa) - 10月にコンゴ民主共和国の北キヴ(North Kivu)州で発生したエボラウイルス病の流行(2021年2回目)は、最後の患者が退院してから42日間が終了、すなわち2回の潜伏期間の終了時点で新たな患者の報告がなかったことから、国家保健当局が本日終結を宣言しました。
 
10月8日に同国北キヴ州のベニ(Beni)保健区域で新たな患者が確認され宣言されたアウトブレイクでは、死亡者6名を含む計11名(確定8名、疑い3名)の患者が報告されました。これは同国の13回目のアウトブレイクで、2年間続いた2018年のアウトブレイクと同じ地域で発生しました。
 
最初の症例が検出されたわずか5日後に開始されたワクチンキャンペーンで、1800人以上が予防接種を受けました。今回の発生において、最近認可されたエボラウイルス病に対するワクチンであるエルベボ(ERVEBO)が同国で初めて使用されました。ERVEBOは、人道的見地から使用されたワクチンですが、認可されたワクチンであるため、展開や運用面において煩雑さは少なく済みました。
 
世界保健機関(WHO)アフリカ地域事務局長のMatshidiso Moeti博士は、「より強力な疾病サーベイランス、コミュニティとのつながり、的を絞ったワクチン接種、迅速な対応により、この地域でより効果的にエボラを封じ込めることができます」と述べています。「今回の流行において、コンゴ民主共和国は広範な感染を抑え、人命を救うことができました。重要な教訓は、アウトブレイクを経験するたびに学び、適用されています。」とも述べています。
 
接触者の追跡、検査、疾病サーベイランス、地域協力活動などの主要なアウトブレイク対策からなる迅速な対応により、最初の患者が発見されたベニ(Beni)市内にアウトブレイクを封じ込めることことができました。WHOは同国を支援するため、専門家や物資を派遣し、資金を拠出することで流行の収束を図りました。
 
しかし、ベニの一部では、予測不可能かつ時に不安定な治安のため、医療従事者やその他の最前線で活動を行う者が、リスクの高い接触者の監視やワクチン投与のために治安の悪い地域にアクセスすることができず、一部の地域での対応を妨げる結果となりました。
 
性的虐待と搾取の防止は、本流行時の対策の中でも中核となるものでした。専門家が派遣され、WHO職員とパートナーに不適切な行為や虐待を防ぐための研修を行いました。現場作業に携わるすべての人が研修を受け、各パートナー機関は行動規範に署名しました。トレーナーは、保健当局が活動する地域の住民と直接関わり、性的搾取や虐待、そしてそれを安全に報告する方法についての認識を高めました。また、ラジオスポットや現地語のパンフレットもメッセージの普及に役立ちました。
 
現在、流行は終息したと宣言されていますが、保健当局は監視体制を維持し、流行が再発した場合に迅速に対応できるような体制を整えています。大規模な流行が発生した後に、散発的な患者の発生が起こることは珍しいことではありません。同国の国立生物医学研究所 (National Institute of Biomedical Research )が実施したゲノム解析の結果、今回終息したばかりのアウトブレイクで検出された最初のエボラウイルス病患者は、2018~2020年のエボラ出血熱のウイルスが地域社会に残存していた結果、新たな再燃を起こしたためである可能性が高いことが判明しました。
 
同国では、エボラウイルス病生存者プログラムを立ち上げ、現在、北キヴ州の前回の流行からの1100人以上の登録者がいます。今回終息したアウトブレイクからの生存者2名も生存者プログラムに登録されました。今後18カ月間、彼らは毎月、医療評価、心理的、栄養的サポートを含む健診を受ける予定です。

出典

WHO Africa / Democratic Republic of the Congo declares Ebola outbreak over...
https://www.afro.who.int/news/democratic-republic-congo-declares-ebola-outbreak-over