新型コロナウイルス感染症の世界の状況報告

COVID-19 Weekly Epidemiological Update(WHO) 2022年1月18日

世界の概況

2021年1月16日時点で、直近1週間(1月10日~1月16日)に報告された新規感染者数は1,873万9,636人で、前週と比較して20%増加しました。新規死亡者数は4万5,543人報告され、前週と比較して4%増加しました(図1)。
 
WHOに報告されている全世界の累積感染者数は3億2,361万370人、累積死亡者数は552万9,693人となりました(表1)。
 
新規感染者数は、アフリカ地域(27%減)を除く全ての地域で増加しており、最も大きな増加は東南アジア地域の145%で、東地中海地域は68%、西太平洋地域は38%、アメリカ地域は17%、ヨーロッパ地域は10%の増加となりました。新規死亡者数も、アフリカ地域(4%減)を除く全ての地域で増加しており、最も大きな増加は東南アジア地域の12%で、アメリカ地域は7%、西太平洋地域は5%、ヨーロッパ地域は3%、東地中海地域は1%の増加となりました。
 
直近1週間における新規感染者数が多い上位5か国は、アメリカ合衆国(4,688,466人:同程度)、フランス(2,012,943人:26%増加)、インド(1,594,160人:150%増加)、イタリア(1,268,153人:25%増加)、イギリス(813,326人:33%減少)でした。

図1 2022年1月16日時点の週別・WHO管轄地域別のCOVID-19感染者数及び世界の死亡者数の推移


表1 2022年1月16日時点のWHO管轄地域別の新規・累積COVID-19確定症例数及び死亡者数


 

WHO管轄地域別の概況

アフリカ地域

アフリカ地域
直近1週間の新規感染者数は19万440人、新規死亡者数は2,038人でした。前週と比較して新規感染者数は27%減少し、新規死亡者数は4%減少しました。感染者数の直近のピークは昨年12月でしたが、地域内の1/3の国々(13/41:32%)において、10%以上の感染者の増加が報告されています。マヨットで229%(2,760人→9,086人)、中央アフリカで197%(291人→865人)、エリトリアで107%(277人→573人)と高い増加率が報告されました。
 
新規感染者が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
南アフリカ共和国 35,121人 59.2人 34%減少
レユニオン 16,256人 1,815.7人 74%増加
ザンビア 13,452人 73.2人 43%減少
 
新規死亡者が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
南アフリカ共和国 907人 1.5人 23%減少
エチオピア 111人 1.0人未満 52%増加
ナミビア 106人 4.2人 63%増加
 

 

アメリカ地域

直近1週間の新規感染者数は719万8,756人、新規死亡者数は1万5,160人でした。前週と比較して、新規感染者数は17%増加し、新規死亡者数は7%増加しました。地域内のほとんどの国々(39/56:70%)において、10%以上の感染者の増加が報告されています。マルティニークで638%(1,385人→13,540人)、エルサルバドルで365%(289人→1,343人)、エクアドルで308%(10,532人→42,992人)と高い増加率が報告されました。
 
新規感染者が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
アメリカ合衆国 4,688,466人 1,416.4人 同程度
アルゼンチン 797,136人 1,763.7人 73%増加
ブラジル 476,981人 224.4人 193%増加
 
新規死亡者が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
アメリカ合衆国 10,412人 3.1人 5%減少
ブラジル 974人 1.0人未満 27%増加
カナダ 523人 1.4人 50%増加
 

 

東地中海地域

直近1週間で確認された新規感染者数は34万5,680人、新規死亡者数は1,071人でした。前週と比較して、新規感染者数は68%増加し、新規死亡者数は1%増加しました。リビアとソマリアを除く全ての国々において、新規感染者数が増加しました。
 
新規感染者が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
モロッコ 46,104人 124.9人 45%増加
レバノン 45,231人 662.7人 19%増加
チュニジア 39,487人 334.1人 194%増加
 
新規死亡者が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
イラン・イスラム共和国 197人 1.0人未満 5%減少
エジプト 185人 1.0人未満 9%増加
チュニジア 122人 1.0人 54%増加
 

ヨーロッパ地域

直近1週間で確認された新規感染者数は828万1,997人、新規死者数は2万1,785人でした。前週と比較して、新規感染者数は10%増加し、新規死者数は3%増加しました。地域内の半数以上の国々(39/61:64%)において、10%以上の感染者の増加が報告されています。カザフスタンで723%(6,672人→54,927人)、ウズベキスタンで287%(1,223人→4,744人)、コソボで255%(842人→2,990人)と高い増加率が報告されました。
 
新規感染者が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
フランス 2,012,943人 3,095.0人 26%増加
イタリア 1,268,153人 2,126.3人 25%増加
イギリス 813,326人 1,198.1人 33%減少
 
新規死亡者が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
ロシア連邦 5,157人 3.5人 9%減少
ポーランド 2,563人 6.8人 19%増加
イタリア 1,975人 3.3人 44%増加
 

東南アジア地域

直近1週間で確認された新規感染者数は171万1,154人で、新規死亡者数は2,579人でした。前週と比較して、新規感染者数は145%増加し、新規死亡者数は12%増加しました。東ティモール(58%減)を除く全ての国々において、新規感染者数の増加が報告されています。ネパールで486%(3,603人→21,149人)、バングラデシュで231%(7,234人→24,011人)、モルディブで176%(2,000人→5,529人)と高い増加率が報告されました。
 
新規感染者が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
インド 1,594,160人 115.5人 150%増加
タイ 54,935人 78.7人 37%増加
バングラデシュ 24,011人 14.6人 232%増加
 
新規死亡者が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
インド 2,276人 1.0人未満 13%増加
タイ 100人 1.0人未満 5%減少
スリランカ 92人 1.0人未満 8%減少

 

西太平洋地域

直近1週間で確認された新規感染者数は101万1,609人、新規死亡者数は2,910人でした。前週と比較して、新規感染者数は38%増加し、新規死亡者数は5%増加しました。地域内の約半数の国々(12/27:44%)において、10%以上の感染者の増加が報告されています。パラオで820%(5人→46人)、仏領ポリネシアで335%(109人→475人)、日本で312%(23,168人→95,498人)、と高い増加率が報告されました。
 
新規感染者が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
オーストラリア 472,564人 1,853.2人 12%増加
フィリピン 231,502人 211.3人 159%増加
ベトナム 131,468人 135.1人 同程度
 
新規死亡者が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
ベトナム 1,363人 1.4人 10%減少
フィリピン 723人 1.0人未満 23%増加
オーストラリア 288人 1.1人 213%増加

 

変異株の状況

2021年5月31日、WHOは、懸念すべき変異株(VOC)及び注目すべき変異株(VOI)の言いやすい・覚えやすい新たな呼称を発表しました(表2・表3)
 
表2 2022年1月16日時点の懸念すべき変異株(VOC)


【VOCの呼称】
・イギリス由来の変異株(B.1.1.7)→ アルファ株(2020年12月18日指定)
・南アフリカ由来の変異株(B.1.351)→ ベータ株(2020年12月18日指定)
・ブラジル由来の変異株(P.1)→ ガンマ株(2021年1月11日追加)
・インド由来の変異株(B.1.617.2)→ デルタ株(2021年5月11日VOIから変更)
・複数国由来の変異株(B.1.1.529)→ オミクロン株(2021年11月26日指定)
 
表3 2022年1月16日時点の注目すべき変異株(VOI)


【VOIの呼称】
・ペルー由来の変異株(C.37)→ ラムダ株(2021年6月14日追加)
・コロンビア由来の変異株(B.1.621)→ ミュー株(2021年8月30日追加)
 
WHOは定期的な評価に基づき、定義を見直して調整しています。変異株の最新の状況については、以下のページにとりまとめています。
 
SARS-CoV-2変異株の追跡
 https://www.who.int/en/activities/tracking-SARS-CoV-2-variants/

最近の変化と世界レベルでのVOCの地理的分布をよりよく反映させるために、過去30日間におけるデルタ株とオミクロン株の流行状況を示しています(図2)。
 
 
図2 2022年1月18日時点における過去30日間のデルタ株及びオミクロン株の流行状況


現在のSARS-CoV-2の世界的な遺伝子疫学の特徴は、オミクロン株が急速に拡大しており、デルタ株の流行は減少しています。また、アルファ株、ベータ株、ガンマ株は、非常に低いレベルの流行となっています。当初、オミクロン株は旅行者やそれに関係した症例の報告でしたが、現在は、多くの国々でクラスターや地域内の流行(市中感染)が報告されています。オミクロン株には、Pango系統のB.1.1.529、BA.1、BA.2、BA.3が含まれています。BA.1は2022年1月18日現在、GISAIDに提出された配列の99%以上を占めています。これらの変異株は、全て「オミクロン株」の傘下としてWHOが監視を続けています。
 
過去30日間に採取されてGISAIDにアップロードされた40万5,739検体のうち、29万1,600検体(71.9%)がオミクロン株、11万3,652検体(28%)がデルタ株、47検体(0.1%未満)がガンマ株、10検体(0.1%未満)がアルファ株、3検体(0.1%未満)がその他の流行している変異株(VOIの ミュー株とラムダ株を含む)でした。
 

出典

COVID-19 Situation reports
COVID-19 Weekly Epidemiological Update: 18 January 2022
https://www.who.int/publications/m/item/weekly-epidemiological-update-on-covid-19---18-january-2022

 

翻訳協力:関西空港検疫所