新型コロナウイルス感染症の世界の状況報告

COVID-19 Weekly Epidemiological Update(WHO) 2022年3月1日

世界の概況

2022年2月21日から2月27日(以下「直近1週間」という。)に報告された新規感染者数は前週と比較して16%減少し、その一方、新規死亡者数は前週と比較して10%減少しました(図1)。WHO管轄の6地域全体で、10,776,582人の新規感染者数及び60,155人の新規死亡者数が報告されました(表1)。2022年2月27日時点で、全世界の累積感染者数は433,139,235人、累積死亡者数は5,939,137人となります。
 
各地域別では、西太平洋地域で32%の新規感染者数の増加が報告された一方、他の全地域では新規感染者数の減少が報告されました。東地中海地域で34%、アメリカ地域で30%、アフリカ地域で25%、ヨーロッパ地域で24%及び東南アジア海地域で16%の新規感染者数の減少が報告されました。新規死亡者数については、西太平洋地域で22%及び東地中海地域で4%の増加が報告されたその一方、アフリカ地域で59%、東南アジア地域で18%、ヨーロッパ地域で13%及びアメリカ地域で8%の減少が報告されました。
 
各国別では、新規感染者数が多い上位5か国は、ドイツ(1,119,632人、8%減少)、韓国(1,032,008人、69%増加)、ロシア(920,697人、26%減少)、トルコ(541,259人、10%減少)及びブラジル(519,785人、33%減少)でした。また、直近1週間における新規死亡者数が多い上位5か国は、アメリカ(13,663人、0%の増減)、ロシア(5,427人、3%増加)、ブラジル(4,361人、26%減少)、メキシコ(2,027人、39%増加)及びトルコ(1,838人、4%減少)でした。
 
図1 2022年2月27日時点の週別又はWHO管轄地域別の新型コロナウイルス感染者数及び世界の死亡者数の推移
 


表1 2022年2月27日時点におけるWHO管轄地域別の新規又は累積新型コロナウイルス感染者の確定症例数及び死亡者数

WHO管轄地域別の概況

アフリカ地域

新規感染者数については、2022年1月当初から減少傾向を継続しており、直近1週間で40,296人と報告され、前週と比較して25%減少しました。しかしながら、アフリカ地域内の8か国(全体の16%)において、20%を超える新規感染者数の増加が報告されました。レソトで187%(62人から178人)、コンゴで115%(34人から73人)及びガーナで93%(469人から904人)の新規感染者数の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で786人と報告され、前週と比較して59%の減少が報告されました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
南アフリカ 14,900人 25.1人 12%増加
レユニオン 13,632人 1522.6人 37%減少
アルジェリア 2,579人 17.4人 34%増加
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
南アフリカ 574人 1.0人 65%減少
アルジェリア 41人 1.0人未満 43%減少
レユニオン 37人 4.1人 3%減少

 

アメリカ地域

新規感染者数については、直近1週間で1,533,368人と報告され、引き続き減少傾向が報告されています(前週と比較して30%減少しました)。しかしながら、アメリカ地域内の2か国では、20%を超える新規感染者数の増加が報告されました。ホンジュラスで106%(2,108人から4,340人)及びメキシコで97%(38,921人から76,587人)の新規感染者数の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で25,127人と報告され、前週と比較して8%の減少が報告されました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
ブラジル 519,785人 244.5人 33%減少
アメリカ 457,058人 138.1人 36%減少
チリ 196,384人 1027.3人 17%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
アメリカ 13,663人 4.1人 同等
ブラジル 4,361人 2.1人 26%減少
メキシコ 2,027人 1.6人 38%増加

 

東地中海地域

新規感染者数については、2022年2月当初に頂点に達して以降、毎週の減少傾向が継続しており、直近1週間で309,018人と報告され、前週と比較して34%減少しました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で3,256人と報告され、前週と比較して4%の増加が報告されました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
イラン 105,458人 125.6人 27%減少
ヨルダン 56,356人 552.3人 49%減少
レバノン 22,279人 326.4人 28%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
イラン 1,592人 1.9人 30%増加
チュニジア 327人 2.8人 5%増加
エジプト 298人 1.0人未満 26%減少

 

ヨーロッパ地域

新規感染者数については、2021年1月末に頂点が確認されて以降、毎週の減少傾向が継続しており、直近1週間で5,592,900人と報告され、前週と比較して24%の減少でした。
 
新規死者数については、減少傾向が継続しており、直近1週間で22,289人と報告され、前週と比較して13%の減少が報告されました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
ドイツ 1,119,632人 1346.3人 8%減少
ロシア 920,697人 630.9人 26%減少
トルコ 541,259人 641.8人 10%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
ロシア 5,427人 3.7人 3%増加
トルコ 1,838人 2.2人 4%減少
イタリア 1,568人 2.6人 23%減少

 

東南アジア地域

新規感染者数については、2022年1月中旬以降、減少傾向が継続しており、直近1週間で639,245人と報告され、前週と比較して16%の減少でした。しかしながら、タイにおいて、前週と比較して32%の新規感染者数の増加が報告されました(118,988人から157,301人)。
 
新規死亡者数については、直近1週間で4,117人と報告され、前週と比較して18%の減少が報告されました。    
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
インドネシア 341,889人 125.0人 12%減少
タイ 157,301人 225.4人 32%増加
インド 93,644人 6.8人 51%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
インド 1,821人 1.0人未満 44%減少
インドネシア 1,708人 1.0人未満 44%増加
タイ 267人 1.0人未満 42%増加

 

西太平洋地域

新規感染者数については、2021年12月終盤以降、週毎に増加の報告が継続しており、直近1週間で2,661,755人と報告され、前週と比較して32%の増加でした。西太平洋地域内の6か国(22%)において、20%を超える新規感染者数の増加が報告されました。ニュージーランドで432%(10,361人から55,145人)と最大、中国で281%(26,329人から100,347人)及びブルネイで110%(10,934人から22,972人)の新規感染者数の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、増加が継続しており、直近1週間で4,580人と報告され、前週と比較して22%の増加が報告されました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
韓国 1,032,008人 2012.9人 69%増加
ベトナム 478,884人 492.0人 87%増加
日本 473,461人 374.3人 18%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
日本 1,634人 1.3人 14%増加
フィリピン 744人 1.0人未満 10%増加
ベトナム 627人 1.0人未満 12%増加

 

新型コロナウイルスの懸念される変異株及び注目すべき変異株についての特別な焦点

国の、当局、機関及び研究者と協力して、新型コロナウイルスの変異株が感染・伝播性や病原性に影響するか否か、感染拡散を制御するための、ワクチンの有効性、治療法、診断又は公衆衛生上の取組について、WHOは定期的に評価しています。潜在的な、懸念される変異株(以下「VOC」という。)、注目すべき変異株(以下「VOI」という。)及び監視下にある変異株(以下「VUM」という。)は、世界の公衆衛生にもたらすリスクに基づいて定期的に評価されています。科学的根拠が明らかになれば、変異株の継続的な変化及び付随する疫学の変化を反映するために、変異株の分類が改訂される予定です。変異株の分類の基準、VOC、VOI及びVUMの現在の一覧は、新型コロナウイルス変異株の追跡https://www.who.int/en/activities/tracking-SARS-CoV-2-variants/で閲覧できます。国の当局は、他のVOC及びVOIの指定を選択することができ、かつ、これら変異株の影響に基づいて調査・報告をするよう奨励されています。

VOCの世界的拡散及び有病率

現在の新型コロナウイルスの世界的な遺伝子疫学は、変異株B.1.1.529系統(以下「オミクロン株」という。)の世界的な優勢を特徴としています。デルタ株は、報告される重要な変化を伴う唯一の名称がある変異株です。過去30日間に採取されてGISAIDに提出された488,463検体のうち、486,182検体(99.5%)がオミクロン株、1,601検体(0.3%)がデルタ株、6検体(0.1%未満)がアルファ株でした。過去30日間で、ベータ株、ガンマ株、ラムダ株、ミュー株その他VOC又はVOIに分類されない配列はGISAIDに報告されませんでした。世界的なVOCの分布について特筆すべきは、サーベイランスの限界を考慮し、慎重に解釈する必要がある点です(サーベイランスの限界は、報告の遅延と同様に、国・地域毎のゲノム解析能力及び検体採取方式の違いを含みます。)。

図5 2022年3月1日時点における過去30日間のVOCであるデルタ株及びオミクロン株の有病率

出典

COVID-19 Situation reports
COVID-19 Weekly Epidemiological Update: 1 March 2022
https://www.who.int/publications/m/item/weekly-epidemiological-update-on-covid-19---1-March-2022