新型コロナウイルス感染症の世界の状況報告
COVID-19 Weekly Epidemiological Update(WHO) 2022年3月8日
世界の概況
2022年2月28日から3月6日(以下「直近1週間」という。)に報告された新規感染者数又は死亡者数は、前週と比較してそれぞれ5%及び8%減少しました(図1)。WHO管轄の6地域全体で、10,391,584人の新規感染者数及び52,740人の新規死亡者数が報告されました(表1)。2022年3月6日時点で、全世界の累積感染者数は433,895,905人、累積死亡者数は5,993,901人となります。
各地域別の新規感染者数については、西太平洋地域で46%の増加その他全地域で減少が報告されました。東地中海地域で46%、アフリカ地域で40%、東南アジア地域で31%、アメリカ地域で24%及びヨーロッパ海地域で18%の新規感染者数の減少が報告されました。新規死亡者数については、西太平洋地域で29%及び東地中海地域で安定して2%の増加が報告されたその一方、アフリカ地域で39%、ヨーロッパ地域で15%、アメリカ地域で9%及び東南アジア地域で3%の減少が報告されました。これらの傾向については、いくつかの国が検査数を限定した検体採取方式を採用しているため、全体的な検査数が減少して結果的に検出される感染者数が減少するため、慎重に解釈する必要があります。
各国別では、新規感染者数が多い上位5か国は、韓国(1,461,431人、42%増加)、ドイツ(1,108,231人、1%減少)、ベトナム(1,013,343人、112%増加)、ロシア(650,540人、29%減少)及び日本(452,763人、4%増加)でした。また、直近1週間における新規死亡者数が多い上位5か国は、アメリカ(10,579人、9%減少)、ロシア(5,354人、1%減少)、ブラジル(3,865人、11%減少)、インドネシア(2,099人、23%増加)及び日本(1,519人、7%減少)でした。
各地域別の新規感染者数については、西太平洋地域で46%の増加その他全地域で減少が報告されました。東地中海地域で46%、アフリカ地域で40%、東南アジア地域で31%、アメリカ地域で24%及びヨーロッパ海地域で18%の新規感染者数の減少が報告されました。新規死亡者数については、西太平洋地域で29%及び東地中海地域で安定して2%の増加が報告されたその一方、アフリカ地域で39%、ヨーロッパ地域で15%、アメリカ地域で9%及び東南アジア地域で3%の減少が報告されました。これらの傾向については、いくつかの国が検査数を限定した検体採取方式を採用しているため、全体的な検査数が減少して結果的に検出される感染者数が減少するため、慎重に解釈する必要があります。
各国別では、新規感染者数が多い上位5か国は、韓国(1,461,431人、42%増加)、ドイツ(1,108,231人、1%減少)、ベトナム(1,013,343人、112%増加)、ロシア(650,540人、29%減少)及び日本(452,763人、4%増加)でした。また、直近1週間における新規死亡者数が多い上位5か国は、アメリカ(10,579人、9%減少)、ロシア(5,354人、1%減少)、ブラジル(3,865人、11%減少)、インドネシア(2,099人、23%増加)及び日本(1,519人、7%減少)でした。
図1 2022年3月6日時点の週別又はWHO管轄地域別の新型コロナウイルス感染者数及び世界の死亡者数の推移
表1 2022年3月6日時点におけるWHO管轄地域別の新規又は累積新型コロナウイルス感染者の確定症例数及び死亡者数
表1 2022年3月6日時点におけるWHO管轄地域別の新規又は累積新型コロナウイルス感染者の確定症例数及び死亡者数
WHO管轄地域別の概況
アフリカ地域
新規感染者数については、2022年1月当初から減少傾向を継続しており、直近1週間で33,951人と報告され、前週と比較して40%減少しました。しかしながら、アフリカ地域内の6か国(全体の12%)において、20%を超える新規感染者数の増加が報告され、中央アフリカで最大の150%(38人から95人)の増加が報告されました。
新規死亡者数については、直近1週間で489人と報告され、前週と比較して39%の減少が報告されました(当該期間に南アフリカの継続的な監査実施後による死亡者数の未処理分が報告されました。)。
新規感染者数が多い上位3か国
新規死亡者数が多い上位3か国
新規死亡者数については、直近1週間で489人と報告され、前週と比較して39%の減少が報告されました(当該期間に南アフリカの継続的な監査実施後による死亡者数の未処理分が報告されました。)。
新規感染者数が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
南アフリカ | 11,181人 | 18.9人 | 25%減少 |
レユニオン | 10,036人 | 1121.0人 | 26%減少 |
モーリシャス | 4,133人 | 325.0人 | 75%減少 |
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
南アフリカ | 352人 | 1.0人未満 | 39%減少 |
レユニオン | 26人 | 2.9人未満 | 30%減少 |
アルジェリア | 25人 | 1.0人未満 | 39%減少 |
アメリカ地域
新規感染者数については、2022年1月中旬以降減少傾向が継続しており、直近1週間で1,139,607人と報告され、前週と比較して24%減少しました。しかしながら、アメリカ地域内の3か国では、20%を超える新規感染者数の増加が報告されました。マルテイニークで最大の303%(1,381人から5,569人)及びメキシコで71%(27,427人から46,765人)の新規感染者数の増加が報告されました。
新規死亡者数については、直近1週間で19,974人と報告され、前週と比較して9%の減少が報告されました。
新規感染者数が多い上位3か国
新規死亡者数が多い上位3か国
新規死亡者数については、直近1週間で19,974人と報告され、前週と比較して9%の減少が報告されました。
新規感染者数が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
ブラジル | 395,152人 | 185.9人 | 24%減少 |
アメリカ | 343,096人 | 103.7人 | 29%減少 |
チリ | 152,705人 | 798.8人 | 22%減少 |
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
アメリカ | 10,579人 | 3.2人 | 9%減少 |
ブラジル | 3,865人 | 1.8人 | 11%減少 |
メキシコ | 1,513人 | 1.2人 | 49%増加 |
東地中海地域
新規感染者数については、2022年2月当初に頂点に達して以降3回連続の毎週の減少傾向が継続しており、直近1週間で165,460人と報告され、前週と比較して46%減少しました。しかしながら、ソマリアで64%(53人から87人)の新規感染者数の増加が報告されました。
新規死亡者数については、直近1週間で3,308人と報告され、前週と比較して2%の安定した増加が報告されました。
新規感染者数が多い上位3か国
新規死亡者数が多い上位3か国
(※)死亡者数の未処理分による増加
新規死亡者数については、直近1週間で3,308人と報告され、前週と比較して2%の安定した増加が報告されました。
新規感染者数が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
イラン | 53,363人 | 63.5人 | 49%減少 |
ヨルダン | 21,050人 | 206.3人 | 63%減少 |
バーレーン | 15,781人 | 927.4人 | 25%減少 |
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
イラン | 1,357人 | 1.6人 | 15%減少 |
スーダン | 956人 | 2.2人 | 1,012%増加(※) |
チュニジア | 220人 | 1.9人 | 33%減少 |
ヨーロッパ地域
新規感染者数については、毎週の減少傾向が継続しており、直近1週間で4,715,598人と報告され、前週と比較して18%の減少でした。2021年1月末の頂点以降、ヨーロッパ地域では減少が報告されています。直近1週間におけるヨーロッパ地域の新規感染者数については、全世界に占める割合が45%となります。
新規死者数については、減少傾向が継続しており、直近1週間で19,076人と報告され、前週と比較して15%の減少が報告されました。
新規感染者数が多い上位3か国
新規死亡者数が多い上位3か国
新規死者数については、減少傾向が継続しており、直近1週間で19,076人と報告され、前週と比較して15%の減少が報告されました。
新規感染者数が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
ドイツ | 1,108,231人 | 1332.5人 | 同等 |
ロシア | 650,540人 | 445.8人 | 29%減少 |
トルコ | 350,828人 | 416.0人 | 35%減少 |
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
ロシア | 5,354人 | 3.7人 | 同等 |
ドイツ | 1,424人 | 1.7人 | 同等 |
イタリア | 1,366人 | 2.3人 | 13%減少 |
東南アジア地域
新規感染者数については、2022年1月中旬以降、減少が継続して報告されています。直近1週間で441,458人と報告され、前週と比較して31%の減少でした。この減少傾向にもかかわらず、ブータンにおいて、前週と比較して23%の新規感染者数の増加が報告されました(2,116人から2,604人)。
新規死亡者数については、直近1週間で3,986人と報告され、前週と比較して3%の減少が報告されました。
新規感染者数が多い上位3か国
新規死亡者数が多い上位3か国
新規死亡者数については、直近1週間で3,986人と報告され、前週と比較して3%の減少が報告されました。
新規感染者数が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
インドネシア | 209,331人 | 76.5人 | 39%減少 |
タイ | 157,079人 | 225.0人 | 同等 |
インド | 46,836人 | 3.4人 | 50%減少 |
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
インドネシア | 2,099人 | 1.0人未満 | 23%増加 |
インド | 1,312人 | 1.0人未満 | 28%減少 |
タイ | 344人 | 1.0人未満 | 29%増加 |
西太平洋地域
新規感染者数については、直近1週間で3,895,780人と報告され、前週と比較して46%と急峻の増加であり、1月当初以降、増加傾向が継続しています。西太平洋地域内の29か国中の10か国(34%)において20%を超える新規感染者数の増加が報告され、これには太平洋のいくつかの島国(クック諸島、アメリカ領サモア、トンガ、フィジー、キリバス及びニュージーランド)、中国並びにベトナムが含まれます。
新規死亡者数については、1か月間増加が継続しており、直近1週間で5,907人と報告され、前週と比較して29%の増加が報告されました。
新規感染者数が多い上位3か国
新規死亡者数が多い上位3か国
新規死亡者数については、1か月間増加が継続しており、直近1週間で5,907人と報告され、前週と比較して29%の増加が報告されました。
新規感染者数が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
韓国 | 1,461,431人 | 2850.5人 | 42%増加 |
ベトナム | 1,013,343人 | 1041.0人 | 112%増加 |
日本 | 452,763人 | 358.0人 | 4%減少 |
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
日本 | 1,519人 | 1.2人 | 7%減少 |
中国 | 1,197人 | 1.0人未満 | 296%増加 |
韓国 | 1,013人 | 2.0人 | 88%増加 |
新型コロナウイルスの懸念される変異株及び注目すべき変異株についての特別な焦点
国の、当局、機関及び研究者と協力して、新型コロナウイルスの変異株が感染・伝播性や病原性に影響するか否か、感染拡散を制御するための、ワクチンの有効性、治療法、診断又は公衆衛生上の取組について、WHOは定期的に評価しています。潜在的な、懸念される変異株(以下「VOC」という。)、注目すべき変異株(以下「VOI」という。)及び監視下にある変異株(以下「VUM」という。)は、世界の公衆衛生にもたらすリスクに基づいて定期的に評価されています。科学的根拠が明らかになれば、変異株の継続的な進化及び付随する疫学の変化を反映するために、変異株の分類が改訂される予定です。変異株の分類の基準、VOC、VOI及びVUMの現在の一覧は、新型コロナウイルス変異株の追跡https://www.who.int/en/activities/tracking-SARS-CoV-2-variants/で閲覧できます。国の当局は、他のVOC及びVOIの指定を選択することができ、かつ、これら変異株の影響に基づいて調査・報告をするよう奨励されています。
VOCの世界的拡散及び有病率
現在の新型コロナウイルスの世界的な遺伝子疫学は、変異株B.1.1.529系統(以下「オミクロン株」という。)の世界的な優勢を特徴としています。デルタ株は、報告される重要な進化を伴う、唯一の名称がある変異株です。過去30日間に採取されてGISAIDに提出された428,417検体のうち、427,152検体(99.7%)がオミクロン株、580検体(0.1%)がデルタ株でした。過去30日以内に100以上の検体がGISAIDに提出された国・地域では、オミクロン株が依然として優勢な変異株のままです。過去30日以内に報告されたオミクロン株の下位系統では、優勢な変異株であるBA.1.1系統が187,058の検体(41%)、BA2系統が156,014の検体(34.2%)、BA.1系統が112,655の検体(24.7%)及びBA.3系統が101の検体(1.0%未満)を占めました。世界的なVOCの分布について特筆すべきは、サーベイランスの限界を考慮し、慎重に解釈する必要がある点です(サーベイランスの限界は、報告の遅延と同様に、国・地域毎のゲノム解析能力及び検体採取方式の違いを含む。)。
新型コロナウイルスの進化に関する技術諮問団体及びWHOが変異株の組換え体に係る報告を認識しています(BA.1系統及びBA.2系統の組換え体と同様に、デルタ株及びオミクロン株両方の組換え体のこと)。組換えは自然現象であり、予期された変異の契機としてみなすことができます。同様の観察及び評価の過程は、他の新たな変異株と同様に、潜在的な汚染又は同時感染を検証及び除外した後に、これらの組換え体に適用されています。これらの組換え体に係る現在の疫学的及びゲノム解析の情報は、迅速な感染・伝播又は臨床面における重症度の変化の兆候を示していません。現在までに報告されているクラスターはごくわずかであり、曝露者への感染・伝播の段階がほぼ検出できません。Pango系統の名称が付与された組換え体の変異株はありません
新型コロナウイルスの進化に関する技術諮問団体及びWHOが変異株の組換え体に係る報告を認識しています(BA.1系統及びBA.2系統の組換え体と同様に、デルタ株及びオミクロン株両方の組換え体のこと)。組換えは自然現象であり、予期された変異の契機としてみなすことができます。同様の観察及び評価の過程は、他の新たな変異株と同様に、潜在的な汚染又は同時感染を検証及び除外した後に、これらの組換え体に適用されています。これらの組換え体に係る現在の疫学的及びゲノム解析の情報は、迅速な感染・伝播又は臨床面における重症度の変化の兆候を示していません。現在までに報告されているクラスターはごくわずかであり、曝露者への感染・伝播の段階がほぼ検出できません。Pango系統の名称が付与された組換え体の変異株はありません
オミクロン株
1 VOCの特徴における違い
VOCの表現型における影響についての科学的根拠は過去の報告https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019/situation-reportsで報告されています。2022年2月15日の報告https://www.who.int/publications/m/item/weekly-epidemiological-update-on-covid-19---15-february-2022以降、VOCの表現型の特徴について、いくつか新規の発表があり、オミクロン株に関する文献を含んでいます。これらの一部は未査読であり、それゆえ、この限界を加味して慎重に解釈する必要があります。
図4 2022年3月8日時点における過去30日間のVOCであるデルタ株及びオミクロン株の有病率
図5及び6は、ワクチンの1回目若しくは2回目接種(以下「初回接種」という。)又は初回接種後の接種(以下「追加接種」という。)がデルタ又はオミクロン株へ及ぼすワクチンの有効性(以下「有効率」という。)について、それぞれ要約したものです。直近の更新以降、6つの研究が図に追加されています(うち3つの研究は、未査読。)。1つの研究にあってはアストラゼネカ社製ワクチンのオミクロン株に対する有効率のデータ、1つの研究にあってはヤンセン社製ワクチン、1つの研究にあってはモデルナ社製ワクチン及び4つの研究にあってはファイザー社製ワクチンでした。特筆すべきは、中国及びタイから発表された研究はデルタ株に対する2つの不活化ワクチン(CNBG及びシノバック社製ワクチン)に係る有効率のデータを提供しました。
図5 デルタ株に対するワクチン初回又は追加接種による有効率
VOCの表現型における影響についての科学的根拠は過去の報告https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019/situation-reportsで報告されています。2022年2月15日の報告https://www.who.int/publications/m/item/weekly-epidemiological-update-on-covid-19---15-february-2022以降、VOCの表現型の特徴について、いくつか新規の発表があり、オミクロン株に関する文献を含んでいます。これらの一部は未査読であり、それゆえ、この限界を加味して慎重に解釈する必要があります。
図4 2022年3月8日時点における過去30日間のVOCであるデルタ株及びオミクロン株の有病率
図5及び6は、ワクチンの1回目若しくは2回目接種(以下「初回接種」という。)又は初回接種後の接種(以下「追加接種」という。)がデルタ又はオミクロン株へ及ぼすワクチンの有効性(以下「有効率」という。)について、それぞれ要約したものです。直近の更新以降、6つの研究が図に追加されています(うち3つの研究は、未査読。)。1つの研究にあってはアストラゼネカ社製ワクチンのオミクロン株に対する有効率のデータ、1つの研究にあってはヤンセン社製ワクチン、1つの研究にあってはモデルナ社製ワクチン及び4つの研究にあってはファイザー社製ワクチンでした。特筆すべきは、中国及びタイから発表された研究はデルタ株に対する2つの不活化ワクチン(CNBG及びシノバック社製ワクチン)に係る有効率のデータを提供しました。
図5 デルタ株に対するワクチン初回又は追加接種による有効率