新型コロナウイルス感染症の世界の状況報告

COVID-19 Weekly Epidemiological Update(WHO) 2022年2月1日

世界の概況

2022年1月30日時点で、直近1週間(1月24日~1月30日)に報告された新規感染者数は前週と同程度でしたが、その一方、新規死亡者数は9%増加しました(図1)。WHO管轄の6地域全体で、2,200万人以上の新規感染者及び59,195人の新規死亡者が報告されました(表1)。2022年1月30日現在、全世界の累積感染者数は3億7,057万2,213人、累積死亡者数は564万9,390人となります。
 
各地域別では、西太平洋地域で37%、東地中海で24%及びヨーロッパ地域で7%の新規感染者数の増加が報告され、その一方、アメリカ地域で20%及び東南アジア地域で8%の新規感染者数の減少が報告されました。アフリカ地域の新規感染者数については、前週と同程度でした。新規死亡者数については、東南アジア地域で41%、東地中海地域で32%及びアメリカ地域で16%の増加が報告され、その一方、アフリカ地域では7%の減少が報告されました。ヨーロッパ地域及び西太平洋地域の新規死亡者数については、前週と同程度でした。
 
各国別では、新規感染者数が多い上位5か国は、アメリカ合衆国(3,279,226人、34%減少)、フランス(2,357,129人、前週と同程度)、インド(1,855,258人、12%減少)、ブラジル(1,283,024人、56%増加)及びドイツ(1,055,768人、48%増加)でした。また、直近1週間における新規死亡者数が多い上位5か国は、アメリカ合衆国(13,558人、5%減少)、インド(4,682人、40%増加)、ロシア連邦(4,616人、前週と同程度)、ブラジル(3,321人、88%増加)及びイタリア(2,618人、7%増加)でした。
 
図1 2022年1月30日時点の週別・WHO管轄地域別のCOVID-19感染者数及び世界の死亡者数の推移



表1 2022年1月30日時点のWHO管轄地域別の新規・累積COVID-19確定症例数及び死亡者数

WHO管轄地域別の概況

アフリカ地域

新規感染者数については、過去1か月以上に及び、減少傾向にあります。直近1週間で、新規感染者数は125,605人、新規死亡者数は1,631人と報告されました。前週と比較し、新規感染者数は同程度、新規死亡者数は7%減少しました。しかしながら、地域内の6か国(12%)において、20%以上の新規感染者数の増加が報告されました。中央アフリカ共和国で116%(190人から410人)、レソトで68%(165人から277人)及びアルジェリアで増加が報告されました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
レユニオン 46,914人 5,240人 49%増加
南アフリカ共和国 22,202人 37.4人 同程度
アルジェリア 14,774人 33.7人 63%増加
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
南アフリカ共和国 842人 1.4人 7%減少
エチオピア 91人 1.0人未満 13%減少
アルジェリア 74人 1.0人未満 同程度
   
 

アメリカ地域

2022年1月中旬以降のアメリカ地域では、新規感染者数は減少傾向にあります。直近1週間で、新規感染者数は6,548,409人、新規死亡者数は26,553人と報告されました。前週と比較し、新規感染者数は20%減少し、新規死亡者数は16%減少しました。地域内の4か国のみにおいて、20%以上の新規感染者数の増加が報告されました。フォークランド諸島で200%(1人から3人)、チリで91%(82,574人から157,937人)、エルサルバドルで82%(3,435人から6,250人)及びブラジルで高い増加率が報告されました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
アメリカ合衆国 3,279,226人 990.7人 34%減少
ブラジル 1,283,024人 603.6人 56%増加
アルゼンチン 619,108人 1,369.8人 19%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
アメリカ合衆国 13,558人 4.1人 5%減少
ブラジル 3,321人 1.6人 88%増加
メキシコ 2,066人 1.6人 67%増加
   

東地中海地域


2021年12月以降の東地中海地域では、新規感染者数は減少傾向にあります。直近1週間で、新規感染者数は596,306人、新規死亡者数は1,624人と報告されました。前週と比較し、新規感染者数は24%増加し、新規死亡者数は32%増加しました。地域内の半数以上の国々(22か国中の13か国、59%)において、20%以上の新規感染者数の増加が報告されました。パレスチナで354%(7,293人から33,080人)並びにイランイスラム共和国及びリビアで145%(6,692人から16,399人)と高い増加率が報告されました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
イランイスラム共和国 76,837人 91.5人 189%増加
ヨルダン 63,153人 619.0人 72%増加
チュニジア 54,346人 459.8人 18%増加
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
チュニジア 275人 2.3人 55%増加
エジプト 236人 1.0人未満 14%増加
モロッコ 215人 1.0人未満 43%減少
   

 

ヨーロッパ地域

2021年12月以降のヨーロッパ地域では、新規感染者数は増加傾向にあります。直近1週間で、新規感染者数は11,425,243人、新規死者数は21,586人と報告されました。前週と比較して、新規感染者数は7%増加し、新規死者数は同程度でした。23か国(全体の38%)において、20%以上の新規感染者数の増加が報告されています。アルメニアで260%(4,094人から14,722人)、アゼルバイジャンで171%(7,116人から19,307人)及びタジキスタンで142%(59人から143人)と高い増加率が報告されました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
フランス 2,357,129人 3,624.2人 同程度
ドイツ 1,055,768人 1,269.5人 48%増加
イタリア 1,040,184人 1,744.1人 16%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
ロシア連邦 4,616人 3.2人 同程度
イタリア 2,618人 4.4人 7%増加
フランス 1,881人 2.9人 19%増加
  

東南アジア地域

過去1か月以上に及び、東南アジア地域では、新規感染者数は減少傾向にあります。直近1週間で、新規感染者数は2,136,512人、新規死亡者数は5,237人と報告されました。前週と比較して、新規感染者数は8%減少し、新規死亡者数は41%増加しました。地域内の7か国(10か国中の7か国、70%)において、20%以上の新規感染者数の増加が報告されています。東ティモールで1280%(5人から69人)、インドネシア及びバングラデシュで高い増加率が報告されました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
インド 1,855,258人 134.4人 12%減少
バングラデシュ 100,196人 60.8人 49%増加
インドネシア 56,807人 20.8人 286%増加
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
インド 4,682人 1.0人未満 40%増加
バングラデシュ 140人 1.0人未満 77%増加
タイ 125人 1.0人未満 17%増加
  

西太平洋地域

直近1週間で、新規感染者数は1,407,547人、新規死亡者数は2,564人と報告されました。前週と比較して、新規感染者数は37%増加し、新規死亡者数は同程度でした。
地域内の半数である14か国において、20%以上の新規感染者数の増加が報告されています。パプアニューギニアで319%(81人から339人)、キリバスで264%(39人から142人)及びパラオで220%(319人から1,021人)と高い増加率が報告されました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
オーストラリア 499,935人 1,960.5人 65%増加
日本 463,354人 366.4人 73%増加
フィリピン 141,339人 129.0人 36%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
ベトナム 951人 1.0人 15%減少
オーストラリア 565人 2.2人 31%増加
フィリピン 465人 1.0人未満 15%減少
 

 

変異株の概況

変異株の最新の状況については、以下のページにとりまとめています。
 
SARS-CoV-2変異株の追跡
https://www.who.int/en/activities/tracking-SARS-CoV-2-variants/
 
過去30日間のデルタ株及びオミクロン株の流行状況を図4で示します。
 
図4 2022年2月1日時点における過去30日間のデルタ株及びオミクロン株の流行状況

 

変異株の国・地域的な拡散及び有病率

現在のSARS-CoV-2の国・地域的な遺伝子疫学は、オミクロン株の急速な拡大を特徴としています。懸念される変異株(以下「VOC」という。アルファ株、ベータ株、ガンマ株及びデルタ株)並びに注目すべき変異株(以下「VOI」という。ラムダ株及びミュー株)を含む全ての変異株は、WHO管轄の6地域全体において減少傾向を継続しています。過去30日間に採取されてGISAIDに提出された433,223検体のうち、403,991検体(93.3%)がオミクロン株、29,004検体(6.7%)がデルタ株、4検体(0.1%未満)がガンマ株、3検体(0.1%未満)がアルファ株、1検体(0.1%未満)がベータ株、2検体がその他流行している変異株(VOIの ラムダ株とミュー株を含む。)でした。世界的なVOCの分布について特筆すべきは、サーベイランスの限界を考慮し、慎重に解釈する必要がある点です(サーベイランスの限界は、報告の遅延と同様に、国・地域毎にゲノム解析に係る能力及び検体採取方式の違いを含む。)。

オミクロン株

2021年11月26日にB.1.1.529系統がVOCとして指定されて以降、複数のオミクロン株の系統が報告されています。オミクロン株には、Pango系統のBA.1、BA.1.1、BA.2及びBA.3が含まれており、これらは全てオミクロン株の下位系統として、WHOが監視を継続しています。これら系統の共通の起源は未解明であり、どのように、どこでオミクロン株の起源又は下位系統が発生して進化したかは今日に至るまで明らかになってはいません。
 
オミクロン株を定義付ける変異の集合体は、BA.1を含むPango系統と重複しており2022年1月31日時点のGISAIDに提出された配列の96.4%を占めています。それゆえ、オミクロン株についての最新の知見はPango系統に基づいています。BA.2はBA.1と比較してスパイク蛋白を含む複数の変異の点で異なっており、複数の国で確認されています。BA.2の配列は57か国からGISAIDに提出されており、過去6週間の複数の国では、その他系統の配列に対する週毎の比率が50%以上に達します。感染・伝播性、免疫からの逃避及び病原性を含むBA.2の特徴に関する研究は、BA.1に対して独立し、かつ、比較的優先順位が高くあるべきものです。データを解釈するときは、症例発症率を加味してBA.1及びBA.2系統の配列の相対的な比率を考慮することが重要となります。

出典

COVID-19 Situation reports
COVID-19 Weekly Epidemiological Update: 1 February 2022
https://www.who.int/publications/m/item/weekly-epidemiological-update-on-covid-19---1-february-2022